隠れて
さてと、ビウインがこのまま終わるかな?
宗教勧誘があった翌日、やっと定期船が来たので僕らは帰宅のために出航前にさっさと船に乗り込んだ。
またあのめんどくさいような人が来ても困るし、この国からさっさと出たほうがよさそうだ。
「短い滞在だったけど、余り観光として楽しめなかったね」
「まあ、面倒ごとになる前にサッサと逃げたほうが得策です」
船が出航し、ビウインの陸地が離れていく。
面倒ごとがありそうな国からはおさらばし、またいつもの生活へと戻るべし。
「・・・そういえば、モッサンさんは?」
「あの人ならしばらくあの国に滞在するようですよ」
モッサンさんがあの国に残るのか・・・・・なんだろう、物凄く申し訳ない気持ちになるな。
とにもかくにも、さっさとザストの自宅に帰りたいよ。
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SIDEビウイン教会本部
「・・・・するとあれか、結局我がビウイン教の信者として勧誘できなかったのか」
「はい、惜しい人材でしたが結局だめでした」
ビウイン教の教会本部にて、ライたちに布教しようとした司祭の男性と、法皇代理の人物が向かい合っていた。
「ルーナス王国のAランク魔物使い冒険者ライ、彼を我がビウイン教に引き込めればよかったのですがね・・・」
ライたちの知らないところで、その噂は流れている。
神獣種、幻獣種などと言ったモンスターなども従魔に従え、その従魔たちすべての容姿が美麗ばかりか、その実力も相当なものである。
ザストの防衛戦ではその実力を見せつけるが、それ以外ではほとんど手を出さずに静観する実力者として、ビウインにまでその噂が流れているのだ。
ギルドが念のために情報を漏らさないように画策しているようだが、人の口に戸は立てられぬ。
ビウイン教では現在、改革派と保守派・・・・つまり既存のままでいようとする者たちでの水面下の争いが起きていた。
この場に要る司祭や、法皇代理は保守派であり、出来れば改革派に対して大きく出るためにライを自身の陣営に引き入れたかったが、失敗に終わった。
「ですが、どうやら彼は宗教に入るつもりはないでしょうし、改革派に対しても同様の応対をするな」
少なくとも、今のところライはビウイン教に関わる気はないと法皇代理はそう見立てた。
「ですが、改革派のリーダーである人物がどうやら自ら接触しに行くらしいという情報がありますが・・・」
「無駄に終わるだろうが・・・・念のために動向を探っておきましょう。療養中の法皇様にも連絡をしていきます」
ライたちの知らぬところで、すでに面倒ごとが起きているようであった・・・・・・。
やっぱ主人公は巻き込まれていくのか




