真夏のお知らせ
書いている現在の季節は冬でした。
真逆の季節でもいいのかな。
『冒険者肝試し大会開催のお知らせ』
冒険者たちよ、君らは日々モンスターを討伐したり、薬草を入手したり、護衛を受けたりしている毎日にうんざりはしていないか?
中々ランクが上がらない者たちも、そこそこ鬱憤が貯まっているであろう。
そこでだ、今度ギルド主催での参加型肝試し大会を開催する!!
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「・・・なんだこれ?」
「・・・肝試しのお知らせ」
真夏になり、汗をかき始める今日この頃、ギルドにライたちが訪れると、依頼が張られているところに人だかりができていた。
何なのかなと思って覗いてみたけど・・・肝試しか。
「どうやら、冒険者の方でも脅かし役に参戦できるようじゃな」
「驚かせて楽しむか、驚いて楽しむか・・・・なかなか趣向が凝らされているようでありますな」
ニア村で昔に似たなことやったけど、あの時は・・・・
「ハクロが泣き叫んで、危うく肝試し大会からお葬式会になりそうになったよね・・・」
「私の恥ずかしい思い出を思い出させないでくださいよ!!」
「お葬式って・・・」
ハクロが真っ赤になって叫ぶ。
モンスターには、幽霊のような「ゴースト」「レイス」。人の死体のようなアンデッド系のモンスターなどいることはいる。
なので、モンスターであるハクロにとってもそのモンスターは怖くはないのだ。
だが、ハクロが怖がったのは・・・・
「暗闇でのこんにゃくの強襲とかにびびったんだよね」
どうもその場の雰囲気に恐怖を覚えたらしく、泣き叫びながら脅かし役の人を糸で縛ったりなぎ倒したり、アラクネ特有の意外な怪力で木をへし折って振り回したりしたのである。
「それは・・・むしろハクロの方が怖ろしいような」
「幽霊よりも、お主が恐怖を与える対象になってどうするんじゃ」
話を聞くと、全員呆れたような顔になった。
というか、今更よく考えてみたら死者が出なかったのが不思議なぐらいである。
ハクロはその話を聞かれて恥ずかしいのか、ギルドの隅っこで全身茹でガニのように赤くなって縮こまっていた。
「あぅぅぅっ・・・そのことは忘れてくださいよ・・・」
悶えているハクロ。
うん、話してなんかごめん。
まあ、この肝試し大会にはハクロを近づけないようにするとしてだ。
「場所は・・・・スライムの森か」
ザスト近くにあるスライムだらけの森。あそこを肝試し会場にしても大丈夫なのだろうか?
「スライムに物凄い凶悪なのはめったにおらんからのぅ、服が溶ける恐怖もプラスしておるのじゃろう」
大抵のスライムは弱く、倒しやすいためにそこまで恐怖の存在ではない。服を溶かすという別の意味で恐怖の存在となっている物もいるのだが・・・・。
育て方とか環境によっては物凄いものがいるそうだが、あの森にはめったに物凄いスライムは出ないそうな。
「2人一組の男女ペアで、参加費用は無料じゃな」
脅かし役の方はカップルなどが来た時にうっぷん晴らしができるだろうし、驚かされる方はこの暑くなってきた日々に寒気を覚えられる。
なかなかいいのではないだろうか?
「脅かし役は誰でもいいのか・・・・・この際、僕らも脅かし役になってみる?」
たまに企む主人公。
こういうことがあってもいいんじゃないかな?




