意識しちゃって
メインヒロイン・・・立場をはっきりとします
・・・講義を終え、宿に戻ったライたち。
しかし、質問の中にあったものを思い出し、ややぎくしゃくとしてしまった。
「意識してなかったときは、普通に接していたけどな・・・・」
風呂につながりながら僕はそう思った。
いやもうね、あの質問のせいでやけに意識してしまったんよ。僕だってもう17歳ですし、それなりに異性に興味が出るんだろうけど・・・・ああもう。
部屋に戻ると、全員すでに女湯の方から上がっていたようで・・・・この状況だと直視しづらい。
うん、もう寝たほうが良いかもね。数日もすれば元通り元通り・・・・・
「眠れねぇ・・・・」
すでに深夜、皆の寝息が聞こえるけどなんか眼が冴えて眠れない。
部屋の明かりも消えて暗いけど、窓の隙間から月明かりが差し込んで見えないこともない。
・・・・いつからだろうか。彼女たちを家族としてではなく、異性として認識するようになってきたのは。
昔、まだ小さい時はハクロだけが僕の従魔であった。
たった一体だけど、大事な家族であり、色々とやんちゃなこともした。
けど、あの時はどっちかと言えば姉とかそういう感覚だったんだよな・・・・。外見は今では蜘蛛の部分が無くなってしまって、人の姿に近くなっているが、それでもハクロはハクロ。
他の皆も大事な従魔や仲間であり家族でもある。
笑いあい、騒ぎあい、楽しく過ごすこの毎日・・・・・。
けど、やはりどことなく距離間を取っていた部分があるかもしれない。
眠れない中、ふとだれかの手が触れてきた。
「・・・ライ様も眠れないんですか」
「ハクロか」
ゴロンと横になって見て見ると、穏やかな、相変わらず変わらない優しい顔のハクロの姿がそこにあった。
寝巻は今の姿に合わせたものになっているが、ちょっと谷間が見えるので頬が赤くなる。
「・・・まあ、眠れないからね。たまにはこういうこともあ、」
顔が赤くなっているのを悟られないようにして言おうとしたところ、最後まで言い終わらないうちに、寝ながらハクロが優しく抱きしめてきた。
以前の失敗から学んでいるのか、窒息しないギリギリの力加減である。けど、柔らかいものがあった手余計に眠れなくなるんですけど・・・・。
「私もですが・・・・ライ様、本当はそういうごまかしの理由ではないですよね」
どこか優し気に、けれども寂しそうな声をハクロは出した。
「本当は、私たちの事を意識してしまって・・・・もっと求めたくなってしまうような衝動のせいでしょう」
心の中を見透かすように、ハクロが的確な言葉を出す。
黙って、僕はその話しを聞くことにした。
「昔は、ライ様は幼く、私たちのことを自身の性の対象としてではなく、本当に姉とかそう言った姉弟的な感じてライ様は見てました。ですが、成長するに従い、心もライ様は成長したしました・・」
「子供の心ではなく、大人へと変化していき、従魔たちも増えてたくましく、立派になり、幼きあの頃から仕えてきた私としては、その成長にうれしく思います・・・」
「けれども、ライ様は家族のように接してくれているのですが、その反面、どこか距離を置くようにも感じ取れました。ライ様は人間、私たちは従魔であるけどモンスター」
「一度の過ちで、取り返しのつかないようなことになりそうなのが、ライ様の心に恐怖としてあるんですよね・・・?」
そう言ったハクロの顔を見ると、その目は本当にさみしいような感じを出していた。
・・・指摘をされると、その通りだと思える。
確かに僕は彼女たちを家族のように見て、どこか距離間を置いていたと自覚できているのだ。
だが、これ以上踏み込むと、もう二度と戻れないようなそんな恐怖があった。
その不安が顔に出ていたのか、僕の顔を見たハクロはふっとまるで優しく微笑む。
「でも・・・私はそれでも大丈夫ですよ。もし取り返しのつかないことになろうが、ライ様のそばに最後までいるのは私の役目」
「・・・死ぬまで、いや、死んだ後でもずっとライ様と共にいますよ。現世でも、来世でも・・・・いや、ずっと前の前世からライ様を慕いあげていたような気持ちがあります」
そうハクロが言うと、何やら手から糸を出し、仕切りの様なものを創り出した。
・・・・何をしようとしているのか、今なんとなくわかったような気がする。
皆に見えないように僕らを隔離したところで、ハクロが少しだけ抱きしめる力を強くした。
「・・・・私はここに絶対に約束いたします。何があろうとも、どんな目に遭おうとも、どんな困難が待ち受けていようと、最後まで、いや、生まれ変わってもライ様のそばに必ずいると」
シュルシュルと言う音が聞こえたかと思うと、いつの間にかハクロは服を脱いでいた。
月明りが隙間から差し込み、彼女の綺麗な姿がはっきりとみえる。
「・・・・本当にずっといっしょか?」
「ええ、私自身が消滅しようとも、必ずライ様のそばに寄り添って・・・・・・・」
その晩、その隙間からヤタ達が実は起きていてこっそり起きていて覗き込んでいたことに僕とハクロが気が付かなかったのは、一生の不覚であろう・・・・・・・・・・
・・・なんだろう、物凄く甘ったるい。
爆発しそうな感じであった。
ノクターン入りは免れたいので、表現はカット。皆様のご想像にお任せください。
・・・やはり、この物語のメインヒロインであり、最強だったのはハクロである。




