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役に立・・・・・・

つ?たない?

『呪いの武器の解除方法か?知らん』

「「「「「「役に立たねぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」」」


 ギルドの執務室で、ライたち全員の叫び声が響き渡った。



 ビウイン教からの襲撃者たちはしかるべきところに連行され、落ち着いたところでビウインの方に現在滞在中のモッサンに連絡を取ったのである。


 どうやって連絡を取れているのか。


 それはワゼのおかげであった。



 彼女は以前ライたちと共にビウインに訪れた時、情報収集のためにミニワゼ(諜報部隊)を放っていたそうであった。


 そして、ミニワゼ全機には通信機能があって、いつでも通信して連絡が取ることが可能であり、そのうちの一体をモッサンのところへ差し向けたのである。


・・・・メイドって、なんだっけ?その疑問がワゼ以外の全員に浮かんだが、またこの話は後回しにしておくことにした。



 とにもかくにも、こうして連絡を取ったのは良いが全くの役に立たなかった。


『そもそも、人に対する呪いに関しての知識を持っているだけであって、物からの呪いに関しては知るか!!胸を揉んで解呪できるようなものしかしらないんだ!!』


 え?ということはそういうタイプの呪いもあるのかよ・・・・




 とりあえず、モッサンさんが全くこれっぽちも役に立たなかった。


 人による呪いなら一応いけるらしいが、物の呪いに関してはだめとか・・・


『いや、そうは言われても本職は考古学者だが』

「通信切りますね」



 モッサンさんからの反論も聞かずに、通信を切った。



「さてと、これからどうするかが問題だよな・・・。ビウイン教内の宗教争いとかは別に問題ない。こういうのは無視し続ければいいし、それでもしつこいようなら・・・・こっちだって聖人君子ではないし、それなりの対応はさせてもらおう」

「国一つが無くなるようなことはやめてくれよ?」


 ギルドマスターが冗談でもなさそうな声を出す。


 失礼な、国一つ無くなるようなことはできるわけが・・・・・・


「主殿に対して何かあれば毒を流すという手段が取れるのぅ」

「魔法で一斉掃射も可能でありますよ」


・・・うん、出来そう。忘れそうだけど従魔たちの能力ってとんでもないんだよね。


「ともかく、今最優先すべきは『紅桜』による3日以内の死って呪いだよね」

「3日以内の死といういまいち不確定な呪いですよね」

「今日、明日、明後日のどれかだし・・・・」

「具体的な時間はわからないですが、調べたところ3日以内と言うのはほぼ確定事項デス。1日であの世に逝った人もいれば、3日目と言う人もいマシタ」



 すでにワゼが調べ上げたようで、やはりいつ死ぬとかいう具体的な時間を出すのは難しい様だ。


「対策法としては、3通りありマス」


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①:「3日間、つかず離れず常にライのそばで誰かが見張ること」

紅桜での死因は全て、この刀によって殺される。誰がさしたとこはわからずに、死ぬ瞬間に刺さっているそうだ。ならば、刀をわずかでもライから離して、刺す瞬間に刀をつかんで止めるなどするということである。


②:「解呪法を探す」

呪いで死ぬなら、解呪できないか調べる。


③:「仮死状態にしてしまう」

一旦仮死状態・・・・つまり、死んだ状態に近くして、死んだことにして呪いを解くという方法だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「少なくとも、①が一番成功確率が高いデス」

「まあ、②は現時点でほぼ諦めているからのぅ」

「③の仮死状態も難しいでありますよ。紅桜に刺されての死であるのなら、仮死状態にする際にライ殿を紅桜でぶっ刺さなければいけないでありますし・・・・・」


 ・・・・はっきり言って、物凄く厄介である。









「と言うわけで、今夜は従魔全員で交代でライ様の安全のために紅桜を見張ります!!」


 夜になり、就寝時刻となってハクロが僕の部屋に入ってそう言った。


 3日以内・・・ならば、3日間ずっとライのそばにいて見張ればいいのである。


 万が一刺されようが、一応緊急治療の用意もして準備をしっかりとして。後は見張るだけだ。



「・・・・でもさ、布団の中に入るのもどうかと」

「いいではないですか。布団の中に入りながらきちんと紅桜が刺さぬように見張るのですよ!!」


 しっかりと寝巻に着替えて、ベッドの中に潜り込んでくるハクロ。


 蜘蛛の部分が無くなり、人の体に近くなったので、彼女も横になって寝られるようになったのだが・・・・これ、ハクロ寝ませんか?


「こういう時は密着したほうが良いですよね?」

「疑問を浮かべる前に抱きしめているのはどうかと・・・・」


 いや、本当にドキドキするんですが。


 昔から一緒だったけど、この年齢になって一緒の布団だと超ドキドキしてきた。


 というか物凄く柔らかい感触が・・・・・・・・。


「あ、一応何があっても大丈夫なように睡眠薬です」

「それだいじょふぇ・・」


 ハクロに何やら怪しい液体を飲まされ、僕はすぐに眠りについたのであった・・・・・・ドキドキしなくて済む分、まだいいのかも。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




(お~い、次の交代じゃぞ)


 真夜中、ライの部屋にアルテミスが交代のために入ってきた。


 一応、ライを起こさないように超・強力睡眠薬をハクロに渡しておいたが・・・・寝息が2人分(・・・)聞こえる。



 布団のふくらみからして、そっとアルテミスがめくって見ると・・・・ハクロがライをぎゅっと抱きしめて熟睡していた。


「むにゅ・・・ライ様の安全はこの私が・・・」

(・・・・ダメじゃな)



 ライの安全のための寝ずの番なのに、思いっきりライを抱きしめて寝てどうする。


 そうアルテミスはツッコミを入れたかった。


・・・一応窒息しないようにライの頭はハクロを背にするようにされていたが。


 一応睡眠薬をかがせているとはいえ、寝ているライを起こさないようにツッコミを飲みこみつつ、その横にアルテミスは立つ。


(・・・ある意味うらやましいのぅ)


 その様子を見て、アルテミスはそう思ったが、きちんと自分の役割をこなすのであった。


 なお、この後のヤタの番の時、ハクロの口にヤタがタバスコを突っ込んで無理やり起こしたのは言うまでもない。

ハクロ、この時ばかりは役立たず決定。

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