14話 変身&必殺技。
14話 変身&必殺技。
それを見て、ウムルは、
「ほう。変身ができるのかい。仮面ラ〇ダーみたいで、カッコいいねぇ。んー……おやおや、お嬢さん、なかなか強いじゃないか。GOOクラスと言える魔力だ。素晴らしい」
余裕の笑顔で、パチパチと拍手をして、
「後ろにいるお嬢さん方は変身をしないのかな? なんなら待ってあげてもいいのだけれど?」
「アホか、ホンマもんの切り札は、ここぞって時に出すもんやろ」
「ふむ。なるほど……『かっこよく変身ができるのは、そこの紅い彼女だけ』というわけか。変身というのは、限られた者しか使えない特異能力なのかな? まあ、なんでもいいけれど」
(ハッタリは通じんかぁ……『トランスフォーム機能』を積めるようになる強化アイテムはアホほど希少で、一個しか入手できへんかったから、ミレー以外は変身できへんねんなぁ)
「まともに戦える者が一人しかいないとは可哀そうに。ふむ。では、君達五人VS私一人という図式で闘おうか。後ろの彼らには一切手を出させないと約束するよ」
「とことんナメとるなぁ。……あんたらGOOと比べれば、人間は確かにカスやけど、あたしらの事だけは、ナメたら痛い目にあうって教えたる!」
「うんうん、その意気だ。さあ、精一杯あがいてみたまえ」
その煽りが合図になった。
紅院は、身を低くして飛び出す。
高速で詰め寄り、『フレイムブレイド改』を召喚する。
刀身が燃えている巨大な両手剣。
「アサルトスキルON! ソニックスイング!」
斬撃速度と基礎火力を底上げするスキルを使って、燃えるブレードを振りぬく。
かつて、F級GOOを一刀で両断した事もある自慢の一撃。
――だが、
「その程度の斬撃魔法くらい、無詠唱で使ってもらいたいものなのだがねぇ」
ウムルは、召喚したナイフで、紅院の一撃を受け止めると、左の掌を紅院に向けて、
「魔力の上等な使い方というものを、少しだけ見せてあげよう」
ズガン! と、全身に巨大な衝撃を受けて、紅院は無様に吹っ飛んだ。
ゴロンゴロンと地面に何度もバウンドしている途中で――パチンと音が鳴った。
その瞬間、紅院の姿が、その場から消える。
戦いを見守っていたトコは、思わず視線をさまよわせた。
ウムルに視点を合わせた時、トコは、消えた紅院の姿を発見する。
――ウムルは一歩も動いていないというのに、紅院を吹っ飛ばした方の手で、彼方に吹っ飛んでいたはずの紅院の首を絞めていた。
「どうだい? と言っても、今、私が、どれだけ高度に魔力を練ったかなど理解できやしないだろうけれどね。ちなみに、今のは、超少量の魔力を圧縮して君をふっ飛ばし、音速で練り上げた魔力を解放して時空を操作し、一歩も動かずに君を捕まえたのだよ」
「うぐ……ぐぐ……」
「魔法とは、幽界の虚数エネルギーを顕界へと確定させていく高次演算。その処理過程は、当然だが、複雑で難解。そんな魔法の高等制御を為そうとすれば、当然、果てなき悠久の研鑽を必要とする。君たちのようなほんの数年しか魔法に触れていないガキが、優に二千年を超える修練を経てきた私に、魔力を用いた闘いで勝てる訳がないのだよ」
首をしめられ、苦しんでいる紅院。
そんな彼女の顔を、ウムルは、嗜虐的な顔で眺めながら、
「我が神から、君たちのこれまでの戦歴を見せてもらった。君たちが、今日まで生き残ってこられたのは、まともに魔力を扱えないGOOの面汚しばかりを相手にしてきたからだ」
「はな……せぇ……」
「ん? なんだ、はなしてほしかったのかい? ああ、構わないよ。はやく言ってくれればよかったのに」
そう言うと、本当にあっさりと手を放した。
地に落ちた紅院は、喉をおさえながら、
「げほっ、ごほっ」
と、酸素をかきこむ。
「さあ、まだまだ闘いは始まったばかりだ。存分にあがきたまえ。それとも、もう諦めて降参するかね?」
そこで、トコが、紅院をかばうように、前へと出て、
「一個、聞いてええか?」
「なにかな?」
「……確認なんやけど、あんたはアウターゴッドやないんやな? あんたのその強さ、何したって勝てる気がせぇへん絶望的なレベルなんやけど、それでも――」
「私などを、外なる神々と比べてはいけない。確かに、私は、GOOの中だと最上位に位置するS級の神格だが、外なる神々とGOOの間には、決して越えられない壁がある」
「……なるほど。それがアウターゴッドか。そら、召喚されてもうたら、星が終るっていうんも分かるなぁ。もし呪いが解けへんかったら、あたしは自殺するしかないって訳や」
「神の手にかかれば、世界を終わらせる事さえ児戯に等しい。神の力は偉大にして強大。その一例をあげよう。実は私は元人間だ。紀元前のエジプトで、ちょっとした哲学者をやっていた」
「「「……っ?!」」」
「真理を追い求め、もがき苦しんだ結果、死の間際で、『認知の領域外』に辿りつけた。私は神に懇願し、その叡智の一部を授けていただいた。対価は、たゆまぬ努力と絶対の忠誠。安い買い物だったよ。神の奴隷となるだけで、私は、『脆弱な下等種族』から、『無限の可能性を持つ異形』へと『進化』できた」
「叡智の一部を与えるだけで、人間を最強のGOOに出来んのか……神様、チートやなぁ」
「もちろん、魔力の操作技能は、私自身が積み重ねてきた時間、血のにじむ努力で得た鍛錬の結晶だがね。さて、いい加減、お喋りの時間は終わりにしよう。さあ、かかってきたまえ」
「「「……」」」
「ん? どうしたのかな? 来ないのかね? もしかして、私が怖くて体が動かないのかな? では、こうしよう。現在、私の体は、戦闘中に自動展開される『ドリームオーラ』という強力な障壁魔法によって守られているのだが、それを解除しよう」
宣言した瞬間、ウムルを覆っていたオーラが掻き消えた。
「さあ、これで、君たちの脆弱な攻撃も、それなりには通るはずだ」
「クソったれがぁ。ほんま、とことんナメとるなぁ。改めて、あたしをナメた代償は大きいって事を教えたるわ。……ミレーがなぁ!」
「トコさん……キメ顔中に失礼しますが、他力本願極まりない今のセリフ、とてつもなくカッコ悪いです」
「ええねん、別に! ミレー、ほんま、頼んだで!」
トコの言葉にうなずいた直後、
紅院は、腹の底から、
「火霊ドライブ起動! 右腕リミッター解除! クリムゾンスラッシャー接続!!」
宣言すると、紅院の存在値が大幅に上昇する。
全身を包み込むワインレッドのオーラ。
特に、右手が、燃え上がるようなエネルギーを捻出している。
ガチャガチャっと音をたてて、
右腕に接続された『炎鬼の魔力を放つ巨大な剣』が唸りをあげる。
刃の部分はチェーンソーで、
刀身の背面に七つのバーニアがついている凶悪な形状のエンジンブレイド。
「リミッターを解除してしまったから、一撃が限界! 初手に全てをかけるわ。総員、全力で援護して! あいつを殺す!!」




