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閑話 雪合戦

平和な日常?回

ツバキが従魔になってからのことである。



 最初は雪だるまを作って遊んでいたロウが言ったのが始まりであった。


「雪合戦ヤリタイナー」



 雪が降り積もったザストにて、あちこちで遊んである子供達を見て、精神年齢が近いロウも興味を持ったのだろう。


 反対意見もなかったのでちょっと皆で遊んでいたら、楽しそうだから混ぜて欲しいと近所の人たちが参加していき・・・





『さーっ!辺境都市ザスト全体の皆が分かれて行う雪合戦大会を開催しまーすっ‼︎』

「どうしてこうなったの!?」



 ツッコミが入ったが、誰も気にしなかった。


 要は楽しけりゃいいみたいな精神だった。


 あちらこちらで自然と雪合戦をやる人が増え、この際祭りみたいにして皆で楽しもうという発想からこうなったらしい。


 

 拡声の魔道具(マジックアイテム)とやらで都市全体に声が響き渡る。


 声から察するに、おそらくギルドマスターのアーガレストあたりであろう。



『ルールは簡単!!雪玉が当たったら即失格!!判定員が近くに忍び込んでおり、ズルができないようにしています!!』

「構わずにズルしたらどうなるんだー!!」


 一人が叫んでそう疑問の声を出した。


『もし、判定員すら無視してズルを続けた場合・・・・その人のこれまでにあった恥ずかしい出来事を試合中に堂々と私が発表いたします!!』


((((何を知っているんだ!?))))


 この時、全員の心が一致した。


 なお、恥ずかしい出来事を集めていたのはどうやらワゼらしい。



『一応、目的がないと意味がないのでこの雪合戦大会で最後まで生き残れた場合には・・・・賞金が出ます!!』

「「「「「おおおおおぉぉぉぉっ!!」」」」」


『あと、追加で以下の3つを好きに選べます!!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①スルトのマッサージ屋無料券30回分

②上級回復薬(ポーション)&上級魔力(マジック)回復薬(ポーション)セット

③一家に一台あったほうが良いかもしれないミニワゼ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」


 幅広いニーズにこたえるようにしているようだ。


①と③は一般人でもうれしいだろう。





 チーム分けは、ちょうどザストの中心部で人数的に公平になるようにされた。


 けど、冒険者グループなどはメンバーと別れて味方から敵になったりしているところもあって、やりにくそうだ。


「・・・これってどっちにも参加できないのが辛いですよね」

「見ているのも面白いけどなぁ」


 ライたちの場合は問題があった。


・・・・従魔たちの実力が高いのである。


 特に、こういう雪に関してはめっぽう強い雪女のツバキも従魔にしていることもあったのでちょっと特別枠に入れられた。


「『特別無差別襲撃チーム』っていいのかな」


 両チームに所属せず、どちらにも攻撃を加えられる役割を持つが、どちらからも攻撃を受けたら失格である。ついでに、味方からの攻撃でも失格だとか。


 

「雪玉の準備はできています」


 ツバキがこんもりと積み上げた雪玉を指さした。いつの間に・・・。


「まあ、この際楽しもうよ!!みんなガンガン攻めろ!!」

「「「「「「了解です!!」」」」」」





「せやあぁぁぁっぁ!!」


 ハクロが糸で作った網に、大量の雪玉を入れてスイングして投げた。


 空中で網がほどけて、中身の雪玉が参加者たちに襲い掛かる。


どがどごだがごごごごご!!


「のわぁぁぁぁ!!」

「ひゃぁぁぁぁl!!」




「・・・空中爆撃」

「これはこれで楽でありますよ」

「楽ですね」


 空中から、ヤタとミアン、人化解除したリーゼたちがそれぞれ雪玉を落としていく。


 避けやすい攻撃でもあるが、誰にあたるのかいまいちわかりにくい空からの攻撃だ。




「ウミュッ!ウミュッ!!」

「きゃーっ!!」

「可愛いー!!」


 懸命に楽しんで雪玉を投げているロウの愛らしさにやられた人が、自らあたりに行く。


・・・ロウ、恐ろしい子。




「それそれそれそれそれそれ!!」

「うわぁっ!!」

「アルテミスの姐さんそれずるいってうおっ!?」

「連続で飛んでくるぞー!!」


 アルテミスは8本脚を生かし、2本で雪玉をすばやく作成し、残る足と手で次々と絶え間なく浴びせていく。容赦ない。



カタカタカタァッ!!


 大きく開いた箱から、大量の雪玉が打ち出される。


 エリーは体内にあらかじめ収納した雪玉を一気に吐き出す戦法のようである。しかも、ミミックのその姿は宝石の部分が目立つが、基本的に白色を基調とされており、宝石部分を隠せば雪上では見にくかった。



「えいえいえいえいえいえいえでっせ!!」

「あれ普通だ!?」

「でも投げる雪玉超早いげふぅ!!」


 スルトの場合、電撃を使用せずに、普通に雪玉を投げているようである。


 だが、彼女はボルトオーガであり、武器は電撃だけではなく、怪力もあり、それを活かして剛速球を繰り出していた。握りすぎた雪玉が固くなって凶器と化している。




「ふふふふ・・・雪上は私の得意分野よ」

「のわぁぁぁぁ!!」

「さぶぅぅぅぅぅぅ!!」


 ツバキは雪女である自身の特性を生かし、軽めの吹雪を起こしてそれに雪玉をのせて次々と当てていくという芸当をやっていた。


 投げられる雪玉も向きを変えさせ、まさに雪の女王と言ってもおかしくはないだろう。さすが本職。



「・・・・ん?」


 あれ?そういえばルミナスはどこに?



『実況中ですが、ここでゲストの方の中継とつながってます。ルミナスさーん』

『はい、こちらでは現在吹雪が・・・』


 まさかの司会者側だったよ。姿が見えないと思ったら、あっちの方にいたんかい。





 そのまま次々と雪玉に撃破されていく両チーム。


 ハクロたちも快進撃を続けたが、互いの雪玉が命中して失格になったりと大波乱な状況である。


 そして、日が暮れかかり、もう終盤となったときについに、雪合戦大会の勝者が決まった。


『今大会の優勝者がついに決まりました!!優勝は、ワゼだぁぁぁぁぁぁっつ!!』

「メイドですからネ」


 いつのまにか参加しており、巧みに雪玉が飛び交う戦場を潜り抜けて、ワゼが優勝した。


 というか、右手が変形して筒みたいになってめっちゃ雪玉を撃ちまくっていたし・・・。



 とにもかくにも、皆楽しんだようで、全員笑いあって今回の雪合戦大会は終了したのであった。





・・・・その夜。


「痒い!!痒いですよ!!」

「・・・しもやけ」


 しもやけで、ロウとエリー、ツバキ、ワゼ以外の皆が苦しんだのは当然であった。


 手袋はつけていたとはいえ、露出していた肌部分がねぇ。



雪合戦というか、これを書いている現在雪が積もってない。

今年は暖冬ですかね。

こういうふうに、皆で雪合戦もしてみたいものだ。

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