31 コーヒーカップ
ソフィアさんがコーヒーカップで思いっきり回しても大丈夫と言ったのだ。
それならば全力で回してソフィアさんを酔わしてやろう。
うん、我ながら性格悪いな。
「私も回すの、手伝いますわ」
「あ、ありがとう?」
あれ、おかしいな。結構全力で回してるけどソフィアさん、酔うどころか楽しそうだ……。
それになんだか目が回ってきた……。
「ーーで、私を酔わせるつもりが自分が酔ってしまったと」
「うん、気持ち悪い……。」
「とりあえずそこらへんで休憩しますか? 人も少ないですし。」
そう言ってソフィアさんが指差したのはアイスが売っている露店だった。
近くに買った人のためであろうテーブルとイスが置いてある。
「うん、ありがとう」
私はそう言ってソフィアさんと一緒に歩き始めた。
しかし、ソフィアさんはやっぱり優しいね。その優しさにもう少し甘えさせてもらおう。
そう思い私はソフィアさんに寄り掛かった。
「あ、あのフィルさん、密着しすぎでは……。」
「私、今平衡感覚失ってて一人で歩くの怖いから、ね」
そうして私はソフィアさんに体を預けて歩いた。
ソフィアさんの体は思ったよりも暖かかった。
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