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勇者系ロボットが目覚めたら、敵はとっくに滅んでた ~ロボもの世界の人々~  作者: コーキー
第一章「覚醒! その名はジェイカイザー!」
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第4話「ドラマの中の戦争」【Fパート 炸裂カイザーアクアインパクト!】

「銀川さん、電話を貸して! 裕太、僕は天才的な作戦を思いついたぞ」

「進次郎、もったいぶってないで早く言え!」

「まあ聞け。ビームというのはいわば高温の物体だ。それが大容量の水の中へと差し込まれればどうなる?」

『お湯になるのではないのか?』

「いや、蒸発するんじゃ?」

「馬鹿者、水蒸気爆発が起こるのだ! なんとかビームセイバーを川に誘導するんだ!」

「無茶言うな! そんなことできるかよ!」

「では大量の水をやつにぶっかけてやれ! ビームセイバーを機能不全に陥らせることくらいはできるはずだ!」

「そう言われたって、どうやって水なんか……」


 そう言いつつ周囲を見渡し、裕太は巨大な金ダライの存在に気づいた。

 あれを川に沈めれば水が確保できるだろう。

 しかし、そんな悠長なことをやっている暇はない。


「進次郎。その作戦に乗りたいのだが……そっちで何とかしてあいつに隙を作れないか?」

「は? 無理言うな! 僕にアイツの足元で手旗信号でも送れというのか!?」

「笠本さん、私ならできますよ!」


 進次郎の横から割り込むように聞こえてきたのはサツキの声だった。


「じゃあ金海さん、なんとかして頼む!」

「わかりました! おまかせください!」


 元気のいい返事とともに、サツキが走る音が聞こえてきた。

 裕太は〈ドゥワウフ〉との距離を一定に保ちつつ、徐々に金ダライのある場所へと近づいていく。

 しびれを切らしたのか〈ドゥワウフ〉がジェイカイザーのもとへと踏み込もうとしたその瞬間、〈ドゥワウフ〉の左肩に何かが煙を上げながらぶつかり、小さな爆発を起こしす。

 裕太がジェイカイザーに金ダライを掴ませながら視線で煙をたどると、そこにはバズーカ砲のようなものを構えた、何故か薄手のタンクトップ姿になったサツキがいた。



 ※ ※ ※



 サツキはバズーカ砲を腕の中へと溶け込ませるように仕舞い、坂を駆け上がってエリィ達のもとへと走り戻った。


「私、やりましたよ!」


 ふんすと鼻を鳴らしながらドヤ顔で戻ってきたサツキに、進次郎は「お、おう」と煮え切らない言葉で迎える。


「金海さん……あなた、何を飛ばしたのぉ?」

「私の身体の老廃物や排泄物を変化させて作った弾頭です! 質量が少々足りなかったので服に回している部分も少し使っちゃいましたけど」

「べ、便利な身体ねぇ。でも金海さん、女の子が排泄物なんて言葉使っちゃはしたないわよぉ」

「はーい! わかりました!」


 わかっているのかいないのか、サツキは笑顔で手を上げて返事をした。



 ※ ※ ※



 爆発を受けた〈ドゥワウフ〉がキョロキョロとしているうちに、ジェイカイザーは金ダライを川に沈めて引き上げ、タライいっぱいに水を入れた。

 ジェイカイザーの怪しい行動に気づいたのか〈ドゥワウフ〉がビームセイバーを構え向き直る。


「今更気づいても遅い! くらいやがれ!」

『カイザーアクアインパクト!』


 ジェイカイザーが叫ぶ即興の技名とともに裕太は金ダライを振り回し、水の塊を〈ドゥワウフ〉へとぶちまける。

 正面から大量の水を浴びた〈ドゥワウフ〉が後ずさるが、ビームセイバーにかかった水が音を立てて水蒸気と化し辺りが白いモヤに包まれた。

 だが、モヤ越しに見えるビームセイバーの光の刃は動作不良どころかあいも変わらず爛々と輝いていた。


「進次郎めぇぇ! 適当ぶっこきやがったなぁぁ!」

『裕太、裕太!』

「何だよ」

『裕太、霧で見えない今がチャンスだ!』


 ジェイカイザーに言われ裕太はハッと気づいた。

 こちらからは相手のサーベルの光で位置がわかるが、向こうからこちらの位置は見えないのではないか。

 ならば霧が晴れない内にと、裕太はペダルと思い切り踏み込み操縦レバーを押し込んだ。

 すると手に持った金ダライを振り上げながらジェイカイザーが跳躍する。


『必殺! カイザー金ダライクラッシャー!!』


 そして金ダライを思い切り振り下ろすと、グワァンという金属音と共に〈ドゥワウフ〉の頭部が火花をあげグシャリと潰れ、砂煙をあげながら仰向けになるように轟音をたてて倒れた。



 ※ ※ ※



「……嘘やろ? こんな負け方、認めへんで……!」


 〈ドゥワウフに〉を操縦していた内宮は毒づきながら真っ赤なレバーを引く。

 そして、懐から小さな円柱状のプラスチックケースを取り出し、蓋を開けながら呟いた。


「……跳躍!」




 ※ ※ ※



 倒れて動かなくなった〈ドゥワウフ〉を見下ろし、ジェイカイザーが喜びの声を上げた。


『裕太! 無事に勝つことができたな!』

「まだだぞ、ジェイカイザー。こいつの操縦者を引っ張り出して動機の一つでも聞かないと俺の気が済まん」


 裕太はそう言って、ジェイカイザーに〈ドゥワウフ〉のコックピットハッチを掴ませ、ひっぺがさせる。

 しかし、コックピットの中には誰も乗っていなかった。


「あれ? 誰もいな──」


 メインカメラをコックピットに向けた裕太の目に入ってきたのは〈ドゥワウフ〉のコックピットのモニターに映された残り10秒、残り9秒と変化する真っ赤なカウントダウンの数字。そしてカチッカチッと時計が時を刻むような音がかすかに聞こえてくる。

 カウントダウンと赤い画面、そして時計の音から導き出される答えは──爆弾。


「!!!?!」


 声にならない声を出しながら後ろに下がろうとしたところで〈ドゥワウフ〉から強烈な光が放たれ、裕太の意識はそこで途切れた。



    ───Gパートへ続く

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