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第45話「終末の光」【Eパート 金色の脅威】

 【5】


 しばらく唖然と天を仰いでいた進次郎が、ハッと我に返るなりマザーの襟元を掴み上げる。


「おい! サツキちゃんに何をした!?」

「ええいお主、姉様あねさまに何をするか!」


 いつの間にかクレーターを降りていたシェンが、マザーから進次郎を無理やり引き剥がす。

 手当り次第に殴りかからん勢いで暴れる彼を抑え込むべく、裕太たちも加勢して止める。


「よせ、進次郎! 落ち着け!」

「サツキちゃんはどこへ行ったんだよ! おい!」

「……間に、あいませんでしたか」


 そう呟き、力なく地面に倒れ込むマザー。

 このままでは話も聞けそうにないなと思った裕太は、進次郎を抑え込みながらマザーを保健室へと運ぼうと提案する。

 なんとかクレーターの外へと女性陣でマザーを運び、進次郎とともに裕太も校舎へ向かおうとした時、信じられない光景が裕太の前に広がっていた。


 まるで天を目指すように空を登る、無数の金色に光る輝きたち。

 中庭のベンチの内ひとつや、池の鯉の数匹、植木の花のいくつかや地面に転がる小石たちが。

 そしてクレーターを見下ろしていた学校職員の何人かが、まるでサツキに起こったことをトレースするように金色の液体へと融解し、次々と上空を目指し飛び去ってゆく。

 それは学校だけのことではなく、敷地の外でも、おそらくは世界中で、同様のことが起こっているのかもしれない。

 街全体にザワザワと困惑の声が木霊し、しきりに悲鳴が聞こえてくる。


「何が……起こっているんだ……!?」

「水金族が、宇宙を目指しているのぉ……?」


「勇者どの! これは何事でござるか!?」


 校舎の中から飛び出してきた作業着の男、ガイが裕太へと詰め寄った。

 裕太としても何が起こったのかがわからないので、黙ったまま首を横に振る。


「拙者の使っていた箒も、溶けて飛んでいってしまったでござる! これはまるで、終末の光伝説のようではないか!」

「終末の光伝説? オヤジ、それは何なんだ!?」

「タズム界に伝わる伝説でござる。天より輝きが落ちし時、輝きの家族は空へと昇り、やがて終末の光が降り注ぎ世界は終焉を迎えると……」


 天より落ちし輝き、それは先程降ってきたマザーで間違いはないだろう。

 そして輝きの家族とは、彼女が生み出し地球の様々な物体に擬態させていた水金族。

 そこまでが合っているのならば、これから起こるのは終末の光が降り注ぐということではあるのだが。


「笠本はんっ! 後ろや!」

「うし……ろっ!?」


 裕太が振り向くと、そこには金色に輝くひとつの巨大な球体が浮いていた。

 そしてその球体はまぶたを開くように展開し、ギョロリとした瞳が表面に浮かびあがる。

 ファンタジーゲームで見るような、浮遊する目玉のモンスターを彷彿とさせるそれは裕太を一目見ると、目を閉じて姿かたちを変容し始めた。


「勇者どの、戦うでござるっ!!」

「あ、ああ! 進次郎たちは、安全なところに避難を!!」


 裕太は叫んでから一歩前に出て、携帯電話を手に取り天高く掲げ、そして叫んだ。


「来いっ! ジェイカイザァァァッ!」




    ───Eパートへ続く

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