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第45話「終末の光」【Dパート 発動】

 【4】


 昼食が終わり、中庭で思い思いに過ごす面々。

 レーナと内宮は、携帯電話で何やら動画を見ながら盛り上がっている。

 シェンとナインは、鯉の泳ぐ池を興味津々。

 一方、進次郎はサツキのご機嫌取りに必死になっていた。


 そんな様子をベンチに座ったまま眺め、裕太はエリィの手弁当に満たされた腹を手で擦る。


「いやあ、美味しかった。絶品だった」

「嬉しいわぁ! 早起きして作った甲斐があったってものよぉ!」

『羨ましいぞ、裕太! 私もジュンナちゃんから愛妻弁当をもらいたいぞ!』

『どうやって食べる気ですか? それともコールタール100%弁当でも要りますか?』

『それはもはや水筒ではないか!?』

「ジェイカイザー、ツッコミのベクトルがズレてね?」


「はっはっは、相変わらずにぎやかだね。笠本裕太くん」


 にこやかに笑いながら現れたのは、スーツに身を包んだ老人・訓馬だった。

 突然の学校への意外な来客に、裕太はかしこまりつつも立ち上がる。


「訓馬さん、どうしたんですか突然」

「いや、なに。君たちの耳に入れたい情報がひとつあってね」

「なんだか久しぶりねぇこの感じ。前も訓馬さん、学校に来たことあったわよね」

「それもそうだな。あの時もジェイカイザーについてのことだった」

『あの時もということは、博士。もしやまたも私についての新情報が!? 今度は何だ、新形態か? それともついに構想だけはされていたとされる、単身での変形機能の実装が!?』

「いや、そのどれも違う。ジェイカイザー、君は────」


「みんな伏せろッ! 隕石が降ってきたぞーーー!!」


 軽部先生の叫び声から間もなく、大きな振動が裕太たちを襲った。

 声に反応して姿勢を下げていたため裕太たちは大丈夫であるが、他の皆がどうなっているかを見ているほど余裕はない。

 窓という窓がガタガタという音を鳴らし、遠くからは鳥が一斉に羽ばたく音や悲鳴が響き渡る。

 ほんの数秒の振動ではあったが、程なくして収まり、休日故に少ない学校中の人がザワザワと窓から顔を出し始める。


「い、一体何があったっていうんだ?」

「みんなは……無事そうねぇ。訓馬さんは大丈夫?」

「私も無事だが……今の振動は」

『裕太見ろ! グラウンドの方だ!』


 ジェイカイザーに促され校庭を見ると、その中央に大きなクレーターが出現していた。

 走り寄って慎重にそのクレーターを覗くと、そこには地面へと突き刺さった金色に光る円錐がひとつ。

 裕太に続き、進次郎やレーナたちも次々とクレーターを覗き込む。


「何だあれは?」

「黄金のピラミッド……にしてはツルツルね」

「金色て、サツキはんと関係があるんやないか?」

「もしかして……お母さん?」


 サツキがクレーターの坂道を下り、中心へ向けて歩く。

 彼女が近づいたのに呼応するように、金色の円錐が溶けるようにその形状を変化させ、やがて人の姿となった。

 その人物の顔を見て、シェンが叫ぶ。


「……姉様あねさまではないか!」


「お母さん、どうしたんですか突然?」

「サツキ、あなたはまだ無事なのですね? どうかこれを……」


 疲労困憊といった表情のマザーが、サツキに何やら金色の石のようなものを手渡したのが裕太には見えた。

 受け取ったサツキが何だろうといった感じに指で摘んで持ち上げた、その時だった。


「ううっ……!?」


 突如、胸を抑えて苦しみだすサツキ。

 進次郎がクレーターを滑り降りて駆け寄ろうとするが、うめき声を上げながらサツキが液状へと融解していく。


「サツキちゃん!?」


 崩れ行く彼女へと手をのばす進次郎であったが、その手が届く前にサツキだった液体が空中に浮かび上がり────


「サツキちゃぁぁぁん!!!」


 ────そのまま天高く舞い上がり、あっという間に見えなくなった。




    ───Eパートへ続く

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