メタリックというよりメタルかな
本日2話目
メタリックジュエリー討伐のために、ライたちは現在草原に来ていた。
よく見ると、あっちこっちでぴょこんぴょこんと鉄の塊のようなものがはねている。
そして、その塊の周囲には何やら小さい球体が1体に1つ浮いているようだった。
「あれがメタリックジュエリーの外部コアとも呼ばれるものじゃ。スライムで言うところの核にあたり、あれを破壊すればただの金属の塊にあるというわけじゃよ」
「スライムとはやっぱ感じがなんか違うな」
跳ねて移動したりとかは別にいいんだけど、やっぱこうスライムではない雰囲気がある。
「温度変化によてもろくしたほうが砕きやすいから・・・まずはツバキ!!」
「お任せをマイロード」
ツバキが手をかざし、まずは一体に物凄い吹雪が命中した。
キンキンに冷えて動きが鈍っている。
「続いてミアン!!」
「~~~~~『火炎球』」
すでに詠唱し終えて白い炎の塊が外部コアとやらに直撃する。
・・・あれって普通は赤い火の玉を飛ばす魔法なんだけど、ミアンの場合超高温になってるな。周夫比魔力が一番少ない方法だとああなるらしいけど。
「続いてアルテミス!」
「~~~『水鉄砲』!」
杖から放たれた水流が勢いよくじゅわぁぁぁぁぁぁと音を立てながら外部コアを急激に冷やす。
冷やし、熱しと繰り返すと3回ほどでひびが入った。
「ここで総攻撃!!」
全員で殴りかかると、砕け散ってそれがコアのメタリックジュエリーがゴロンと転がって動かなくなった。
「エリー、回収を頼む」
『わかったぜよ』
エリーがミミックの姿になり、死んだメタリックジュエリーの体を取り込んだ。
収納しており、一応胃袋のような部分で保管できるらしい。ミミックの構造はいまいちわからないけどね。
とりあえず、この方法でうまくいくようなので他のメタリックジュエリーも同様に僕らは仕留めていった。
結構楽だけど、だんだん感づいてきたのか逃げていくやつが増えてきたので動いて逃げる前にまずはハクロの網で捕えてから同様の方法をすることにした。
ヤタは上空で獲物を探し、リーゼとロウも一緒に探す。
全員それぞれ役割を分担して探せるのがいいよね。
ガンガンやって倒していくとあれよあれよという間にメタリックジュエリーの数が減っていく。
他の討伐方法もないか試してみたところ、ロウが取り込んで溶かすという方法も効果はあった。
普通にハクロがコアを殴ってみたが、こちらは傷一つつかなかった。
「うーん、やっぱ力づくではいきませんよね」
「というか、アラクネの怪力がすごいのか、コアの強度がすごいのか・・」
地面にクレーターができているんだけど。ハクロって一応アラクネだから怪力はあったんだよね。普段は抑えて、全力の時は全力だし。
ただ、怪力で言うならスルトの方が上である。
一度全員で腕相撲をしてみたら全員ぶん投げられたからね。あれは本当にすごかった。
・・・なお。アルテミスがふざけて自身のタコ足で挑んだらひねりちぎられた。一応もう治っているけど、若干トラウマになっているようだ。
ちなみに、そのちぎられたタコ足はアルテミス自身が何かの薬品の材料にした模様。スキュラの足って何の薬にするのって聞いてみたら、頬を赤らめて口にはできない薬とか言っていたけど・・・・なんだろう。
「これで大体討伐し終えたかな」
一通り討伐したところであたりにはメタリックジュエリーの姿が消えていた。
うん、今回のは楽だったね。
「魔法をぶっ放しまくってすっきりしたのじゃ」
「魔法もよく使わぬと魔力不調なんていう病気もあるでありますからな」
あるんだそんな病気。
「エリー、集計何体ぐらいいるんだ?」
尋ねると、エリーは人型に戻って内部にあるメタリックジュエリーの亡骸を数えて・・・
『計23体ほどぜよ。状態は核破壊状態のモノが全部だぜよ』
品質としてもいい状態の様なので、僕らはさっさとザストに戻ることにした。
徒歩で歩いていったほうが良いかな。たまにはリーゼの移動で帰るんじゃなくて、時間もあるしゆっくりと歩いて帰ろう。
「あれ?そういえば、メタリックジュエリーからの攻撃とかってあったかな?」
「あやつらは金属を好むから・・・・金属を身に着けていない我等には興味を持たなかったのであろう。武器は金属製が多いのじゃが、我等は金属製の物を身に着けてはおらんかったからのぅ」
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「・・・・なるほど、我々とも確実に対立しそうだと」
「はい、我々改革派の教えとは異なり、資源としてではなく家族として見ているようです。敵対すればまず圧倒的に我々の方が不利でしょう」
ザストから離れたところにあるスライムの森。
その森の中にはいつの間にか何者かの手によって建てられた小屋があり、その人物は魔道具で自身の上の人物に連絡を取っていた。
誰が立てたのかは不明だが、連絡を取り合うには便利な場所にある。
「一応、保守派の誘いも断っているので手を組むことはなさそうです。戦力から言って放置しておいた方が得策かと思われます」
「いや、得策ではないだろう。従魔たちも見た目は麗しいものばかり・・・・我々の欲望のはけ口としての資源としても逃したくはないだろう」
ぞっとするかのような汚い声に、連絡を取っていた人物は冷や汗がである。
改革派は保守派の事を腐っているとか言っているのだが、この連絡している相手こそ腐っているのではないかと思えた。
かと言って、保守派の考えに賛同できず、彼は改革派に移ったわけだが・・・・・その相手の考え方に対しては同意できないところがあった。
実際に見て分かるのだが、ライと言う魔物使いの従魔たちの実力はなんとなく察せる。
そして、その実力は明らかに敵対したらまずいと思えるものであるのだ。
「とはいえ、引き込みにくいか・・・・・ならば、別の者を向かわせよう。お前はしばらくそこでザストの冒険者に紛れてゆっくりやすんでいろ」
話が途切れ、相手側からの連絡が途絶えた。
「これは確実に手を出してくるだろうが・・・・明らかにまずいだろうな」
すでに見えている破滅の結末をその人物は予感し、このビウイン教を抜けて別のところへと逃げることを決意したのであった・・・・。
企みが進んできているようだけど・・・




