目的地までの道中2
本日2話目
ちょっと今回はライ視点とスルト&ワゼ視点で進める
SIDEライ
だいたいの予測では、このペースでいけば1週間ほどでニア村に着くようである。
ライたちは馬車の護衛をつづけながらロズ王女との会話をしたりしていた。
「ニア村・・・母さんたちや村の皆は変わりないかな?」
「身ごもっていた人もいませんでしたし、凶作とかの話も聞かないので変わらないですよね多分」
久しぶりの帰郷ともなるので、ライとしては内心楽しみである。
まあ、護衛依頼をしっかりしなければいけないけれどね。
馬車の周囲はアルテミスとハクロが真横に着きラリゴさんは御者として馬の手綱を握って、上空ではヤタとミアンが見張っている。
馬車に内にいるのはライ、ロズ王女、ルミナス、ロウ、リーゼ、そして後方には箱の姿になってじっと外を監視しているエリーである。
「それにしても、ラリゴさんって騎士だから馬に乗ってくると思ったのに、まさか御者の方をするとは・・・」
「我が愛馬、『セントバラー』が王城にいる間に身ごもったようでな。それで今回は騎士兼御者の役目を背負っているのだ」
あの馬、メスだったんだね・・・。
「愛馬以外の背には乗りたくないのでな、少々王女にお願いしてこの立場に着いたのだ」
「ラリゴは騎士団の中でも頑張り屋ですからね、このぐらいなら聞いてあげるのですよ」
「ロズ王女っていい人だよね。臣下の者の願いを聞いてあげているしさ」
と、それをライが言ったら、ロズ王女はくすりと笑った。
「ライさんの方こそ、人の事が言えますか?」
「そうよね。ロズ王女の言うとおりですね」
なんかルミナスにまで言われたんだけど。
「従魔である私たちはある意味同じ様なものですよ」
と、リーゼがそういったので気が付いた。
僕もよくよく考えたら彼女達に出来るだけのことはしているんだったね・・・人のことは言えないか。
「くっくっくっく、主殿もロズ王女と同じようなものじゃよ。従魔は魔物使いのしもべのような物じゃが、主殿は誰も雑に扱わずに、対等に接してくれておるからのぅ」
「ウミュ」
「そうですよね。ライ様は私たち全員平等に接してくれますもんね」
カタカタカタとエリーが同意を示すかのように体を震わせ、他の皆も同様に言った。
何だろう、うれしいけど恥ずかしいような。
「・・・我が君、前方に盗賊の待ち伏せのようなものを確認しました」
と、ヤタが急降下してきて報告してきた。
「盗賊ね・・・この際、ガンガンやって壊滅させていいよ。引き渡せば金も手に会いるけど、今は護衛依頼の最中だしね」
ライがそういうと、従魔たちは全員了解した。
・・・・後日、ここいら一体を襲っていた盗賊団が全員なぜか地面に頭から突き刺さっていたり、おかしな格好で凍らされていたり、衣服が無くなって素っ裸の状態で気に吊るされていたりなどの怪現象が起きたのだが、それはまた別のお話。
やりすぎた感はあるよ。だが後悔はしていない!!
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SIDEワゼ&スルト
「あ~そこそこ、そのあたりよ」
「ここであっているかいな?」
「あっているわ~あ~気持ちいい」
「・・・何やっているんですかネ」
お昼の休憩時、ワゼはスルトが他の職員の方を指で押して電流を流しているのをみて疑問に思った。
「あ、ワゼちゃん、スルトちゃんの電気マッサージが気持ちいいのよ」
ギルドの受付嬢の一人がそう答える。
どうやら、スルトが電撃を最小限まで弱めて適切な箇所に流してマッサージをしているようである。
「そんなことができたのですカ」
「あははは・・・あたし自身知らんかったで」
照れくさそうに言うスルト。
事の起こりは、ギルド職員の方をスルトが揉んであげていた時に思いついてやってみたところ、結構効いたからのようであった。
「ボルトオーガの電撃は人を殺せるらしいけど、このぐらいは心地いいわね・・」
「次は私をお願い!!」
「その次はこっちの腰を頼む」
「順番についてくれんやろうか・・・・」
スルトの電撃マッサージは、どうやら職員の疲労に悲鳴を上げる肩や腰に人気のようであった。
あと、もともとの怪力も肩もみで強いのが欲しい人たちにとっては好評のようである。
「・・・これって商売できそうデスネ」
「いや、5,6人ほどでだいぶ疲れるんやよ・・・・」
全力の電撃ではなく、集中して流してやる最弱のものなので、集中力がかなりいるようである。
「あ~いいわ~。スルトちゃんがこのままギルド職員の職に永久についてくれればいいのに」
「いや、ムリでっせ」
今スルトがここで働いているのは、今回のライの護衛依頼に食費的な問題でここにおいてかれただけで、常にここに着くというのは無理があった。
「そもそも、あたしはボルトオーガなんやで。モンスターが職に就くのってどうなんやろうか・・・・」
「いや、ワゼちゃんの例があるわよね」
「アルテミスさんの例もあるわよ」
ワゼは魔道具でライが依頼で出かけている間はここで働き、アルテミスは以前は薬屋として販売活動を行っていたという例があるのだ。
「おかしくはないわよ~。このままギルド専属電気マッサージ屋でもしてくれればいいのよ」
「うーん、そうなんやろうか?」
自身の電撃をこれまでは武器として扱っていたスルトにとっては、どことなく妙な感じに思えるのである。
「まあ、ご主人様に相談するのはいかがでしょうカ?あの人が従魔全員の決定権を握ってますノデ」
「ライさんですか、それはいいわね」
「ええ、全員で懇願しましょうか。スルトちゃんをここで働かせてもらうのよ!!」
「戦闘に使うなんてもったいない、ここでマッサージ屋として開業できるように頼むのよ!!」
「疲れをいやすのにもいいしね!!」
「あの、みなはん・・・ちょっと」
ワゼの提案に、ギルド職員たちは盛り上がりを見せた。
その当の本人のスルトはあれよあれよと流されるのであった・・・。
「あたしの意見は・・・・?」
「スルト、あきらめまショウ。こういう快楽を求める時は、人の方が強いのデス」
「ワゼが原因やろ!!」
なんだろう、この一体感。




