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進化の可能性というのは・・・・

本日2話目

 ハクロがアラクネの最大の特徴でもあった蜘蛛の部分を失って、人の両足が生えたことはすぐに噂になった。


 家から今出ていないのだが、どうも僕らが必死になってその原因を探している姿からわかったらしい。


 ハクロはまだその体に慣れていなくて、まるで生まれたての小鹿のごとく足をプルプルさせて歩行の練習をしている。


 いやホント、アラクネの安定感ある足から、いきなり人の足へと変わればそりゃ歩行に難が出るよね。


 しかも、その分身長も縮み・・・というか、苦悶部分が大きかったからだけど結構目線が近くなった。


・・・でもね、まだ僕より大きいんだよね。そこのところはもう少し低くなってほしかったかもしれん。



「むぅ・・・進化の例などを調べてみたのじゃが、やはりその可能性が一番あるようじゃな」


 ハクロの蜘蛛の部分が失われて3日、年が明けるまであと2日となったときに全員で調べた結果をまとめたところ、やはり進化による可能性が大きいと結論がでた。


「希少種などの場合、進化すると通常種とは変わった進化をするようじゃ」

「わかりやすい例としてはスライムですね」


 通常種のスライムはスライムグレイトと言った感じに進化するが、希少種のスライムだとスライムエンペラーとかに進化するらしい。


 そして、その進化の方向性は希少種によっても違うのだとか。



「そもそも、我等の場合は進化はほとんど発生はせんのじゃ」


 通常種なら進化の可能性は多くあるようだが、希少種あたりからはその可能性は低くなるらしい。


 その理由としては、元から大きな力を持つほど進化をする理由がない感じだとか。


「神獣種、幻獣種に進化がないのもその理由の一つじゃ。元から強大な力を持っているので、いわば完成されたような存在ともいえるのじゃ」


 だけど、それ以外には一応それなりに進化の可能性があって・・・・


「偶然、ハクロが進化できたというわけか・・・」

「まあ、進化って言うには怪しいでありますが」


 自力歩行が難しくなっているので、むしろ退化ともいえるかもしれないようである。


「糸は以前よりも強度も量も増してますけど・・・」


 ハクロの蜘蛛の部分が無くなったのでそこからの糸の放出は消失したが、その代わりにどうやら手からの放出する糸がパワーアップしたようである。


「・・・でも、この場合なんて種族名になるかは現在も不明」


 ギルドマスターに聞いたところ、このような人の姿に完全になるようなモンスターの進化は聞いたことがなく、ただでさえ年末で忙しい時期なのにモンスター学会とやらも大混乱しているのだとか。


「一度その学会本部に直接来てくれとも言われているけど、今のままだと無理だよね」

「面目ないですよ・・・・」


 まだハクロの足腰が不安定なので、行けるとしたら年明けであろう。


 それまでに歩けるようにしてかつ、足腰をきちんと鍛えなければいけない。


「自分でいうのもなんですけど、この足でよくライ様やルミナスは歩けますよね・・」

「・・・私は?」

「ロウハー?」

『私はどうなのですかね?』

「あたしは?」

「私もよね?」


 二本足歩行をできるのは他にヤタ、ロウ、エリー(人型)、スルト、ツバキもいるんだけど・・・・・あとリーゼ(人化)もか。


 今思えば、足の感覚とかは人とは違っていたもんな。


「我もハクロと同様の身であれば歩きにくかったのかもしれぬのぅ」

「同情するでありますよ」


 たこ足であるアルテミスに、ちょっと体を浮かして移動しているミアンの二人は、ハクロのその歩きにくい感覚に同情できるようであった。




「にしても、これが進化だとしたらなんでまた突然に起きたんだろうか?」

「進化ねぇ、結構突然な感じに起きるんやで」

 

 このメンバーで唯一それを経験しているらしいスルトがそう言った。


 そういえば、スルトの場合オーガからボルトオーガになっていたんだっけ。


「昨日までは普通だったのに、翌朝いきなり変わっていたっていうのはそういうもんなのやで」


 うんうんと、進化したての頃を思い出すかのようにしみじみというスルト。

 

 説得力がこの中の誰よりも大きかった。




「こういう進化の方向もあるんだな・・・」

「でも・・・ちょっと懸念しなければいけないかもしれないわね」


 ルミナスがポツリとそう言った。


「どういうこと?」

「ライの従魔が人の姿にほぼ完全に進化した・・・・みたいな感じですでに噂になっているわよね」

「うん」


 ギルドに行って情報収集をしていると、すでに結構噂になっているのがよくわかる。


「モンスターにも一応人型に近いものが知られているけど、モンスターが人にほとんど変わりないように進化したっていうのは聞かない。でもその例が実際にライの従魔で起きたと知っている人たちが次にする可能性のある行動と言えば・・・・・」


 そこまで言われるとすぐにわかった。


「モンスターが本当にそんな感じに進化できるかの実験みたいなものが、実際に行われる可能性があるってことか」


 最初から人型なのはおいておいて、今までに見つかっていない進化もあるかもしれない。


 その中に、ハクロのように人型に進化するのがあるとすれば・・・・・・。


「魔物使いとかの間で猛烈な争いが起きる可能性があるわ」


 ぶっちゃけ冒険者の大半が独身である。


 相手が欲しいならモンスターでも構わないような人もいるわけで、そりゃ奴隷の中に人と交配可能なモンスターが取引されることもある。


 で、言うなればつまり・・・・・・醜い争いが起きそうだ。



「擬人化薬とか、そう言った怪しげな薬が出回りそうじゃな・・・・・」


 その可能性に、ちょっと軽く引いたが・・・・まあ、その辺は人によってだろうな。


「奴隷商とかでは、人のようになれるモンスターを探して売りさばきたいのも出るかもしれないわね」


 結構めんどくさそうな問題が起きそうな・・・・・そんな予感がするのであった。







何やら物凄い面倒ごとに発展しそうである

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