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閑話 プチ話~従魔たちの困りごと~

ふと思って書いてみた

ハクロの場合


「ぐぬぬぬぬ・・・手が・・・・届かないです」

「またなの?」



 ハクロは現在、背中が痒いからかこうとしているようだけど・・・・・。


 その痒い部分というのが上半身の方の人の部分の背中ではなく、下半身の蜘蛛の部分の背中であった。


 洗う時とかはタオルやモップを利用しているのだが、痒い時に限っては手が届かないのである。


「木の枝で試した時は、いまいちでしたし・・・」



 ハクロの蜘蛛の部分の背中はかなり柔らかい。そのため、硬いものでひっかくとそこそこ痛いらしい。


 まあ、そこって普通の蜘蛛で言えば腹の上ともいうのかな?



 仕方がないので、こういう時はライが書いてあげるのだ。


「あふぅ・・・そのあたりですライ様・・」

「こっち?」

「そうですぉ・・・・もちょっと右、いや左ですかね?・・・んっ・・・ふぁぁぁっ・・・」


 そのちょっとドキッとするような声はやめてほしい。


 後日、孫の手とかいうものを買ってきて試してみたが、結果としてはいまいちだったらしい。


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ヤタの場合


「・・・・重い」

「風呂上りにいつも言っているよね」


 風呂上り、ヤタは大抵決まってそういうことがある。


 彼女の両腕は翼であり、水ならはじくのだがどうもお湯だと吸って重くなるようなのだ。


 乾くまで、それなりに腕が不自由らしいけど・・・


「それだったら風呂に入っているときにお湯がかからないようにすればいいんじゃないの?」

「・・・・髪を洗う際に必要なんです」


 手袋などの案もあったが、そもそも指と言えるようなものがない。


 というかそれならどうやって洗ったり、ものをつかんだりしているのだろうかという不思議はあるけど・・・・。



 まあ、そのため重い腕(翼)をだらりとたらして床にうつぶせで倒れていたりする。


「・・・今度は胸が苦しい」


 ・・・・胸が大きいので、うつぶせになるとつぶれて圧迫するらしい。


「それだったら普通に寝ればいいのに」

「・・・髪の毛がぼさぼさになる」


 結構気にする子であった。


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ロウの場合


「ア、イ、ウミュ、エ、オ」

「また『ウ』を『ウミュ』って言っているよ」

「ウミュ~、ナオラナイノー」


 どうも発音とかの練習をする際に、『ウ』を『ウミュ』と言ってしまう癖がついているようである。


 最初に出会った時に比べて大分話せるようになったけど、そこはどうしても変わらないそうな。


「デモ、ハナセルヨウニナッテキタカラナデテー」

「はいはい」


 こういうところはまだ子供というかなんというか。スライムなのになんかほのぼのするなぁ。


 軽くなでると、嬉しそうな顔をロウはするのであった。


 というか、うちの従魔全員撫でられるのが好きみたいなんだけど・・・・高さ的につらい。屈みこんでくれないと結構身長が高いからね・・・。


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リーゼの場合


「特にないですよ・・・・むにゅぅ」

「その状況って怖いんだけど」


 どっちかというと、こちら側の困りごとである。


 水龍(ウォータードラゴン)である彼女は皆の移動の手助けをしてくれるのだが、普段は皆にくっついたり、家で昼寝をするのが好きなのである。


 ただ、その昼寝にこだわりのようなものがあるらしく、場所が結構様々なところに点在している。


 ハクロの蜘蛛の部分の背中、ミアンのドラゴン部分の背中、机の上、ベッドの上、屋根の上等・・・・。


 そして、極め付けが・・・



カタカタカタカタ・・・・


「エリーの中って大丈夫なのか?」


 ちょっと困っているかのように体を揺らすエリー。


 人の姿から、従来のミミック・・・箱の姿になっていて油断していた隙に入り込まれたらしい。


 毛布や布団を持ち込み、ちょっとした巣みたいになってる。


 まあ、意識していれば食べることはないらしいけど、見ている方も、その中に入られている方も怖いんだよね・・・・。


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アルテミスの場合



ボンッ!!


「きゃっ!!」


 ・・・・今の悲鳴は聞かなかったことにしよう。結構可愛い悲鳴だったけど。



「ぬぅ・・・クロマダラゴケと眼球草は相性が悪かったようじゃな・・・・」

「髪が少し乱れているよ」

「あっ・・・またやってしまったのじゃ」


 落ち込むアルテミス。


 薬の作成時に、失敗して爆発が起きた後の髪の手入れが大変だそうな。


「髪が痛まぬような薬も塗っておるのじゃが・・・焦げたときが辛いのじゃ」

「髪をまとめるとかは?」

「いや、我の肌は少々ぬめっておるからのぅ、髪も同様でまとめようにも、滑って抜け落ちたりするのじゃ」


 触っていてもそうは感じないけど、実は魔法で感触をごまかしているのだとか。


 そのため、服などもぬめって脱げることがあるのも困るんだとか。


「魚の調理法にさ、塩でぬめりをとるってのがあるけど・・・」

「このぬめりも体調管理には重要でのぅ、そう落とせぬのじゃよ・・・・」


 何気に一番苦労しているようだった。


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ミアンの場合


「我輩の困りごと?脱皮じゃな」

「脱皮したんだ」


 ラミア・ドラゴンであるミアンは脱皮をするらしい。


 その下半身のドラゴンの部分だけではなく、全身の脱皮だという。


「頭の先から尻尾の先までなのでありますが。きれいに剥ける・・・もとい脱げるかで困るのでありますよ」


 途中で裂けたりすると、はがすのがけっこう大変らしい。


「爪をひっかけてもなかなか取れなかったりするし、脱皮した後の皮の扱いが・・・・」

「なるほど」


 脱皮は全身(、、)脱げるもの。つまりは全裸でやった状態の皮が残るわけで、皮でも全裸の姿そのままだから恥ずかしいという羞恥心があるようだ。


「食べられるのでありますけどな」

「食べられるの!?」


 まさかの食用可能なものだった。


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エリーの場合



『こうして筆記というのが少し辛いぜよ』

「手元にかける物がない時会話が成立しにくいもんね」


 ミミックであり、人の姿をとれる彼女であるが、なぜか声を出すことができない。


 なので、文字を教えてこうして意思疎通可能にまでなったのだが、書けるものがない時が辛いそうだ。


『箱の・・・もとの姿の時でもコミュニケーション手段は体を揺らしたり、ふたを開け示したりするだけなので、もう少し話し方が欲しいのぜよ』

「手話とかは?」

『わからない人もいるので・・・』


 あと、おしゃれもしたいのだが服をへたに変えられないのも困っているのだとか。


 今の服装は、元のミミックの姿の時を服装にした感じだが、一応着脱は可能らしい。


 だが、別の服を着た後、元のミミックの姿に戻ってまた人型になるとそのミミックの姿の時の服装・・・つまり元々の服装になってしまうのだとか。


『それが少し悲しいのだぜよ・・』

「まあ・・・それは別の服を着ているときは、元のミミックの姿にならないようにすればいいんじゃないかな?」

『忘れてついうっかりということが多くて・・・・・』


 それはどうしようもないかもしれない。


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スルトの場合


「シャワーとか、風呂かな?頭の角にどうも電気が貯まるようでして、水がかかって痺れるんですわい」

「話し方が安定していないというのも問題だろうけど、それはそれで問題だね」


 ボルトオーガゆえの宿命か、頭の金色の二本の角に電気が貯まるらしい。


 電撃とかの攻撃が得意な彼女だが、それが困りごとのようである。


・・・・海行ったら入るだけであたり感電させそう。


「雨とかでもピリピリして、全身ずぶぬれやともうむず痒うてたまらんのや」

「かなり苦労しているよね」


 というか、絶縁体のようなものを付ければいいのでは?


「電気を通さへんもので角を覆ってみたりしたのやが、意味のぅてな」

「難儀だよね・・・」


 まあ、その角を肩に当てると程よい刺激となるので他の皆にとっては結構良いものらしいけど。






・・・・・とにもかくにも、彼女たち全員の困りごとの解決はまだまだ先のようである。



他にも結構ありそうだよね

・肩がこる

・寒いのが苦手

・高いところに手が届かないなどetc・・・・・

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