異界の門と、合流者
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更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
頑張って更新頻度上げていきたいです。よろしくです。
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「それじゃアまず。計画とやらのあらましとか、お前らの役割とか。……どうせ首謀者に関してはバラせねェように呪い掛けられてんだろ? 言える範囲でいいから知ってること喋ってくンねェかな」
カラハは鳩座から没収した居合刀をもてあそびながら目の前の二人を見遣った。
疲れたから座りたい、という立場をわきまえない瑠璃子の提案により一同は高校の体育館傍に移動し、入り口の段差にカラハ以外の三人は腰を下ろしている。経緯はどうあれ瑠璃子はこの面子の中で唯一の『先輩』であり、基本的に先輩の言う事にはハイとしか言えないのがこの大學の『後輩』の習性である。よってこの流れも当然のものと言えよう。
ナユタはついでとばかりにロケットランチャーのコンテナを交換したり銃弾を補充したりと準備に余念が無い。そのせいでカラハが交渉とは名ばかりのど真ん中剛速球の尋問をする羽目になっているのだが、時間が無いこの状況ではそれも致し方無しだ。
「呪いの事も知られているのか。ああそうか、宮元君からの情報か」
「まァそういうこった」
瑠璃子は流石に眠気が限界なのか、自分の翼にくるまって座ったままこくりこくりと舟を漕いでいる。ンな使いこなし方してんじゃねェよ、と呆れながらカラハは再び鳩座に質問を投げる。
「で、どうなんだ?術についてでも何でもいいから、教えてくんねェか」
「んん、そうだな。術を行う為の陣は大學の構内にある、とか」
「それは目星付いてンなァ」
「じゃあ、拉致した後輩らは生きてる、とか」
「それも知ってンな」
「あと、僕達は攻撃隊が全滅したから急遽戦う事になった時間稼ぎだ、とか」
「それもまァ、薄々勘付いてた」
「ははは困ったな、教えられる事が何も無いな」
「ふざけてンじゃねェぞこの野郎!?」
笑う鳩座にカラハは切れそうになるが、思わず手の中の居合刀に霊気を重ねて今すぐ頭から叩き切りたい衝動を、刀を力一杯地面に突き刺す事で何とか堪える。自分でも言った通りこいつは時間稼ぎをしているのだ、冷静にならなければ、と。
ちなみに刀は三十センチ程が踏み固められた堅い土に刺さったのだが、ナユタは勿論、鳩座もそれを見て見ぬ振りをした。が、少しだけ目が泳いでいた。
カラハは何事も無かったかのように刀を土から引き抜くと鞘に戻し、杖代わりに凭れながらしばし黙考する。薄く目を閉じて思考を巡らせたのち、カラハはゆっくりと瞳を開いた。
「時間稼ぎ、って言ったな。もうすぐ術は発動すンのか? 確か宮元が、お前は陣の手伝いをしていると言ってたが、傍に居なくてもいいのか?」
カラハの黒い瞳を鳩座は真っ直ぐに見返して、薄く笑った。
「そう、陣はもう直ぐ発動する。術のプログラムはもう走らせてあるから、僕達が付いていなくとも大丈夫」
「何をする為の術だ」
「そうだな。君達曰くの『首謀者』の言葉で言うならば、『災厄を喚ぶ』という奴だな」
「まさか召喚術なのか?」
「いいや──」
鳩座はカラハの問いに首を振ると、笑みを崩さず言葉を続けた。
「──門を開くんだ、異界とこちらを繋ぐ門を」
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それ以上は絶対に口を割ろうとしない鳩座の尋問を諦め、カラハとナユタは再びバイクに乗って走り出した。寮生長からの通信に応答しながら、ゆっくりと外周を流す。
『じゃあ一回生の六人は無事戻って来るんですね』
「うん、鳩座君と鳥の皆さんが責任持って朝までに寮に運んでくれるそうだよ」
『それは一安心です。それから陣の在処はどうですか。何か手掛かりは?』
「今ンとこ何も無ェな。多分それなりに大きいモンの筈だから、空き地とかグラウンドとか、そういうだだっ広い場所かと思ってたンだが──」
『こちらでも式神を使って探してみてるのですが、それらしい物はまだ見付かりませんね。そろそろ先輩方が到着するので、先に合流して貰えますか?』
「了解。じゃあロータリーに向かうね」
カラハが大學の正門に辿り着き坂を登り始めたところで、後ろから立ち漕ぎで追ってくる自転車がチラリと見えた。
「あれが先輩らか?」
「あ、うん、間違い無いよ。ライジン先輩とイズミ先輩だよ」
カラハの問いに、後ろを振り返ったナユタが応えた。坂を登り切りバイクを停めると、自転車も直ぐに追い付いて、降りてくる人影が二人。
チャラい感じの茶髪の青年に手を引かれ、黒髪ロングの背の小さな女子がいかにも眠そうに目を擦りながら近付いてきた。
「ちーっす。俺っちは三史のカラスマ・ライジン。よろしくっす。──ほらイズミちゃん先輩も自己紹介、ホラホラ寝ちゃ駄目っすよ」
「……四神、イサミ・イズミ。……ねむ、……」
「だから立ったまま寝ちゃダメだってホラ。これからあやかし退治なんだから」
マイペースなイズミの世話を焼くライジンの姿に、カラハは半笑いで肩をすくめナユタの方を見た。
「あの先輩らって、いつもあンななのか?」
ナユタも生温かい表情でふうと息を漏らす。
「そうだよいつもあんなだよちくしょうリア充爆発しろ」
「付き合ってンの、あの二人?」
「本人らはただの幼馴染みだって頑なに否定するんだけどね。マンションの部屋隣同士だし基本ずっと一緒だし他人からすればどこをどう見てもカップルだろっていうちくしょうリア充爆発しろ」
そんなカラハとナユタの遣り取りに、イズミを起こそうと必死なライジンが悲痛な声を上げた。
「だから違うからそんなじゃないから! いつも言ってるけど違うから! てーか二人共手伝って、イズミちゃん先輩起こして、ねえ起こして!?」
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結構掛かりましたが一章もだいぶ大詰めとなってまいりました。
ところでヒロインがまだ一行たりとも出ていないのです。なんかすみません。
二章からはヒロイン以外にも女の子出てきますし女子寮の話も出てくる予定です。
よろしくですです。
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