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宗教勧誘

本日2話目

メリークリスマス!!

「ビウイン教に入信してほしいと?」

「はい、ぜひとも他国の皆様方にも我がビウイン教に入信してほしいのです」


 朝、僕らが宿屋を出ると同時に、なにやらビウイン教の司祭とかいう人がそう尋ねてきた。


「我がビウイン教は、早寝早起き3食しっかり、真面目にしていれば死んだ後も幸せに暮らせ、モンスターは神が遣わしたものであり、倒してはならぬという宗教です。それででして、あなたは見る限り魔物使い。モンスターをこうして従魔として使役して討伐してないところは、我がビウイン教としても理想の様なものであります」

「いや・・・普通に討伐とかも受けているんですが」


 冒険者のほとんどが討伐依頼を受けているよね。


 

「ああなんともったないことを!!モンスターは神々が我々に使わしてきた神の事も言うべき存在!!討伐せずに従魔にするなり使役するのは良いのですが、討伐だなんてのは今すぐやめたほうが良いでしょう!!」



 何だろう、この手の人って話が全く通じない怖さがある。


「あのー、モンスターが神の使いとかっていうのはないでありますよ?我輩神獣種族でありますが、神とつくのに神に会ったことすらもないであります


 ミアンがきっぱりとそう言い切った。


 説得力が一番大きいな。


「いえいえ、モンスターのあなたがたは、神を認知しないのでしょうが神は必ずあなた方の前に現れているはずです!!」


 ミアンの意見に対しても、超前向きな司祭野おっさん。


「と言うか、そもそもその神とやらは何なのじゃ?」


 アルテミスがもっともな疑問を言った。


「ええ、我らがビウイン教の神は、この宗教名にもあるようなビウインと言う名に思われそうですが、それは違います!!我らが神には名など無く、このビウインの名前は初めて神と会話し、この事実を知ったビウイン教始まりの教祖とも言われる、今は亡きビウイン様でございます」


 つまり、ビウイン教とかついているけどビウイン神とかそういう物はなく、ただ神を神と呼んでいるだけのようである。


「神の使いしモンスターたちを問答無用で切り捨てて、その体をはぎ取って富とするような方々とは違い、我々はモンスターを敬い、神にも感謝するのです!!さすれば永遠なる幸福があるという素晴らしい宗教なんですよ!!」


 熱く語る司祭のおっさん。


 めんどくさい輩に会った不幸を、その神とやらがいるのであれば僕らは恨んだ。









「結局なんだったんだと言いたい」

「ああいうのが困りますよねぇ」


 結局、懇切丁寧にお断りいたしました。


 うざったくなってきたので、アルテミスの名状しがたいような薬品をこっそりかがせてお帰りいただいたとかではない。


「ビウイン教に関しては、最近改革派と従来の派閥の争いが目立つらしいデス」


 情報によると、直接的な武力による訴えはないそうだが、ビウイン教のゆがんだ部分が原因で水面下で争いが起きているらしい。


 ゆがんだ部分と言うのは「モンスターは神の使い」「奴隷の扱いは禁止」みたいな部分だとか。



「モンスターを討伐するのはだめと言っているのに、その素材を利用した製品を使用してイル。奴隷の扱いはだめだというのに、犯罪奴隷などを他国へ売買するといった部分が問題だそうデス」



 矛盾のようなものがあり、ややこしくなってそれを嫌って改革派が出てきたのだとか。


「改革派の主張では、『モンスターは神の使いであるのだが、それは我々の利益となり、狩られるだけの存在である』や、『奴隷なんて制度は入らないが、犯罪奴隷にあたるのであればむしろ死刑にした方が早い』などともうズバッと言い切った感じの様デス」


 改革派の力が年々増してきて、そのため今は原点回帰派と呼ばれるような人たちが出て、さっきの様な司祭野おっさんたちが他国へも不況に乗り出しているらしい。


 ただ、やっぱり冒険者とかの職業の人はビウイン教に入信するわけもなく、モンスターから取れる素材を利用している人も多いためほとんど効果がないそうな。


 改革派の方も、魔物使いの人達からしてみれば「狩られるだけの存在」と言っているところに嫌な気分があって反対したり、奴隷制度を極端にしてはいけないなどの意見もあってこちらも広がりにくいらしい。




 その結果、元からビウイン教である人だけの争いみたいになっているんだとか。


 めんどくさいというか、不毛な争いだな。


 モンスターであるハクロたちからしてみても、その争いは恐ろしく無駄に見えるようだ。


「まあ、関わらないのが一番の事ね。明日にはこの国を出るんだし、出来るだけ接触をしないようにしましょう」


 ルミナスのそのことに、僕らはうなずく。


 面倒ごとはお断りである。




・・・・だけど、この時すでに面倒ごとに巻き込まれているような予感がしたのであった。

こういう面倒ごとって主人公に来るのはなぜでしょうか?

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