・・・それからの月日
本日2話目
やや簡素なのは許してください
・・・アンバル共和国までの道のりは決して楽なモノとは言えなかった。
盗賊が出るわ、通りかかった村で悪徳領主に襲われるわ、違法な奴隷狩りをしようとする悪徳商人が出るわで結構滅茶苦茶だったような気がする。
まあ、全部皆で撃退したけどね。盗賊は地面に埋め、悪徳領主はそのいあっまでやってきた悪事をすべてさらけ出させてトラウマも植え付け、国の方へと連絡を入れて物理的にも・・・・ね。
悪徳商人の方は違法性あり過ぎたのでこちらは徹底的に壊滅させた。
捕らえられていた奴隷たちは身元が分かれば返し、行く当てのない者たちはとりあえずその場に適当に村を作ってもらうことにした。
皆で協力して、あっという間に小さな村が一つできたところで僕らはアンバル共和国への旅路を再開した。
海を越え山を越えて、アンバル共和国へ到着後僕らはそこに新たな家を購入し、そこで生活をすることにした。
ギルドもあるので冒険者業をしばらく続けた
・・・・まあ、その他の収入源としてワゼがそこで働いたり、
スルトがマッサージ屋を開き繁盛し、
ツバキが夏でもかき氷の販売、冬だとかまくらづくりの協力を、
アルテミスが薬屋を開いて多くの病人をすくったり、医療技術を進歩させたり、
ルミナスが精霊魔法であちこちの飾りつけの手伝いをしたり、
ミアンと紅桜が訓練施設なるものを立ち上げてその国の兵士たちの訓練を手伝ったり、
リーゼとロウは孤児院で子供たちに紛れて遊んであげたり手伝ったり、
ヤタと僕とハクロとロズで布団や絨毯を作ったりして、そこそこ繁盛したよ。
というか、それぞれの能力って今さらながら結構汎用性があるな・・・・。あ、エリーの場合は僕らの荷物持ちとかに徹していたな。
それから月日が経ち、いつの間にか新たに従魔が加わって来ていたりして・・・・まあその、人型のメス系統のが多かったわけでして・・・というか、来るならウルフとかグリフォンとか来てほしいと思っているのになんでだろうか?
・・・・さらに年月が経ち、ある時ついに僕らにも子供ができた。
忙しい時期に出来ないように薬で抑えていたが、落ち着いてきて使用しなくなった途端に全員懐妊だよ。
ハクロたちの場合、生まれてくる子供は同じモンスターの可能性があったんだけど・・・・・不思議なことに、人の子とほとんど変わらなかった。
でも、違うとすれば親の従魔の能力の一部を受け継いでいるみたいなところだったかな。
糸を手から出す、翼がないのに手を上下させるだけで飛ぶ、身体が極端に柔らかい、水に関しての魔法が自由自在、薬草学に長けている、・・・・・・その他結構いろいろ受け継いでいるようねコレ。
「これって種族的にはどうなるのかな?」
「そうですね・・・・人間でもないし、モンスターの能力を受け継いでいますから、魔族と言ってもいいのかもしれません」
新種族爆誕したよ。なんかやっちゃったような気がするけどいいかな?
・・・・そこからさらに歳月がたち、なぜかアンバル共和国から独立してしまって、国ができていてそこの王にされてました。
いやもうあれやこれやそれやとされていたら、本当に流されるままにね。周囲に流されていると怖いってつくづく思ったよ。
冒険者業もすでに引退をして、せっかく王にされたのであちこちの外交とかもやってみました。あ、国名は「魔国」というひねくれもないそのまんまの国ですね。誰だこの国名考えたのは?
・・・そういえば、ルーナス王国とアラモス帝国の戦争だが、この時点ですでに王国の敗北が決まっていて、現在帝国の属国となっているようです。
そのせいか、僕らにどうにか独立を援助するような手紙が来ているけど・・・・やったモンは仕方がないでしょ。ロズはそっちの王族出身だけど、別に政略結婚とかではないしね。
帝国の方はって?うん、こっちはこっちで友好を結びたいとか来ているし結びました。
「来るもの出来るだけ拒まず」と言うのをつぶやいたらそれがこの国の決まりみたいなのにされたんだけどね。
もう少しいい言葉を言えばよかったと後悔しているな。
さらに歳月がたち・・・・僕もずいぶんと年を取った。
もう爺さんと言ってもいいような感じで孫までできていたよ。子供の成長って早いな。
・・・ロズはすでに他界してしまった。寿命で大往生したよ。
ルミナスの方は、ハーフダークエルフだから人よりも寿命が長いはずだったけど・・・・こちらも寿命だったようです。年齢をやや偽られていたようだけど、怖くてちょっと聞けないなぁ。
そして、僕の方にももうそろそろ寿命が来る。
なんとなく、人って己の死期を悟ることができるよね。
体もだいぶ動かせなくなり、人としての死をもうすぐ迎えようとしているのだ。
僕の寝ているベッドの周囲には、涙を流す愛しい従魔たちがいる・・・・・。
「・・・そういえば、死ぬ前に聞きたいことがあるけどいいか?」
「「「「「「なんでしょうか」」」」」」
見事に全員そろったな。すごいような気がする。
「・・死ぬとさ、その魔物使いの従魔はどうなるのだ」
「・・・それに関しては、私が答えます」
と、この中で一番知識があるリーゼが前に進み出てきた。
初めてあったころの様な少女のような姿から、すでに大人の女性の姿になっているのはある意味劇的な変化であろう。
「魔物使いが死ぬと、その従魔たちには2択の選択肢が与えられます」
一つは、魔物使いと共に死を迎えるという選択肢。
従魔契約の際に浮かんでいたあの魔法陣だが、魔物使いの死と共に自身も死ぬことができるようにしてあるらしい。
そして、もう一つの選択肢は野生へと帰化することのようだ。
魔物使いの死後は自然へと戻り、魔物使いに使える以前の暮らしへと戻るらしい。
「・・・・ですが、その選択は主である魔物使いの最後の命令でもあります。その命令がなければ、自動的にその最初の方の選択肢が選ばれるのです」
魔物使いの死後、仕えていたモンスターは人共に過ごしてはいるが、主がいなくなった後どのような行動に及ぶのかが予測不可能であるからだという。
そのまま人共に過ごすのか、誰も来ないような場所でこもるのか・・・・・理性が無くなり、討伐対象にされてしまうのかなどと言ったことがあるためだからというのがその理由らしい。
「・・・だったらここで一つ聞こう。お前たちは、自身の主と共に逝く心構えはあるのか」
ここで一緒に死ぬならそれもいいが、出来れば生きていてほしいという気持ちもある。
だけど、その判断は皆に任せたほうが良いと思えたのだ。
「「「「「「「一緒です!!」」」」」」
・・・案外即決であった。答えるの早いなおい。
でもどことなくうれしいような気もした。
自分だけが残されて死んでしまうというのは寂しいものであり、皆一緒ならば・・・・さみしくはない。
「・・・だったら、これが最後の従魔たちへ下す命令だ。仕えるのであれば、一緒に来てくれ」
「「「「「了解です」」」」」
その言葉を最後に、力が抜けてきた。
自然と体が浮かぶような状態へとなり、意識が徐々に無くなってくる。
周りをその状態で見ると、他の従魔たちも同様の状態へと一斉になり始めた。
・・・シンクロの様なもので、その選択をすると同時に、主の死を待つだけになるようだ。
と、ふとだれかの暖かさを感じた。
「・・・ハクロか」
ハクロがベッドで寝ている僕の体に倒れ掛かってきたのだ。
・・・同じように選択をして、一緒に力が無くなっていることがよくわかる。
「ライ様・・・私は最後まで、いや、生まれ変わってもずっと一緒ですよ・・・・・・・」
ハクロのそのつぶやきが聞こえたその後、完全に僕らは永遠の深い眠りへついたのであった・・・・・・・・・
本日18時に最終回投稿予定です。




