閑話 ワゼの発明
高性能なメイドですヨ
「ん?何をしているのワゼ?」
ある日、ライはふとワゼが珍しくメイドの家事仕事をしないで何かを作っていることに気が付き、気になったので尋ねてみた。
何やら木彫りの人形のようなものを何体か作っているようだが、関節部分などが動くように組み合わせられていたりしている。
「ああ、これですカ?ちょっと思いついたので作ってみようと私の所持金からおろしたもので購入したのデス」
一応、ワゼはギルドで働いたりしているので給料をもらっているらしい。
そのお金から、貯蓄していた分を少しおろして材料を購入したらしいが・・・。
「いや、何を作っているのかが気になるんだけど」
「明日のお楽しみですヨ」
そう言いながら、ワゼはそのなにかしらの作業を再開した。
「なにを作っているんだろうか・・・?」
「ワゼの事ですし、何か家事仕事などに役立つ物ではないでしょうかね?」
皆に聞いてみたが、まあ予想はできないようである。
一応、この中で一番できる超人メイドだからね・・・・いや、魔道具なんだけどたまに本当の人のように思えるんだよね。
翌日、ワゼが何か作ったので発表すると言い、庭に全員集められた。
「レディースエーンドジェントルマーン!!今日お集まりいただいた皆様に、私からの発表をお聞かせいたしマス」
「その最初の言葉っているの?」
ワゼっていろいろ知っているようだけど、たまに突拍子もないようなこともやるよね。
庭の中央には、何やら布がかぶせられた箱があった。
「この中に、今回私が作ったものがあるのデス」
「昨日作っていたやつか」
「はい、その通りデス。そもそも、これを作ろうと思った動機は私のサポートみたいなものが欲しいと思い、そのサブユニットモドキみたいなものデス」
「「「「サブユニット?」」」」
サポートってことは、ワゼの仕事を助けるやつかな?
「其の名も・・・・」
ダラララララララララララ、と、どこからかドラムの音が聞こえる。何で演出に凝っているんだろうか?
ダァン!バサッ!!
ワゼが勢いよく布を取り、その正体が明らかになった。
「え!?」
「はい!?」
「へ!?」
「・・・驚き」
「ほう、なるほど」
「そうきたでありますか」
「ウミュ?」
「スヤァ(最初から寝ている)・・・」
『!?』
全員驚いて、そのワゼが作ったものを見た。
ソレはワゼの外見に似ていながらも、物凄く緩く、縮小したようなものであった。
「『人型家事戦闘万能型魔人形魔道具MKS-02改良量産小型化』、その名も『ミニワゼ』デス!!」
普段の彼女よりも、ややテンション高めでワゼはその作ったものを紹介した。
「・・・・小さいワゼだな」
しかも、1体とかではなく10体ほどいる。
「まあ、私のボディの素材だと量産できないので、ほとんど木製ですが・・・耐火性能はありマス」
「いや、ツッコミどころはそこじゃないような気がする」
細かく説明を受けると、ワゼが、自身の構造を自分なりに小型化させ、更に量産できるように作ったものだという。
「私に比べて10分の1ほどの性能ですが・・・・これでも役に立ちマス」
「10分の一とは言っても、ワゼの性能を考えると、明らかに普通の魔道具以上じゃよ」
「というか、なんか可愛いですね」
妖精とも言っていいサイズだけど、力もそこそこあるらしい。
「重要機密部分はブラックボックス化して、更に自爆機能を付けてますので盗難されても大丈夫デス」
「自爆機能!?」
さすがにそんな物騒なものはつけてほしくないような・・・・。というか、本当にどうやってつくったのだろうか・・・・?
本当に、このメイドは謎が多いよ。
魔道具らしいけど、自我がはっきりあるし、性能も物凄いし、仕事もできる。
一体どこの誰がこのメイドを作ったのやら。製作者の顔が見てみたいな・・・。
「一応、動力は環境面やコストから考えてゴブリン程度の魔石を取り換えて動くようにもしていマス。今はテスト動作用電源で動いているのですヨ」
「それを考えると、結構すごいな・・・・」
ゴブリン程度の魔石だけで動くって、それはそれで物凄い。
・・・・というか、これ商品化したほうが良いのでは?なんかものすごい収入になりそう。
まあ、ともかくミニワゼたちは我が家の一員となったのであった。
ちょこまか動くし、たまに妖精が現れたのかと言いたくなったよ。
『人型家事戦闘万能型魔人形魔道具MKS-02改良量産小型化』ー『ミニワゼ』
サイズは手のひらサイズにまで縮小され、性能はワゼの10分の1の魔道具。ワゼのサポートのためにワゼが作った。材料はほとんど木製だが、耐火性があるので調理にも参加できる。重要機密部分はブラックボックス化されてはいるが、一応量産可能らしい。動力はモンスターからとれる魔石で、ゴブリン程度の物でかなり長い間稼働可能。
現在、商品化できないか検討がされている。
・・・はっきり言って、このメイドが一番チートなような気がするのは気のせいだろうか?




