閑話 クリスマスですよ
クリスマス特別閑話
こういうのがあってもいいじゃない。閑話だもの。
本編ではないけど、こういう季節の話を書くのも面白いですね。
「『サンタ捕獲』、『サンタ生け捕り』・・・・物騒だね」
「いや、これって確実にやってはいけないというか、無理そうな依頼ですね」
ザストにて、クリスマスと言う行事が行われようとしていたのだが、ギルドの依頼にはそのようなものばかりが並んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「サンタクロース」
赤い服に、白いひげを蓄えた空飛ぶトナカイと言うモンスターをしもべにしてクリスマスの夜のみに出現するモンスターの様なお爺さん。通称「サンタ」。
謎の多い人物ともモンスターとも言われており、その全容は未だに不明。
その彼が持つ袋はありとあらゆる願いによって生み出されるものが詰まっているらしく、クリスマスの夜にその1年間でいい子にしていた未成年の子供たちにその中の物を分け与えるという。
過去に捕獲を試みた者たちがいたが、すべて失敗に終わっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「生け捕りとかって、そのサンタが持つ袋が狙いなんだろうな」
「ですが、こればかりは受けてはいけないですよね」
「そもそもじゃが、我らモンスターたちもサンタには手を出してはいけないという本能もあるからのぅ」
どうやら、サンタはモンスターたちにとっても特別な存在であるらしく、彼が出現する日に限ってモンスターたちが出現しないらしいのである。
神獣種であるミアンや幻獣種であるツバキたちでさえも、サンタには手を出してはいけないという本能が働きかけるのだとか。
サンタすごいな・・・・・・と言うか本当に何者と言いたい。
「精霊の一種だとも言われているわね。エルフやダークエルフ、というか精霊が見えている人たちもサンタには手を出さないで、その働きを見守るようにしろと言われているわ」
サンタすごい。本当にすごい。
「そういえば、昔いつのまにかプレゼントが枕元に置かれていたっけ。ハクロにはなかったけど・・・」
「まあ、私は未成年という年齢でもないですし」
「未成年の定義はいまいちじゃからな」
モンスターは一般的にそう言った年齢に関する考え方はないらしく、大人になれば大人、子供であれば子供と言ったふうに考えているらしい。
「それを言ったら、ロウとかはどうなるんだろうか?」
思いっきり見た目が未成年どころか小さいんだけど・・・・
「それ以前に、モンスターでありますからな。我輩たちには来ないでありますよ」
モンスターにはプレゼントを与えないそうで、ちょっとロウがしょんぼりとした顔をした。
「ウミュ・・・欲シカッタ」
「ちなみにもらえるとしたら何が欲しかったの?」
「オモチャー」
年相応と言うべきか、見た目相応と言うべきか。と言うか、具体性がないような。
でも、ロウ曰く従魔になる前でも貰えたことはないそうな。
どうやって判断しているのかも気になるよな・・・・。
まあ、気にはしないで、今日は依頼を受けずに家でクリスマスパーティをすることにしたよ。
「せーーーーーーーーーーの!!」
「「「「「メリィークリスマァァァァス!!」」」」」
お決まりの文句とかいうやつを叫び、全員で楽しむのである。
一応今日ばかりは皆の格好も普段着からクリスマスのサンタコスチュームへと変えている。
赤い帽子にサンタの服、サンタに付属のトナカイの格好とそれぞれ思い思いであった。
・・・にしても、エリーのミミックの姿がこの光景になんかものすごく似合うな。あ、よく見るとベルを付けている。
「ケーキと料理が出来ましたヨ」
ワゼが用意した食べ物は、どれもがおいしそうである。
なんでも、ワゼのメモリにはこういった行事関係の料理もあるそうでいろいろできるのだとか。
「こういう時は酒もありますが、飲みますカ?」
「無理」
まあ、飲酒はやめてますけど。まだ酒を飲めるようなものでもないしね。
でも、一応今夜限りは酒を飲むことが可能なメンバーが飲むのを許可している。
ただし!!あまり酔い過ぎない量に規制はしているよ!!
・・・以前ね、ちょっとばかし酒癖が・・・これはまた別の話か。
「んー、甘くておいしいです」
「こういうのを常時食べていたら太るんじゃろうなぁ・・・」
「なぜここでそれを言うでありますか!!」
ケーキを食べているけど、こういうのって人によって分かれるよね。
上に乗っている果物を後に食べるか、すぐに食べるか、途中で食べるかってわかりやすい。
ハクロ、ヤタ、ロウ、リーゼ、アルテミス、ミアン、エリー、スルト、ツバキ、あと従魔じゃないけど自然とここにいるメンバーのルミナスと、ワゼも食べている。
・・・気のせいか、ワゼの果物だけちょっと大きいような。まあ、いいか。
ザスト全体でもどうやらクリスマスムードの様であちこちで笑い声なども聞こえる。
「ついでに、ちょっと雪も降らせてみたわよ」
いつのまにかツバキがどうやら何かしていたらしく、雪が降ってきていた。
雪女だけに、雪を降らせるのは朝飯前のようである。砂漠とかはさすがに無理よと言っていたけどね。
皆でワイワイ騒いで、クリスマスの夜は盛り上がるのであった・・・・・・。
甘い展開は無しですよ。いや本当に精神的にきつくなる。
書いてみたいのだけれども、まだその時期ではないと思う。




