目的地までの道中3
今回ものんびりと
SIDライ
「では・・・このカードがライが選んだ奴ですよね?」
「おー、当たっているじゃん」
ニア村まであと2日ほどで到着予定だが、馬車内で手品でライたちは遊んでいた。
今はルミナスがカードを使って手品をしているけど、すごいな・・・。
「百発百中ですね・・・」
ロズ王女もこれには驚きである。
「ふふふ・・・こういうのって隠し芸としても役に立つのよ」
・・・・ネタ晴らしをしてもらうと、精霊に聞いて教えてもらっているようだけど、なんだろうかその才能の無駄遣い感。
「まあ、精霊なんて良いのもいれば、ろくでもないのもいるのよね」
「ろくでもないもの?」
精霊なんて見えない僕らにしてみれば、精霊なんて皆同じような気がするんだけど・・・。
「精霊が見える人はたいていそういうそうですが・・・どういうことですか?」
ロズ王女が疑問を口にした。
「それはね、精霊は大抵は自我がはっきりしないようなふわふわした感じなのよ。心地よい場所に集まり、それ以外ではその辺を漂っているようなものだけれども・・・中にははっきりしたやつもいてね、ちょっとおせっかいなやつが多くてうっとおしくなったりするのよね・・・」
「そういう苦労もあるんだ・・」
「ウミュ・・・」
「精霊の話が聞けたら良いなと思った時はありますけど、今ので少し聞けなくてよかったかもと思えました・・」
ちょっと頭を抱えたルミナスに、全員どことなく同情を覚えた。
「でも・・・不思議なことにライの周りにいる精霊たちはそんなことがないのよね。うじゃうじゃいるし、見える人が見れば驚くわよ?」
「それ前にも言っていたけど、そんなにいるの?」
「ええ、物凄く」
ルミナスに断言されたけど、想像したらなんか怖いな・・・・。
「人にそんなに精霊が集まるってことはあるんですか?」
「綺麗な小川や、森には集まるのだけれども、ライのように精霊が集まってくる人ってのはないわね。まあ、ここまで来るとそばにいるだけで精霊魔法も桁違いになるのよ」
ルミナスの攻撃手段は精霊魔法と弓矢。そのうち、精霊魔法は僕の近くにいたほうが桁違いの威力に跳ね上がるらしい。
「使えたら面白そうだったんだけどな・・・」
「ライは見えないでしょ?その時点で無理よ・・・。なんか、もったいないような感じにも見えるわね」
ルミナスからしてみれば、これはある意味精霊から愛されているようなものだと認識できる。
ここまで精霊が集まっていると、その集まられている本人が精霊魔法を行使した時にとんでもないぐらいの者になるはずだが・・・・幸か不幸かライは精霊魔法が使えなかった。
幸としているのは、へたすると攻撃の精霊魔法を使用したら恐ろしい威力になってあたり一帯が吹き飛ぶ可能性が。
不幸としているのは、それだけの精霊に集まられながらも精霊魔法が行使できないことである。
「まあ、そのあたりは詳しい専門家でないとわからないわね」
「ルミナスもハーフダークエルフだから専門家のようなものだよね?」
「精霊魔法を行使できるだけで、その道の専門家というわけではないわ」
「この護衛依頼を終えたら、私がその専門家を報酬に追加して依頼してきてもらいましょうか?」
「うーん・・・・・まあ、いいかな。今のところ使えなくても困らないしね」
ライとしては、今は従魔たちがいるのでそこまで困ることもない。というか、なんとなく専門家というとエルフを思い浮かべ、そこからモッサンさんのような人物を連想して嫌な予感がしたからである。
まあ、エルフがすべてモッサンさんのような人物ではないのだが・・・・・・・・あくまでごく一部であろう。
「あ、また盗賊の様です」
前方から砂煙が立ち込め、馬に乗った荒くれっぽい集団が来ていることにハクロが気が付いた。
「なんかイヤに盗賊が多くないか?」
ここまでにいくつか盗賊など返り討ちにしてはいるものの、やけに多いようにライは感じた。
「もしかするとじゃが、誰かが裏で関与しているのかもしれんのぅ」
「裏から関与?」
「そうじゃ、ロズ王女が邪魔とか、逆恨みするよいうな人物が原因かもしれぬな」
とにもかくにも、その話は後にしてまずは目の前から迫ってくる盗賊退治である・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDEスルト&ワゼ
バチバチバチバチバチ
「で~~~~ん~~~~~げ~~~~き~~~~」
バチバチバチィッ!!
「波ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ずどぉぉぉぉぉぉぉぉん!!
・・・・ザストのギルドの練習場で、たまには体を動かそうとスルトが何やら電撃で攻撃の練習をしていた。
今日はギルドでの仕事はワゼがたまには休むほうが良いと言ったので、休むことにして、こうして自身の電撃攻撃を練習しているのである。
「おーっ!!一発で練習用人形が黒焦げに・・・・!!」
「あれはまともに受けたら死ぬなぁ」
周囲の他の冒険者(利用者)達もスルトの電撃に感嘆の声を上げる。
「うーん、もう少し手加減できたらいいんでっしゃろうが・・・」
スルトがしたいのは、電撃をもう少し減らして攻撃できないかということである。
依頼とかでその素材が取れるモンスターを黒焦げにしては意味がない。
だが、その加減がいまいち出来ないのであった。
「電気マッサージとかでは手加減できてますよネ?なぜ攻撃ではできないんですカ?」
仕事の休憩をしていたワゼが、疑問の声を出す。
「それが分からないんやで。攻撃の時は一旦こう・・・電気を圧縮して放つような物で、電気マッサージは拡散してやるんや」
「圧縮と拡散・・・ならば、放電攻撃を主体にしてハ?」
「それだと周囲を巻き込むんやよね・・・」
しかもそれが雨上がりとかで周囲に水たまりがあった場合、悲惨なことになるのが目に見えている。
「あたしの個性からすれば、怪力を生かしたほうが良いかもしれへんやけど、やっぱ電撃で攻撃もしたいんやよね」
「うーむ、ならば電撃を拳に纏えばいいんでハ?」
「あ、その方法はいけるかもしれへん」
ということで、試してみた結果・・・・・
どごぉぉぅ!!
「・・・・怪力が加わって、むしろひどくなりましたネ」
「冷静に分析しないで・・・」
・・・もともと力が強いので、よけい威力が増加しただけであった。
何かいい方法はないものだろうか・・・・・・
スルトの悩みは解決するだろうか・・・・・




