【PHASE5-1】ゲームチェイサー・日本各地へ
――皆様大変ご無沙汰しております!
櫻花咲く弥生の月に、馳せ参じまするはゲームチェイサー!
今回のゲームはお待ちかね、四人目の勇士、風見鷹平こと【旋風のハリアー】が大活躍。
普段はニヒルに装う彼も、ゲームとなれば嵐を呼ぶ。静岡・富士スピードウェイで繰り広げるモーターバイクレースで、ハリアーが吠えた! その理由は何か!?
さぁさぁ熱いゲームだ寄っといで! ネクストフェイズ!!
――まず最初の舞台は地底空間・アンダーグラウンドから。……といっても、毎回話の始まりはいつもここですけどね。
場所はB1階、人々が密やかながらも賑わいを見せる旧都エリアの“イーストTKエリア18”から、2キロ程北北西まで離れた地区の“エリア25”。そこでは打って変わって人の気配は全く無し。
自然に出来た清き蒼の地底湖と、天井には細長い石灰の鍾乳洞だけが我々を魅了するだけ。
……と思いきや、地底湖の辺りにて右上に傾いた小さな別荘が。序盤で読んだ方は覚えてるでしょう、この別荘こそがヒート率いるゲームチェイサー四人が同居している住処。
早速彼らの元へ向かおうと私Mr.Fが、別荘へ向かおうとしたが扉に壁紙が。
【お出かけ中! 用のある方はイーストTKエリア18の『パラケルスス』まで。―皆の兄貴、ヒートより―】
通りで周囲が静かすぎると思ったら、ヒートもハリアーもアリスもツッチーも皆外出中とは。……おや?
別荘の裏側に設置されているガレージのシャッターが開きっぱなしだ。
不用心な人達ですねぇ! ここが地底空間とはいえども、泥棒が入られない訳も無いのに。
このガレージは元々、ツッチーが制作したG.C.Tの試作品や、ハリアーの愛車であるスーパースポーツバイクを置く場所になってるんですが、そのガレージにある筈のバイクも無くて空っぽガランドウの空間。
……幸いにも盗難されている様子は無し。とにかく語り部なんですから、私が責任持ってヒート達に知らせなくちゃ!
〘◇Now Lording◇〙
――別荘の壁紙に導かれるままに、イーストTKエリア周辺の旧都へ向かった私。皆さんは既にご存知でしょうが、この旧都にあのゲームチェイサーの本拠地・古風な喫茶店の“パラケルスス”があるのです。
店内に入って、カウンター奥の食器棚でカモフラージュした隠し通路へと進めば居ました。
ヒートにアリスにツッチー、そしてゲームチェイサーを束ねる指揮官の“ジョーカー”こと麻空 丈一だ。
「……さて、皆に集まって貰ったのは他でもない。“栄光の太陽”の捜索範囲の拡大についてだ」
「拡大? 東京のド真ん中を探すだけじゃ見つからないって事かよ、ジョーカーおじちゃん」
「そういう事だヒート」
ジョーカーが出した計画を簡単に説明しますと、
現在ゲームチェイサーが探し求めている幻の秘宝“栄光の太陽”の欠片は、全部で推定300個はあってもおかしくない程に多い。そうなると、花の都の東京だけで欠片を探すとしても当然全てが揃うわけではない。
それに“栄光の太陽”の出現方法は、今の所は双空間ゲーム“D・D・G”だけ。そのゲームは東京だけでなく日本各地でランダムに出現する仕組みとなっている。……ここまで言えば、結論は見えてくるでしょうか?
「……つまり、『“栄光の太陽”を訪ねて三千里・日本各地ゲームツアー』って事か」
「勝手に計画を観光プランにするな」
ヒートの冗談はさておいて、ジョーカーの仰る通り、ここ連続ゲームチェイサーが東京にてDDGに挑み、手に入れた“栄光の太陽”の欠片の数はたったの3つ。
出現頻度も低い上、大都会でジョーカーが探索したものでもこれだけ確率が低いとなると、いよいよ都会を出て探索域を拡大せざるを得ないのだ。
「でもでも、“栄光の太陽”を探索してるのは私達ゲームチェイサーだけじゃないって事も頭に入れないとね」
「もう既に日本各地で、地上のゲームチームや名の知れた人達が欠片を集めている可能性もあると思われます」
ゲームチェイサーのアシスタント、天音ちゃんと琴音の双子の響波姉妹も横から注意喚起。ゲームにて野望を燃やすゲーム戦士達が皆血眼になって探している秘宝なのだから、既に奪われているケースも頭に入れねばならない。
「まぁ何れは争奪戦、なんてパターンも考えられるなこの前のルシファーみたいに。……やってやろうじゃんか!」
「でも地底の皆の為だもの、奪い合いになっても欠片を集めないと!」
「またワテも忙しゅうなるわ! どんどんG.C.Tを創っていかんとな」
活動範囲が広がった事により、俄然とやる気が湧き上がるヒート・アリス・ツッチーの三人。四大精霊の力を宿りしゲーム戦士の彼らなら、栄光の太陽獲得も決して夢ではないだろう。
次なるD.D.Gも健闘を祈ってますよ。頑張れ我等がゲームチェイ………って、あれ?
そういえば、ハリアーさんは何処行ったんですか?
「そうだ話に夢中になって気が付かなんだ、彼は何処行ったんだね?」
「さっきメール来たんだけど、ハリアーのヤツ急用が出来たっつって別荘から俺らと別れたっきりだぜ。ジョーカーおじちゃん」
別荘から? ……じゃあのガレージが開いてたのはハリアーさんが出掛けたからなんでしょうか。
「あ? 何いってんだよ語り部のおっちゃん」
Mr.Fです! さっき貴方達の別荘見に行ったら何でかガレージのシャッターが開きっぱなしになってたんですよ。
「えっ! ハリアーのヤツ、ガレージ締め忘れたんか?」
「ハリアーらしくないわね、一番火の元とか戸締まり気にするタイプなのに」
「ガレージはアイツのバイクがしまってあんねん、相当急いでたんちゃうか?」
等とメンバー一同真相の探り合い。―――すると、直感の鋭いヒートが何やら思い当たる節を見つけ出した。
「………もしかしてハリアー、ダチの件で絡まれてるのかも」
ヒートが醸し出したハリアーの友人の存在。それがガレージのシャッターを閉め忘れる程に取り乱し、ヒート達と別れてまで一人孤高に飛び出したのでしょうか。
だがこのヒートの予想は、的中していたのだ。……何故かって?
“旋風のハリアー”こと風見鷹平の居場所はズバリ、――――静岡県に位置する日本最大級のサーキット場・富士スピードウェイ。
ハリアーの友人を餌にして彼を誘い込ませた、数十名の暴走族集団によるD.D.Gにたった今、単独で挑もうとしていたのだから!!
〘◇To be continued...◇〙




