冬到来
冬になってきたころ合いである。
そういえば、この作品って毎日投稿のつもりじゃなかったのに毎日投稿してしまうのはなぜだろうか?
ライたちのAランク昇格からしばらくたち、秋が過ぎてザストに冬が到来した。
皆の吐く息も白くなり、冬支度を早く完了した冒険者たちは酒場でほっとしたり、ギルドの練習場を利用して鍛えたりして入るのだが、冬支度ができなかった者たちは生活費のために一生懸命依頼を探してこなしたりしていた。
「やっぱ依頼とかも極端に少なくなるよね」
「冬ですから、すこしでも稼ごうとする人たちが取り合うんですよ」
ライたちは今日もギルドの依頼が貼られている壁のところに来ていた。
すでに冬支度もできており、余裕もあるのだがなんとなく習慣づいてしまっているのである。慣れというのは恐ろしいよ。
冬になって雪が降り始めてから、ミアンは「寒いのは嫌であります」とか言って部屋にこもってしまったが。
最初にあった時の氷漬けになったのがトラウマになっているらしい。そのうちトラウマが治ってくれれば冬でも活動してくれるかもしれない。
・・・いや、氷漬けにしたことってミアンが攻撃してきたあの事件だしさ、自業自得なんだろうけどなんかごめん。
なので、戦力的なところではミアンが一時的に抜けて大幅ダウンはしているものの、討伐依頼とかでも無理はしない程度の物にしているのでそこまでの物ではなかった。
というか、元から大規模な討伐依頼自体を引き受けていないのだが。
全員戦闘とかよりも普通の採取依頼とかとかの方が好きだしね。
なお、今日一緒にいるのはハクロだけで、他の皆は家に残っている。たまには二人だけっていうのもまあいいかな。
「報酬が高めの依頼が多く取られているな」
「報酬が少ないものにはほとんど手が付けられていませんしね」
冬になると、低収入しか得られない人たちは冒険者業をせずにどこかでバイトしたり、屋台をつくって商売する人たちも出るのでこのようなことになるのだ。
「まあ、その分おいしい屋台が出てくるのでいいんですけどね」
「ハクロ、その串焼きいつのまに買ったの?」
いつのまにかホカホカのたれたっぷりの串焼きをハクロがほおばっていた。
「マッサージはこういう時に需要があるようでっせ」
ギルドの特設マッサージ室では、スルトが客にマッサージを施していた。
この季節になると、肩や関節の痛みを訴える人が多くなり、こういうマッサージ屋に来る人が増えるようだ。・・・・前にも何か言ったような気がするけど気のせいかな?
「この仕事が少ない時を利用して、身体の不具合を治そうとする人もいるんだよね」
冬支度もできて、余裕がある人はこの時期に体の調子悪いところの治療を受けに行ったりする。
スルトにがんばれと言い、ライとハクロは今日は適当に選んだ依頼を受けに行くのであった。これなら皆でやらなくてもすぐにできて、二人だけでもできそうな依頼だしね。
「これって屋台の手伝いですよね。食べ物系の」
「こういうバイト募集みたいの依頼もあるのが冬って感じがするよね」
・・・・数時間後、とある屋台に長蛇の列ができたが、そこはこの冬でもファン魂がものすごかったという事であろうか?
その裏で、慌てて家に戻って手伝いを頼むライの姿があったのは言うまでもない。
油断しているとこうなるんですね。よくわかりました。
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雪が降り積もるとある山の頂上。
彼女はそこからふもとの様子を見ていた。
向かい合うは大勢の軍勢。
秋のころから争い、今だにそこで火花を散らし続けている。
山にいるモンスターたちは肉を確保するために襲い掛かっている。
だが、その軍勢にいる人の中にはモンスターと戦う人もいる。
山のモンスターが減り、被害を受けたその軍勢の数は減るもののその場から動かない。
互いにぶつかり合っては決着がつかず、そのままそこに居座ってモンスターたちの強襲を受ける。
もう何度も何度も繰り返しているようだが、何一つ変わっていない。
彼女はその光景に呆れを感じ、その愚かさに頭を悩ませる。
自分が出て、一気に両者とも氷漬けにしてしまえばこのうるさいハエのような者たちは静まるだろうか?
だけど、ここは干渉するべきではない。そう彼女は思う。
昔から自分の姿を見ては、欲望を丸出しにして来る人を見てうんざりしているのだ。
やっとここで落ち着いて暮らしているのに、うかつに自分の存在が知られてはまた同じようなことが起きる。
・・・・・そして、彼女はその様子を見続ける。やることも、生きる価値もないようなそんな気分で。
時々願う。この自分を、その中をしっかりと見てくれるようなそんな人がいないかと・・・・・・




