日常・・・・?
本日2話目
紅桜が仲間になって数日。
ライたちは今日もギルドでの依頼を探していた。
「んー・・・今のところ良さそうなのはこれかな」
「『コブラッコの討伐』ですか・・・蛇なのかラッコなのかどっちでしょうか」
「『ゴブリン同盟の討伐』と言うのもあるようじゃな。・・・ミアンの時の生き残りかのぅ?」
「いや、完全に殲滅しているでありますよ。アフターケアとかいうのもしっかりとするのであります」
がやがやとこんでいるギルドの中、依頼を探す。
「討伐系統の依頼が多いな・・・」
「薬草の採取とかは今この春先では控えられているようですからね」
「今年はやや不作と言う見立てらしいからのぅ」
薬草も一応豊作年とか不作年とかいうのがあるらしく、今年は不作らしい。
とにもかくにも、とりあえず『ヘビーコング討伐』とかいうのに僕らは決め、一旦家に戻った。
理由としては、現在従魔の数が多いので、この際編成を決めていこうというわけである。
・・・過剰な攻撃をし過ぎるといろいろとね。現メンバーだとそれが可能なんです。
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「ヘビーコング」
重量が大きいが、身軽に動いて攻撃を仕掛けてくるサル型モンスター。ゴリラ型と言わないのは、色が全身茶色であり、どことなくサルっぽいからである。
腕が大きく肥大化しており、そのぶん打撃力がかなりあるので鋼鉄の盾でもへこませることができる。
遠距離攻撃として、近くにある物を投げたりして危険でもある。
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「これがヘビーコングの説明だよね?」
「怪力な部分から・・・・今回は討伐で素材をとるわけでもないし、力で対抗するにはスルトとハクロかな?」
「ある程度の守りで行くならエリーもじゃろう」
と言うわけで、色々と皆で話し合った結果、ライ、ハクロ、リーゼ、エリー、スルト、ミアン、ルミナスのメンバーで討伐をしに行くことになった。
今回の留守番はヤタ、ロウ、アルテミス、ツバキ、ワゼである。
「拙者は主様の懐にいるのでござる」
「紅桜の場合、普通に武器にもなるからね・・・」
紅桜は小刀でもあるので、その形態でついてくるようだ。
というか、呪いの刀としての性質があるようでいつの間にかいたりするからな・・・・憑いているって言ったほうが良いのかな?
と言うわけで、討伐のために僕らは人化を解いたリーゼに乗って、そのモンスターがいるところへと向かったのであった・・・・・。
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SIDEヤタ、ロウ、アルテミス、ツバキ・・・ワゼはギルドへお仕事
「・・・・我が君が出かけている間、万が一があればミニワゼで連絡がある」
「ヒマナノー」
「こうして分かれて出ていくというのも、ちょっと寂しいかのぅ」
「仕方がないわね。私達全員だとリーゼの負担もあるわけだし、何時も全員出動と言うわけにはいかないわよ・・・・さみしいけど」
まあ、とりあえずライたちが帰ってくるまでちょっとした休暇の様なものであるため、それぞれ好きに動く。
「遊ビニ行ッテクルー」
「一応、保護者代わりに我も一緒に行くのじゃ。モンスターとはいえ、ロウの見た目は本当に子供だからのぅ」
ロウも一応そこそこの実力があるため、悪いことを考える輩がいてもどうこうできるとは思えなかったが、念のためにアルテミスも一緒に出掛けることにした。
「・・・・羽繕いしていよう」
最近ちょっと乱れてきた羽の手入れのために、ヤタは自室へ向かう。部屋の中にあるブラシなどで髪をとかすように羽も整えるのである。
「氷風呂にはいるわね」
ツバキの方は、家の風呂がお気に入りで氷風呂に入るようだった。
普段は皆が入った後に冷やしてはいるのだが、今日は昼間から入れそうなのでなんとなく機嫌がよくなった。
「待ってよロウちゃーん」
「アハハハハハ」
「追いつけないよー!!」
ザストの公園で、ロウは近所の子供たちと遊んでいた。
その様子を、アルテミスはほほえましそうに近くで見守っていた。
「子供が元気なのはいいことじゃなぁ・・・・」
アルテミスは元々、リーゼと共に港町の方に住んでいて、そこで孤児院の手伝いもしていた。
子供が好きでもあり、こうして見守るのも悪くはない。・・・決してやましいような気持ちとかはなく、ただ純粋にである。
なお、アルテミスが見ている限りは誘拐を企てるような悪人は決して出てこない。
以前、誘拐をしようとしたやつを発見してぼっこぼこにしたのもあり、「ザストの鬼子母神」とまで言われているのは裏の・・・悪いことをする人たちの間で噂になっていた。
鬼ではなく、スキュラであるが。・・・むしろ鬼と言うならばスルトの方がふさわしそうである。
「おやおや、中々子供たちが元気なようですね」
「ん?」
ふと聞こえてきた声にアルテミスが振り返ると、何やら修道服の様なものを着た男性がそこにいた。
とはいえ、着ているのは修道服のそれとは違いどっちかと言うとローブの様で目立たないようだが。
「モンスターがここで混じって遊び、見守っているというのはなにか奇妙ですけど、違和感がないですね・・」
「まあ、我はどうかと言われると微妙じゃが、ロウじゃと本当に紛れるからのぅ」
その男性のつぶやきに対し、アルテミスはちょっと警戒しながらも適当に返答した。
「子供は世界の宝です。あのような笑顔を絶やしてはいけないと思えるのですが・・・どうですかね」
「まあ、それは理解できるのじゃよ」
適当に雑談をかわしながら、アルテミスは一応その男性を観察した。
身なりや肌の艶から見て、最近までどこかの温泉に使っていたような感じがする。
とはいえ、悪人とかいった雰囲気もなく、むしろ善人であろう。
(・・・じゃが、一応油断はしないほうが良さそうかのぅ)
そうアルテミスは判断をするのであった。




