エピローグ
このエピローグは・・・・とあるモンスター視点での話です。
・・・・私はいつものように森をさまよっていた。
自身が人から恐れられるモンスターであると言うのが分かるが、それでも何故か人が恋しくなる時があった。
木々の上に糸をひっかけ、あちこちを縦横無尽に飛び回ってその気持ちを晴らすかのように私は動き回る。
「・・・・ん?」
ふと、途中で人の声が聞こえたかのような気がした。
どことなく懐かしいような気もするが、なぜだろうか?
私はこれまで人の声を聞きはしたが、このように惹かれるような想いにはならなかった。
「お母さーん、おとうさーん!!」
その声の方へ向かって見ると、幼き人の子が自身の親の事を叫びながら泣いているところを見つけた。
この森で迷子になったようであり、不安と悲しみがその子の中で渦巻いているような気がした。
この時不思議にも、私はこの子に惹かれるものを一層感じ、また、悲しそうな声を聴きたくはないと思って近づいた。
「・・・・・どうかしたの?」
「ふぇ・・・・クモっ!?」
あ、私の下半身の方だけ見えているのか。確かに蜘蛛ですけどそのような驚かれ方はちょっと心に来るなぁ。
「こっちが話しかけているのですが・・・・・・・・・」
その子に私が見やすいように足を曲げて身をかがめ、目線を合わせる。
「・・・女の人が刺さっているの?」
そう来るんですか。いや、見た目的には自覚はあるんですがね。
「いえ・・・私はこの森に暮らしているモンスターです。ですが・・・襲う気はありませんよ。鳴いている声が聞こえて、力になってあげたいかなと思っただけです」
ちょっと拗ねていったけど、ぽかんとその子は口を開けて驚いているようだった。
・・・・でも、すぐに泣き止んで、しがみついてきた。
「ありがとう・・・ございます」
涙を拭くかのように顔を拭いてお礼を述べてきた。
・・でもなぜだろうか。初めて見た子供なのに、どこかしらの懐かしさを感じるような気がする。
「・・・そういえば、蜘蛛のおねぇちゃんは何て名前なの?」
すぐに元気になったようで、そのような質問をしてきた。
「名前ですか・・・・・いえ、ないですね」
人と交わらずに暮らしてきてもいるので、私にはそもそも名前と言うようなものがない。
名乗れないというのが、この時なんとなく寂しいような気もした。
「だったら僕が付けてあげるね!!・・・・・そうだね、『ハクロ』って呼んでもいい?」
ハクロ・・・・その名を聞いたときに、不思議とさらに懐かしさがこみ上げる。
なぜだか、この子供についていきたくなるようなそんな名前・・・
「ハクロ・・・・そうですね、これからそう名乗りますかね」
ハクロと言う名前をもらい、私はその子供を抱える。
彼の両親らしき人たちが探しているのは、この森中に細かく張った糸ですでに感知はしている。
・・・・・・そこから先は、その少年が私を家族として迎えてくれて、幸せな日々が始まったのだが、それはまた別のお話・・・・。
都合上と言うか、ネタづまりなどもあって、今回をこの物語の最終回とさせていただきました。
前作よりはブックマーク数の伸びはなかったですが、それでも呼んでくださった方々に心からの感謝の言葉とお礼を述べます。
・・・世界は変われど、彼らは再び巡り合います。ループと言ってもいいかもしれませんが、これも彼らの運命であり、必ずどこかで再会ができるのです。
永遠の絆がなすことができる一つの奇跡のようなものを現しているかのようにしました。
魔物使いの話の新作も作成中であり、新たな彼らの物語がやってきます。果たして、彼らはどのように成長し、巡り合うのでしょうか・・・・・
長い間のご愛読、本当にありがとうございました!!
・・・あ、ワゼなら別作品にも登場予定です。忘れてはいませんよ。




