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第25話「奇跡のハイパー合体!」【Dパート 苦戦】

「裕太くん、よく来てくれた」

「エルフィス、遅れて悪い。アイツは俺たちがなんとかするから警察たちと避難誘導の手伝いに行ってくれ」

「わかった。あとは頼む」


 自らのやるべきことがわかっている、という風にマントを翻して魔法騎士マジックナイトエルフィスが立ち去った。

 彼が時間稼ぎをしてくれたことも、その攻撃の一切が通用しなかったことも道中で映像で見ている。


 今やれるのは、自分たちだ。


「さて、と」


 巨大さに見合ったゆっくりとした動きで前進する機械魔獣を見据え、裕太は大きく生きを吸った。

 その隣ではエリィが、携帯電話に向かって怒鳴り散らしている。


「ちょっとジュンナ! これからあなたの力が必要なのに遅いわよぉ!」

『必要ならばもっと事前に連絡をしてください、マスター。私は家事を終えて至福の充電タイムに浸っていた所なんですよ』

「あなたって充電式なのぉ?」

「おい」


『もちろん。食事からでもエネルギーの補給はできますが、やはりコンセントに給電プラグを刺しながらの昼寝が最も快適ですね。ちなみに個人的なお気に入り充電スポットはご主人様のベッドの上です』

「おーい」


『ジュ、ジュンナちゃんの充電ケーブルはどこから伸ばしているのだ!?』

『少なくともあなたに言いたくないところから伸びてます』

『な、なにっ!!』


「おいっつってんだろテメエら!! せっかく格好良く登場できたのに痴話喧嘩で台無しにしないでくれよ!」


 耐えきれず怒号を放つ裕太。

 携帯電話の中でジェイカイザーがバツの悪そうな顔をしているのが逆に腹立たしい。


『申し訳ありません、ご主人様。一つ訂正ですが痴話喧嘩ではありません』

「あたしは、笠本くんと夫婦喧嘩はしたいかなぁ……♥」

「はいはい。それじゃあ銀川、行くぞ!」

「むー、聞き流さなくったっていいじゃないのよぉ」


 裕太がポケットの中の携帯電話を掴み、空高く掲げる。

 同時に、エリィも携帯電話をまっすぐ上へと持ち上げた。


「来いっ!」

「来て、ブラック……!」

「「ジェイカイザー!!」」


『正確にはブラックジェイカイザーウィングネオカスタムですよ』

「あのなー」


 背後に現れる魔法陣。

 大地よりせり上がる双つの巨大な影。

 大怪獣を前に、現れる二人の巨人。

 少年少女が乗り込み、立ち上がる鋼鉄の勇者たち。


「どうしてこう、カッコよく締めさせてくれないのか」

「そう言われたってねぇ」

『我々が我々ゆえに難しいのだ! わっはっは!』

『私を変人に加えないでください。私は正常ですよ』


 心のなかで(ジュンナ、おまえも十分変なやつだよ)とツッコミを入れながら、操縦レバーを握りしめる裕太。

 ペダルを踏み込み跳躍するジェイカイザーが、ショックライフルを構え引き金を引く。

 ほぼ同時に、エリィが搭乗しているブラックジェイカイザーもショックライフルを連射。


 放たれ、炸裂する光弾。

 被弾箇所を蚊に刺されたようにポリポリと掻く怪獣。


「おい、ボウズ。ヤツに並の武器は効かんぞ」

「わっ! 大田原さん、通信入れるならもしもしくらい言ってくださいよ!」


 眼前のコンソールに突然現れた大田原に向けて、ひっくり返りそうになった身体を元の姿勢に戻す。


「まあ聞け。ショックライフルや電磁警棒、それからあのデフォルメ騎士の良くわからん攻撃もいっさいがっさい効かなかったぜ。もっとド派手な新兵器とか無いのか?」

「ド派手な新兵器って、そうそう毎週のように新しい武器が出りゃしませんよ。……そうだ、火力が足りないんだったら!」


 画面を専有している大田原の顔を指でスライドして端に追いやり、現れたアイコンを突く。

 モニターに「ウェポンブースター起動」と文字が現れ、ジェイカイザーの腕部が展開、緑に光る結晶が放出された。


「銀川、ハイパージェイブレードで同時に仕掛けるぞ!」

「ええ、了解!」


 横に並び、まるで動きをトレースするかのようにウェポンブースターを起動するブラックジェイカイザー。

 2機の巨人が剣を手に取り、大怪獣に向けて天高くその刃を掲げる。


「行くぜ、必殺!」

『ジェイブレード天空斬り』

「ハイパーフォトン切りよぉ!」

『強化極光剣というのはいかがでしょう』

「せめて合わせろ! どりゃああっ!!」


 光り輝く巨大な刃がX字を描くように同時に怪獣へと振り落とされる。

 やったか、と思った矢先に止まる刃。

 塔のような巨大な腕で剣撃を受け止めた怪獣は、そのまま口から光線のようなエネルギーを放射し、ふたつのジェイカイザーを吹き飛ばした。


 バーニアを噴射し、なんとか着地するジェイカイザー。

 背中から落ち、仰向けに倒れるブラックジェイカイザー。


「銀川、大丈夫か!?」

「いったぁーい! 頭をぶつけちゃったわぁ!」

「叫ぶ元気があるなら大丈夫か。しかし、どうしたもんかコレ……」


 未だ無傷で前進を続ける怪獣を前に裕太はひとしずく、冷や汗をコンソールに落とした。



  ────Eパートへ続く

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