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第45話「終末の光」【Fパート 果てなき戦い】

 【6】


裕太の背後に魔法陣が3つ出現し、それぞれジェイカイザー、ブラックジェイカイザー、そして〈赤竜丸〉が地面からせり上がるように出現する。


「エリィ、お前も戦うのか!?」

「裕太にだけ任せて避難はできないもの! あたしだって、戦えるから!」

「拙者も行くでござる! 敵が動き出す前に、乗り込みを!」

「ああ!」


 裕太は急いでジェイカイザーのコックピットへと続くタラップを駆け上がり、パイロットシートに腰を下ろした。

 操縦レバーを両手で握り、指先で神経接続のピリッとした痛みを感じる。

 外を映すディスプレイに光が灯り、背後で準備が整う僚機と、正面で見覚えのある形状へと変形しつつある謎の敵が目に入る。


「これは……宇宙怪虫の女王!?」


 敵が変形を終えると、メッキが剥がれるように金色の輝きが消え、そして甲高い声で咆哮した。

 その姿は、裕太が半年以上前に修学旅行で戦った、宇宙怪虫の女王の姿そのもの。

 巨大なカマキリのようなシルエットをしたその怪物は、ジェイカイザーのウェポンブースターを伴った攻撃でも打ち破れないバリアーを展開する強敵。

 同じ姿をした敵が同様の能力を持っているとするならば、裕太の取る手は一つだった。


「エリィ、合体だ!」

「え? もう!?」

『初手で合体など、ヒーローのやることではないぞ!』

「言っている場合か! パワー不足で苦戦している時間はない! ジェイカイザー、ハイパー合体!!」


『おう!』

「ええ!」

『合体プロセスを開始』


 空中に、ジェイカイザーとブラックジェイカイザーの2機が飛び上がった。

 エリィの乗るブラックジェイカイザーの四肢が分離し、巨大な手足へと変形する。

 空中に転送された合体パーツがジェイカイザーの足を火花を上げながら包み、そこに変形したブラックジェイカイザーの脚が合体。

 今度は合体パーツがジェイカイザーの腕を通し、一体化。

 足のときと同じようにブラックジェイカイザーの変形した腕が装着される。

 エネルギーが通り光のラインを浮かび上がらせる腕から、金色に光る手が伸び力強く宙を握る。

 残されたブラックジェイカイザーの胴体が上下に分離し、上半分が仮面をかぶせるようにジェイカイザーの頭部を包み込む。

 残りの合体パーツが次々と舞い上がり、ジェイカイザーの胴体を覆っていく。

 最後に残されたブラックジェイカイザーの胴体がコックピットハッチを守るように装着され、胸に輝くエンブレムが現れた。


 そして、仕上げとばかりにジェイカイザーの口元が鋼鉄のマスクで覆われる。


『時間もないので中略しつつ、閃光勇者ハイパージェイカイザー! 理論値最速で見参っ!!』


 長々とした合体の最中に、事態は進んでいた。

 真っ赤に燃え上がる炎をまとった剣を握った〈赤竜丸〉が、カマキリとのチャンバラから離脱。

 剣を構え直し、必殺技の前モーションに入っていた。


「オヤジ、先走りやがって!」

「ええい悠長な合体など待ってはおれぬ! しょうりゅうざん!! 」


 下から上への、ジャンプを伴った切り上げ。

 炎の剣が描く残光が、まるで天へと立ち上る竜を幻視させるその技によって、女王虫が真ん中から断面を炎上させながら左右へと切り開かれた。


「やったかっ!?」

「バカ、オヤジ! そんな事言うと……!!」

「なにっ!?」


 つんざく断末魔を放ちながら左右に別れた女王虫が、空中融解し金色のふたつの球体へとその身体を変化させる。

 かと思うとその球体は再び形を変化させ始め、今度は人型のマシーンのような姿へと変形した。


「あれは……〈マグナドーン〉!?」

「エリィ、知っているのか!?」

「ほら、ジェイカイザーと会って間もない頃にドラマの撮影あったじゃない。あの時にやられメカとして用意された大道具のベースの機体よ! 旧式だけど強力な……重機動ロボ!」




    ───Gパートへ続く

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