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ザストへ戻りましょう

本日2話目です

実家への帰宅とザストにある家への帰宅

「帰宅:という文字の使いどころがなかなかややこしいような気がする。

 ニア村でライたちは数日間ほど過ごし、とりあえずもうザストに戻ることにした。


 村で全員にまたザストに戻ると言って出ていったけど、やっぱ今の自分の居場所はザストの自宅なんだよな・・・・。



「それにしても、罠の回収に時間がかかったよね」

「地形も変化してきていますからねぇ」


 木とか草とかが成長して、隠してある罠が見つかりにくくなっていた。


 おかげで、いくつかの罠に僕らは引っかかったんだよね・・・・。



「宙ぶらりんになったり、網で絡み取られたり、落とし穴に落ちたり・・・・」

「中には激辛の実をぶつけるもやつもあったのぅ」


 その罠はふざけ半分で昔作ったやつで、ハクロがかかってもだえ苦しんでいたよね。


「顔にいきなりばちゅっと当たってつぶれて、その汁が本当にしみましたよ・・」

「腐っていたのか、熟れ過ぎていたのか・・・ちょっとにおいがきつかったであります」


 おかげで、洗い落とすのに時間がかかったのである。


「あれだけの罠を見ると、ライとハクロが昔どれだけやらかしていたのかわかるわね・・・」


 どこか疲れた顔でルミナスがそうつぶやくと、うんうんとハクロを除く他の従魔全員同意するかのようぬうなずいていた。


 まあ、全員苦労したもんね。落とし穴だけミアンがかかったけど下半身のドラゴンの長い胴体部分で入りきらずに不発みたいなものになっていたし、吊り上げるやつではアルテミスの足の一本がかかってぬめって抜け落ちたし、網のやつではロウがその隙間からにゅるんと脱出したし・・・・。




 ともかく、リーゼに乗って僕らはザストへ向かうのであった。


 回収した罠?解体して再利用できないか検討するよ。一応ハクロの糸で作ってあるから衣服や靴下、ロープなどに作り直せそうだからね。




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SIDEロズ王女


「行きましたか・・」


 ライたちが村から出ていったあと、ロズ王女は自然とつぶやいた。


 今回もライたちに依頼したが、まあ、実は隠れた目的もあったりした。


 表向きには前回も依頼したし、自身の魔眼でも悪い人物ではないとはっきりわかっているから依頼したということにしている。


 だが、裏向きには・・・・


「それにしても、今回は話すだけで終わってしまいましたな」

「ええ、出来ればと思っていたのですが・・・・」


 目的としては、実はライとの関係を深めることにあった。


 ライが持つ従魔たちは、見た目は美しいものが多いがその実力は並ではない。


 強いという以上の言葉が出てこないぐらい、それだけの能力があるのだ。


 そもそも、神獣種であるラミア・ドラゴンも従魔にしているあたりそれだけライの才能があるということを示している。



 もし、関係を深めることができればこの国にとってもプラスになるようなこともしてくれるかもしれないし・・・・。


「姫様にとっては、一目ぼれの初恋の様なものですな」

「それを言われると恥ずかしいのですけどね」


・・・最初、馬車が襲われた時に現れた従魔を率いた人。


 その顔をその時は馬車の中からしか見ていなかったのだが、その時ロズ王女は一目ぼれをした。


 本などで、そういう一目ぼれの恋愛ものを読んだことはあるが、さすがにそう簡単にはないだろうと思っていた。


 けど、あの時本当にあるんだと自覚してしまった。


 

 どことなく、遠い昔、自分ではない自分の時に愛したかのような、そんな感覚がある。


 けど、うまいこと言えずに、話すだけで今回も終わってしまったのであった。


「言うなれば、『ヘタレ』ってやつですかね・・・」

「いや、あっちが鈍感という可能性があるのですがね」


 ラリゴのそのツッコミに、なんとなくそう思えるような気がしたロズ王女。


 彼の・・ライの従魔や、彼と組んでいる冒険者のハーフダークエルフの女性も、乙女の勘的には彼に好意を抱いている。


 なのに、全く気が付かずに、普通の家族のように接している姿を見るとその鈍感とか、唐変木や朴念仁とかいう言葉を連想してしまった。


 うん、罪作りな人であろう。



 ともかく、またいつか依頼を出す日はある。その時には、きっと・・・・・・・



隠しヒロインともいえるロズ王女。果たして、その気持ちはいつか届く日は来るのだろうか・・・・・。

あ、一応メインヒロインはハクロですよ。

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