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あとわずかで年越し

(2016/12/18現在)現実よりも早く年越ししそうな感じである。

今年もあと1日となった。


「・・・とはいっても、今年の最後の最後で大事件が起きるとはな」


 ふと振り返ってみれば、もうだいぶまともに歩けるようになったハクロの姿がそこにいた。


 割と結構早く慣れてきたようで、この様子なら年明け数日ほどでもう生活に支障が無くなるだろう。



「しかし・・・糸が手から出せないってのがちょっと不便ですかね。後方に素早くバックするって言う移動方法が取れませんよ」

「そこのところは仕方がないんじゃ?」


 目線の高さや感覚も違っているので、そのあたりはまだ完全になれないらしい。


 風呂に入ったときに、足を滑らして突っ込んで溺れかけていたっていのは昨夜の夜である。


 一応、アルテミスも一緒に入ってくれていたからすぐ助けてくれていたけどね。



「でも、ベッドに寝れるってのはいい感じですよ。前まではハンモックだけでしたし」


 以前は蜘蛛の部分が邪魔をして、ベッドに背を向けるとブリッジみたいな体勢になって寝にくいので、ハンモックを作製してこれまでは寝ていたが、今のほぼ人と変わらない体形になってからはベッドに寝るようにハクロはなった。


 これはある意味うれしい点なのかもしれない。





 一応、進化によっての変化の様なものなので、体のどこかがこれまでとは違う異常が出る可能性もあったが、アルテミスとワゼが診断したところ現時点では異常なし。


「足の筋肉もだいぶましになったようじゃな。じゃが、モンスターゆえに常人の脚力とはおそらく違うじゃろ」

「鍛えれば、蜘蛛の足時代と同様に素早く動けますネ。むしろ、1.5倍以上は早くなれそうデス」


 足腰をしっかりと鍛えれば、以前よりも高速で動くことが可能になるようである。


「ただ、こういった進化の例は知らんし、もう少し様子見じゃな」

「もしかしたらまた元に戻る可能性も0ではないですしネ」


 でも、その可能性はもう限りなく低いらしく、ハクロの足はきちんともうしっかりと出来上がってきているようである。


「だけどね・・」

「どうしたんですか?ライ様」

「いや、ハクロの蜘蛛の部分が消失したよね。だからこれまで見たいにその背中に乗ることや、よしかかることができなくなったのが寂しくて」


 4歳の時から一緒だったハクロ。


 その蜘蛛の部分は時には僕を乗せて移動したり、よしかかって昼寝したりしてきた。


 そういう思い出の部分が無くなったのはなんとなく寂しいものである。



 しょぼんとした顔をすると、ハクロがそっと僕の身体に抱き着いてきた。


「でも、私はここにいますよ。姿は変われど、私はライ様の従魔、絶対に離れたりしませんからね・・・」


 一応窒息の可能性を配慮しての背後からの抱き着きだったけど、結構暖かくて、なんとなく安心できた。


 ハクロはハクロ。それは、変わらない事実であり、僕の従魔でも、家族でもあるのだから・・・・・。



 

・・・でもね、後頭部が重いんですが。なんかちゃっかり乗せられて柔らかいし重いんだけど。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



・・・・・・・モンスターについての研究がされているモンスター学会会場に、今年最後のモンスターに関するニュースが飛び込んできた。


 ある魔物使いの従魔が、人の姿になったというモノである。


 もともと人型のモンスターはいるが、そのどれもは完全に外見が人ではない。


 だが、今回飛び込んできたニュースはアラクネという、下半身が蜘蛛のモンスターが、その蜘蛛の部分が消失して人と変わらぬ両足を手に入れたという事であった。



 今年も終わりに近づき、その中での物凄く大きなニュースだったので学会の人達は物凄く驚き、新年を迎える前にそのことについて延々と議論をしていた。



「そもそも、人と同等の姿にまで進化することがあり得るのか!!」

「人化の術を使うモンスターもいるが、今回のは進化によるものらしい。そのような例はあったか?」

「モンスターが人にか・・・・アンデッド系統の逆だな」


 アンデッド系のモンスター・・・・いわゆるゾンビなどは死体が蘇ってモンスターになったもので、あながち人からモンスターへの進化とも言えなくもない。


 だが、今回のはそのまったくの真逆であるのだ。



「だが・・・もしかすると記録に残っていないモノの可能性もある」


 モンスターが人とほとんど同じ形に進化する可能性もゼロではない。


 人型に近いモンスターもいるんだし、進化の可能性はあり得ないわけではないのだ。



「・・・だが、ここで一つ気になったんだが」


 と、一人が疑問を発言した。


「何か疑問が?」

「いや、今回の元となったのはアラクネだろ?アラクネってのは人と交配可能な種族でもある。生まれるのは同種のアラクネになるのだが・・・・今回のその人になったアラクネの場合はどうなのだろうか」



 シン・・・・・とその場が静寂に包まれた。


 デリカシーのないような気もするが、ふと考えてみると確かに気になったのである。



人を利用して、自身の種族を増やすモンスターは意外と結構いる。


 ゴブリン、オーク、ラミア、ワーウルフなどがその最たる例だろう。


 どれもそのモンスターと同種の子供が生まれるのは確認されているのだが・・・・この場合はどうなのだろうか。


 そのアラクネと同じ姿で生まれるのか、進化前というべき通常種のアラクネとして生まれるのか、それとも・・・人として生まれてくるのか。


 こればっかりは当人の事情によってとしか言えず、けれどもその場にいた全員は疑問に思うのであった。

 

まあ、そのあたりは当人たちの意思次第だしね・・・・・・・・。

ここで暴走列車みたいな感じになりそうで怖い

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