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第47話「天の光はすべて敵」【Fパート 突入】

 ※ ※ ※



「艦長! 合図来ました!」

「わかりました。進次郎さん、レーナさん、準備はよろしいでしょうか?」


 艦首の主砲砲塔にしがみつくハイパージェイカイザーへと通信を飛ばす深雪。

 返ってきたのは返事代わりのサムズアップ。

 それを見て、大きく頷いてから深雪は声を張り上げた。


「砲雷撃戦用意! 最大船速で目標へ突撃!」

「了解! 砲雷撃戦用意! 船速最大!」


 Ν(ニュー)-ネメシスのメインエンジンが後方へと炎を噴射。

 赤白い光を推進力へと変え、巨大な船体が見る間に加速していく。


「歪曲フィールド展開! 圧力最大!」

「歪曲フィールド展開! 圧力最大!」


 復唱と共に展開されるバリア・フィールド。

 活躍を見守るキャリーフレーム隊たちの間を突っ切り、速度を上げながらメタモス軍団の中枢へと突っ込むΝ(ニュー)-ネメシス。

 驚異と感じ取ったメタモスたちが、纏わり付かんと接近してくる。


「艦長、敵接近! 取り付かれます!」

「側面ビーム砲門全部開け! 味方機に当てないようデタラメに一斉射!」

「側面ビーム砲塔、一斉射!」


 Ν(ニュー)-ネメシスの側面から顔を出した砲塔から、無差別にビームが放射される。

 それはメタモス1体1体に対しては僅かなダメージしか与えられないであろうが、一瞬の隙を作り出すには十分な時間稼ぎを実現できた。


「艦長! 目標地点到達しました!」

「第一主砲塔に動力伝達! レーナさん、お願いします!」

「はーい! ウェポンブースター、起動!」


 元気のいいレーナの返事とともに、ハイパージェイカイザーの両腕から緑色の結晶が放たれた。

 主砲塔に纏わり付いたフォトン結晶によって、空間歪曲砲のエネルギーが跳ね上がっていく。


「主砲エネルギー、出力190%!!」

「ディメンショナル・フォトン・バースト、発射!」

「空間歪曲砲、発射します!!」


 砲塔より緑色の輝きをまとった光の渦が放出される。

 その渦は前方で壁のように固まっていたメタモスたちを薙ぎ払い、光が通った跡に丸い穴のような空間が開く。

 そしてその先には、1体の戦艦級メタモスの姿。


「おふたりとも、後はよろしくおねがいします」

「わかったわ! 進次郎さま、頼みましたよ!」

「ああ!」




 【6】


 ハイパージェイカイザーが、Ν(ニュー)-ネメシスの艦首から飛び出した。

 進次郎は確かに、前方の戦艦級メタモスの中にサツキの存在を感じていた。

 巨大なメタモスの先端に、ハイパージェイカイザーが着地する。


「進次郎さま、サツキさんはどこ!?」

「えっと……そこの目と目の間のところだ!」

「了解!」


 メタモスの上をハイパージェイカイザーが進み、進次郎が指定したポイントに到着する。

 そしてビームセイバーで表面装甲に傷を入れ、そこに手を差し込み強引に開く。

 決してサツキの姿がそこにあったわけではない。

 けれどもたしかにその存在を感じ取った進次郎は、ヘルメットをしっかりかぶっていることを確認してからコックピットハッチを開き、メタモスの中へと飛びこんだ。


「サツキちゃん──!」


 メタモスの傷の奥底。

 そこに足を踏み入れた進次郎の脚は、まるでぬかるんだ泥を踏んだような感触に囚われた。

 底のない沼に落ちたような感覚。

 危険を感じ飛び退こうとも考えたが、この向こうにサツキがいることを信じた進次郎は、決死の覚悟でその中へと潜っていった。


「進次郎さまっ!!? 進次郎さまーーーっ!!」


 背後から通信越しに聞こえるレーナの叫びが、徐々に切れ切れになっていき、やがて聞こえなくなった。



 ※ ※ ※



「レーナさん、どうしましたか?」

「進次郎さまが飲み込まれちゃった!! どうしよう!?」

「なんですって?」


 レーナは、ハイパージェイカイザーのコックピット内でうろたえることしかできなかった。

 助けに行ったはずが、飲み込まれてしまう。

 そもそもどのようにサツキを救い出すのか、そのプロセスを考えていなかったのがここで仇となった。

 何度も進次郎が消えていった先に叫ぶレーナであったが、突然操作もしていないのにコックピットハッチが開き、ハイパージェイカイザーがメタモスから飛び退いた。


「ちょっと、勝手に離れないでよ! 進次郎さまが!」

『すまないが、レーナちゃんを守るために勝手をさせてもらった!』

『周囲にメタモスが集結しつつあります。このままでは危険です』


 ふとレーダーに目をやると、周囲を完全にメタモスに囲まれ、Ν(ニュー)-ネメシスもまた甲板に無数の兵士級メタモスの侵入を許してしまっていた。

 襲いかかってくる兵士級メタモスをビームセイバーで闇雲に切り刻みながら、レーナは進次郎の名を叫び続けた。




    ───Gパートへ続く

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