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【PHASE5-3】ルール無用・ヴァーチャルレース

 

 ―――ここは静岡県小山町、ここに五十数年の歴史と共にフォーミュラマシンの進化を見届けてきた日本有数のサーキットあり。

 壮大なる富士と緩やかな樹海をバックに、全長1,475メートルの世界有数のロングメインストレートを誇るサーキットこそ、【富士スピードウェイ】。



 そんなサーキットフィールド全体を覆い、半透明のベールがドーム状に蔓延らせているのは、これ如何に!?


「コイツはD.D.GのVRフィールドだな。……お前ら、何故これが来るって知ってんだ」


 ゲームチェイサー・ハリアーが憎々しげに吐く苛立ちの意。ハリアーと同じく地底空間出身のゲーム戦士だが、地上の者達に恨み辛みに復讐を誓う叛逆粒子【裏プレイヤー】と称される不届きな暴走族集団、その筆頭である鷲尾(わしお)らが何故にD.D.Gの存在を知っていたのか。


「何もお前らゲームチェイサーだけが知ってる情報じゃねぇって事だ。俺らも狙ってんだよ、“栄光の太陽”ってのを」

「………!」


 ハリアーも予想はしていたでしょうが、ゲームチェイサーと相対するであろう幻の秘宝“栄光の太陽”を狙う派閥が、よりにもよって同じ地底空間出身の者であったとは。


「お前らがお天道様集めて何しようとしてるか目に見えてるぜ。――地上の人達を善人悪人見境なく消す、って感じか?」

「いや、もっと上だ。人の下に人を作ったWGCの政府そのものを消滅させてやるよ!!」


 何という過激派か。独裁者とまではいかないが、過剰な殺意は己のみならず広範囲に被害が及ぶ迷惑極まりない思考。叛逆者は頭に血が上ると何を仕出かすか分からない。


「冗談じゃない、良くも悪くもゲーム提供してる政府潰したら暇になるわ。そんな奴に秘宝集めさせる訳にゃいかねぇな」


 丁度ハリアーも友人を人質に取られて怒り心頭寸前。そしてD.D.Gのフィールドに入っている以上は挑まなければ男が廃る。


 ―――ではここで、今回挑むD.D.Gのゲームを紹介しよう!


 ――――――――PLAY GAME――――――――

 ☆D・D・G 《デュアルディメンションゲーム》⑤☆

【ヴァーチャル・フォーミュラX】

 ・ジャンル:レースゲーム

 ・プレイヤーレベル:40


 ルール

 ★富士スピードウェイの本コース・全長4,563メートルを周回20周走破し、一位を取ったプレイヤーが勝利報酬を獲得できる。


 ☆今回のこのゲームの重要点は、走行するマシンの種類を()()()()()()()

 つまりF1フォーミュラからオフロードバイク、改造車等など排気量のccも制限は無し。


 しかし代わりに、マシンの性能向上や逆に妨害を促す特殊システム【ヴァーチャル・サプライシステム】をレース内に設置されている。それがどんなものか、どのような影響を及ぼすかはゲームによって変化する。


 プレイ報酬(1位獲得の場合)

 ・賞金50万円

 ※5%の確率でレア報酬も追加獲得可

 ―――――――――――――――――――――――――


 これぞD.D.Gだから出来る“何でもあり”を実現化させたレースゲーム。マシンもエンジンの排気量もレギュレーションを全てオープンに、無制限の無法レースを周回計算して100キロを走るとなると一体どうなるのか。


 例えば、F1やSUPER GTといったフォーミュラマシンを用いるモータースポーツにおいて、レースで走る距離は約300キロ。それを基準にコースの距離を計算して50〜70周。これはフォーミュラの性能や重量などを配慮しての規則でありますが……


 では今回のD.D.G、100キロ走破で20周のレースを様々なマシンで行うとなると、一体どうなるか?



(ただレギュレーションを全て制限解除すれば良いわけじゃない。どう見たってF1やGTマシンがバイクに負けるわけがないし、100キロじゃピットインの回数も少なくなって時間配分も縮小される。………多分要となるのが、【ヴァーチャル・サプライシステム】なんだろうな)


 ハリアーはゲーム戦士も兼ねた()()()()()()。しかもモータースポーツの殆どを知り尽くし制覇もしているオールマイティなタイプ。だからこそこのオープンなルールに無謀と危惧を感じざるを得ない。

 だが更に輪を掛けるように、鷲尾が提案した勝負の駆け引きが、余計にハリアーの戦闘意欲を掻き立てた。


「言っとくが、このゲームはお前を俺たちの族に入れる為の謂わばスカウトみたいなもんだ。お前が俺らに勝ったらこの話はチャラ、ダチの鳶野(とびの)も開放してやる。だがお前が負けたら……」

「何だよ、マシン共々俺っちの命を差し出せってか?」


 いや、もっと彼にとって沽券に関わるものであった。



「俺達が勝ったら、“栄光の太陽”の欠片を全て寄越しな」

「――――!!」


 鷲尾らはハリアーの勧誘のみならず、ゲームチェイサーが獲得した“栄光の太陽”の欠片を横取りしようと企んでいた。これは彼にとって、そしてゲームチェイサーのチーム全体からして卑劣なる暴挙であると判断した。


 地底空間の人々の自由のために収集を決意した“栄光の太陽”。それを傍若なやり方でねじ伏せ、己のエゴの為に悪用する。

 同じ地底空間の住民としても、ゲーム戦士としても、時代を変える者としても風上にも置けない行為だ!



「………良いぜ。そこまで力で正義を示したいならここで見せてみろよ。F1でも改造車でも相手になってやる。俺っちの相棒は―――――スーパースポーツだ!!」


 ハリアーの愛車、エメラルドグリーンのカウルカバーで覆われたシャープなスタイリング。1000ccを誇るスーパースポーツバイクはサーキットでも十分に走りを披露出来るほどの速度とパワーを持つ。




 緑の旋風を呼び起こす走騎、名称は【THOUSAND(サウザンド)STORM(ストーム)1000HSX】。この愛車と共に、排気量制限無視な最新マシンとガチンコレーシングに挑む!!


 〘◇To be continued...◇〙

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