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ニア村へ忍び寄る者たち

一応毎日投稿ではないけど、1日空いたらなんかなぁと思う。

SIDEライ


「うーん、明日出発してザストの方に向かうってことで良いかな?」



 ニア村にライたちが着いたときに、ロズ王女も国王からの手紙を読んでいたらしく、こちらの事情を知っているようであった。


 このままザスト直ぐに連れて帰ろうかと思ったが、ロズ王女の場合移動方法は馬車である。


 さすがに一国の王女を風にさらすリーゼの背中に乗せてというわけにもいかないので、この際馬車を護衛輸送する形で行くべきかと結論を付けたのだが、夕方ごろになっていたので、このままだとすぐに日が暮れるため、一応夜間の走行を避けるためにまずは一旦この村で宿泊することにした。


 村長さんの方にも話をしたが、単純な護衛依頼の方だと思ってくれたようである。


 ・・・・さすがに僕のザストでの家に滞在させるとかいう感じなのを伝えるわけにはね。


 一介の冒険者に過ぎない僕の家に、一国の王女を滞在させるとはこれいかに。


「・・・『一介の』って部分は詐欺の様じゃがのぅ」


 アルテミス、自覚してきているからそう言わないでほしい。戦力的に考えればとんでもないことになっているからね。


 そして同意するかのように全員うなずかないでほしい。物凄く納得しているっていうのはどういうことだと言いたいのかな?




 まあ、とにもかくにも僕らの方も久々の実家での泊りだけど・・・・・全員入れないからな。


 数人ほどは家の外にて眠ってもらうんだけど、夏だから一応風邪をひくことはないはずである。



「と言うことで、ハクロ、ヤタ、ロウ、ルミナス、スルト、リーゼ、紅桜までは室内。で、やっぱり、アルテミス、ミアン、エリー、ツバキ、ワゼは定員オーバーになりそうなんだよね」


 今回はハクロの大きさが蜘蛛の身体がない分スペースがあるからスルトとリーゼが入れたけど・・・・ワゼは外に待機してもらうことになる。紅桜は小刀の状態になってもらえればいいしな。


「まあ、出来ればロズ王女の身辺で寝泊まりしてほしい。王族用の手紙で僕らに届いたとはいえ、その手紙のことを察知するような輩もいる可能性があって、今晩襲ってこないとは限らないからね」

「了解じゃよ」

「うむ、万全でありますよ」

『ガッチガチの防御で行くぜよ』

「まあ、そんな荒事にはならないと思うわ」

「ご主人様の命令に従うまででス」


アルテミス、ミアン、エリー、ツバキ、ワゼにはとりあえず庭ではなく、ロズ王女が泊まっている村長の家の周辺の警備をしてもらうことにした。


 このメンバーでならかなりの護衛となるだろう。・・・・・オーバキルの可能性は大きいが、まあ正当防衛と言うことでどうかな。



 村長の家の方に行く皆を見送り、僕らはそれぞれ寝る準備をするのであった・・・・


「今晩の相手はどうでござるか?」

「時と場所と場合を選べ!!」


 紅桜の余計な一言にツッコミを取りあえず入れた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 深夜、皆が寝静まるころにニア村の近くに3台ほどの馬車が泊まった。


 1台は明らかにモノが所狭しと置かれているせいか今にも破裂しそうであり、もう1台は目立たないようにされた黒い外見のもの。


 そして、もう一つの馬車はいかにも金をかけましたと言うような豪華絢爛だがどことなく悪趣味のような異彩を放っていた。



「・・・ここに、ロズ王女が泊まっているはずだ。攫ってきて、帝国への手土産にしたい」

「ぐふへへへへ、旦那ぁ、あっしらにお任せあれ」


 馬車の中から下品な声が聞こえた後、何人かの人たちが馬車から次々と降りていき、ニア村へと入り込む。


 彼らは王国を今まさに裏切って、帝国へ亡命しようとしている貴族とその愉快な犯罪者たち一行であった。


 そして、ここでその貴族は欲を出した。


 帝国へどうせ亡命するのであれば、待遇をよりよくしてもらうために何か手土産を持っていったほうが良いと。


 そこで、金に物を言わせて調べ上げ、この村に現在ロズ王女が滞在していることを何とかつかみ、金で王女を攫うための人たちを雇ったのである。


 全財産を馬車に積んでおり、帝国まで無事に逃げきれればそれらを全てやると約束はしているものの、守る気なんてさらさらない。


 着いたらついたで、こいつらを全員処刑す津予定でもあった。



「まったく・・・なぜこのわたしが亡命せねばならないのだ。あの魔物使いが抱えるという美女も抱けず、それにまさかこれまでの汚職がすべて明るみに出るとはな・・・」


 窮屈な馬車での旅に、思わずその貴族、ズードラップ男爵はそうつぶやいた。



 首都で偶然見かけたライの従魔たちを何とか手に入れようと画策はしていたのだが、中々そのチャンスに巡り合えず、それどころかいつの間にか自身の周囲に集まって着ていた賄賂を渡してくれていた商人たちや、渡して罪を隠してくれていた者たちが次々と検挙され、ついにはズードラップ男爵の手前までその方の手が迫って来ていたのである。


 このままでは貴族籍剥奪どころか、さらにひどい目に遭うと確信した彼は全財産を詰め込んで帝国へと逃亡しようとしている最中であり、そのついでにここに立ち寄ったのであった。



 雇った者たちがロズ王女を連れ帰ってくるまで待っているこの時間がもどかしい。


 さっさと終わらせて、帝国に王女を引き渡して自身があちらで済むのに都合がよくなるように取り計らってもらおうかとこれからの計画を練っていたが・・・・・彼らは知らなかった。



 今まさに、この村にはライたちが泊まっており、このタイミングでライたちの従魔の中でもとんでもない奴らが守っていたことを・・・・・


 そう、命運はすでに決まっていたのであった。

そう、彼らはすでにワゼの手の上で踊らされていたような物でもあった。

ズードラップ男爵が追い詰められていったのも、ワゼがいろいろと手回しをした結果である。

・・・同情の余地はないかもしれないが、せめて命があることだけは祈ろうかな。

守っているメンバーって、従魔の中でもとんでもない実力者ばかりだけどね。ミアンとかが特に。

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