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Aランクになったのだが

本日2話目

忘れられているであろうあの人物の名前だけが出ます

 Aランクに昇格できたライたちは喜んだが、体中が果汁でべとべとしているので、一旦風呂に入らせてもらった後改めて翌日その話しを聞くことにした。




「今回、ライ君たちの冒険者グループランクはAランクに昇格。グループランクの昇格に伴い、ライ君とルミナスさんの二人はどちらも同時に個人的なランクでもAに昇格することにした」

「質問いいでしょうか?」


 と、ルミナスが何やら質問があるようだ。


「なにかな?」

「ライがランクAになるのはわかりますが、実力はほとんど変わっていない私までなぜAランクに?」


 ライの場合、従魔の数と質の総合によりそのランクに上がるのはわかるが、ルミナスは精霊魔法使いと弓師を兼ねており、実力としてはまだまだな気がするのだ。


「それはね、もともと優れているっていうのもあるんだよね」


 話によると、ルミナスの精霊魔法は通常の人の精霊魔法よりも威力などが高いのがその要因らしい。


「通常の精霊魔法ってどんなのかいまいちわからないな」


 精霊魔法を使う人ってルミナス以外見たことがない。


「そもそも、私の精霊魔法が優れているというよりも、ライの方になぜか精霊がよく集まるので通常よりも多くの精霊の力を借りられるのが原因ですが・・・・」

「まあ、その辺も一応考慮しているよ。精霊魔法に詳しくもありながら使えないモッサンさんもこの話に関わっているけどね」


 ああ、あの変態(ロリババァ)か。


 モッサンさんは精霊に嫌われて(原因は明らかだけど)精霊魔法が使えないエルフの人だ。


 でも、そういう関係に関しては一応詳しいらしく、今回のルミナスのランク上げについての進言もしてくれたらしい。


 まともな人ならいいんだけど、見た目が幼い少女、中身がおっさんというのがね・・・・・。



「いまだにつかまっていない人ですか」

「・・・犯罪者になってもおかしくないというのに」



 モッサンさんの事を思い出し、知っているハクロたちは顔を嫌そうにして、知らないミアンとエリーは首をかしげる。


「そのモッサンとかいうのはどういう人物でありますか?」

「エルフだけどエロフともいえるわね」

「揉んでくるんですよね・・・・本当に嫌になるぐらい」

「・・・サイズのこだわりもあって、大きな人にしか襲い掛からない」

「考えると、ミアンもエリーも襲うのぅ」


 知っていいる組は恐ろしくいやそうな顔をして言ったので、ミアンとエリーとスルトはそれだけでモッサンさんがどのような人物かわかったようである。


「会いたくはないでありますな。万が一会ったならば、叩き潰してしまうのはいでありますかね?」

「電撃で撃退できるならそれでいいかもしれへん」」

『あった場合、箱の姿に戻っているほうが良いかも』



 対処法は様々だけど、とにかく油断しないことが最善であろう。



 とりあえず話を戻しましてっと。



「ミアンさんを従魔に加えた時点ですでにSクラスに出来るかもと思っていたのだけど・・・」

「国の介入を考えたのでありますか」


 いきなりランクが上がれば、当然かなり目立つ。


 そして今国は戦争中だ。


 下手したら国に目をつけられてしまっていた可能性があり、厄介な状況になっていたかもしれないのだ。


「まあ、ここまで上がるの、その従魔たちを仲間にしているのも目立つかもしれないが、一応徐々にランクを上げたのでそこまで突出して目立っているわけではないだろうと思い、やっと今回Aランクに昇格したってわけさ」

「なるほど、ギルドも考えてくれていたんですね」



 まあ、ギルドなりの考えとしては、ここまで一気に従魔を増やしてかつ、強力な従魔を持つ冒険者を失いたくはないという事情があったのだが・・・・






 とりあえず、ギルドカードもAランクに書き換えられ、晴れて正式にAランクへと僕らはなったのであった。


「今夜はお祝いですかネ?」

「できれば御馳走で頼む」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ふむ、アラモズ山出身のモンスターを従魔にしているのはこの魔物使いたちか・・」


 ルーナス城の特別会議室にて、プラントは報告書に目を通した。


「冒険者グループにそれぞれ所属しており、アラモズ山出身モンスターは『スノーウルフ』、『タイラントコング』、『アイススネーク』などのモンスターの様です」



 アラモズ山にて王国軍と帝国軍が互いににらみ合っている中、アラモズ山に出るモンスターをどうにかして帝国軍に攻撃するように誘導したいという狙いがある。


 その山出身のモンスターを従魔にしている魔物使いたちに、モンスターたちを利用してそこまで何とか誘導できないか調べていたのだが・・・・・



「誘導するには効果は今一つだな。それぞれ1体づつしか所持しておらぬし、いまいちインパクトが薄いだろう」

「ですが、調べた結果そのモンスターたちぐらいしかいません」


 そもそも、野生のモンスターたちを誘導するにはより上位の種を利用したほうが成功確率は高いらしい。


 だが、どれも通常種であり、一応その山でも普通にいる種のモンスターばかりである。



「戦場近くということもあり、拒否する人もいるでしょう」

「その作戦はおそらく成功確率は物凄く低いです」

「誘導するにしても、通常種より上の上位種とか、希少種とか、リーダーが付くようなモンスターを従魔にしている人が良いのでしょうが・・・」


 この作戦は確実に無理かもしれないというムードが漂っていた時であった。


「待てよ?そういえば最近城下街でモンスターの・・・それも希少種とからしき姿を見たとかいう情報があったな」


 ふと、会議室にいた一人が思い出したかのようにつぶやいた。


「ああ、そのことについてはすでに調査済みだ。だが、調査してみたら逆に手を出したら恐ろしく不味いことが判明してな・・・・」

「まずいことだと?」



 すでに調べていた一人がそう言ったので、その場にいた全員が首を傾げた。


「この前、ザストの防衛戦で活躍した魔物使いがいただろう?そいつの従魔たちらしい」

「ああ、アラクネとか、クイーンハーピーとかのモンスターを従魔にしていて、有能そうだし下手に手を出すなと勧告したあれか」


 その言葉に、プラントはその時のことを思い出す。


 有能そうだし、後で調べて仕えさせられないか調べさせようと思って忘れていたのである。


「その報告をなぜ早く上げなかった?冒険者なら指名依頼でも出して参戦させればよかっただろう?」

「そうはおっしゃいますが、そのモンスターの中にちょっとまずいものが・・・・」


 そういったかと思うと、その人物はプラントにその報告書を提出した。


「こちらですが・・・・今のところ最新情報です」

「どれ・・・・・・はぁ!?」



 読んですぐにプラントは驚いた。


「アラクネとか、クイーンハーピーなどはわかっていたが、神獣種のラミア・ドラゴンも従魔にしているだと!?」

「「「「神獣種!?」」」」


 その言葉に、その場にいた全員が驚いた。


 神獣種と言えば、モンスターの中でも最高峰にあたる種族であり、その潜在能力はとんでもなくすぐれている。


 彼らは普段は人前にあらわさず、そもそも従魔になった例なんて聞いたことがなかった。


「ギルド側が情報操作をして、こちらに流れるのを遅らせていたそうです」

「明らかにとんでもない奴だろそれ!」

「というか、これて今モンスター学会をも悩ませているモンスターを従魔にしている冒険者ですな」

「あー、少女の見た目のスライムと、人の姿になれるミミックのか」


 そのほかの情報を見て、それなりに知っていた者もいた。



「この人物が戦争に参戦してくれれば速攻で終わらせられそうだが・・・・」

「どうやら本人は戦争に参戦しないようで、下手に無理やり命令した場合むしろ帝国側に付かれるリスクもあるそうです」


 これを才能の無駄遣いと言わずしてなんというかとその場の全員が思った。


「従魔の特徴は全員人と似た姿をしているモンスターで、美麗なものばかりか・・・・」

「なぜかそのモンスター関係ばかりが従魔に・・・・・まてよ?」


 ふと、その場の一人が思いついたようである。


「この者は、綺麗な女性のような見た目のモンスターばかりがなぜか従魔になりやすいってことであっているんですよね?」

「調べたところそうなるようだが」

「確か、今問題にしているアラモズ山に出現するモンスターの中に・・・・・その魔物津秋の従魔になる可能性があるモンスターがいるはずです」



 その言葉に、全員なんとなく察した。


「めったに出会わない、幻獣種指定のモンスターのあれか?この魔物使いの男が向かったところで、そうやすやすと姿を現すわけではないようだが・・・」

「ですが、もしこの魔物使いがそのモンスターを従魔にして、かつそのアラモズ山中のモンスターを帝国軍の方へしむけられるようにできれば・・・・・」

「なるほど、成功の確率は低いが、その作戦通りに良ければ帝国側に大きな被害が出せるな」


 これは良い案ではないかとその場にいたほとんどがうなずく。


「だが、それだとこの魔物使いの従魔たちの強さがとんでもないものになるぞ?そのまま戦争に参加させても・・・」

「神獣種がいる相手に強制できるか?まあ、我々はそうなるように誘導すればいいだけだ」



 腹黒い笑みを全員浮かべ、戦争に勝てるかもしれない可能性を見出した。


「さて、そうするとなるとここに向かうように仕向ける必要がまずいるな」

「指名依頼として、この山にしかないような特別な薬草を取らせに行くようなものではどうでしょうか?」

「いや、討伐依頼を利用してだな・・・・・・」



 どうすればいいのか、一晩中その会議は続くのであった・・・・・・・





まあ、今回の話に関しては細かいツッコミをご遠慮ください。

いつのまにか進む腹黒い企み、果たしてライたちはどうなるのやら?

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