残念系美女
本日2話目
「はぐもぐもぐむしゃうまっつ」
「すごい勢いで食べるな・・」
「もう食糧無くなりますよ」
腹の音が鳴って倒れたボルトオーガの女の人を、とりあえずライたちは食料を分けてあげたところ物凄い勢いで食べた。
「もぎゅむしゃ・・・・ごちそーさまでした」
「あ、普通に会話可能な奴か」
ボルトオーガは知能がオーガより高いらしいけど、どうも会話可能レベルなようである。
とにかく、話ができそうな相手であるのにはほっとした。
「いやほんま助かりました・・・・昨日から獲物を捕ろうとしても、中々力加減が難しくて爆発四散してもうたり、焦がしたりしてもうて・・・食えなかったんです」
話し始めたので聞くと、ボルトオーガ・・・彼女はつい最近進化種になったオーガらしい。
群れで暮らしていたのだが、最近ここで討伐された群れの生き残りだとか。
「で、そんなある日に雷に打たれた衝撃でなんかこんな力を身に着けてしもぅたんですよ」
なんだろう、話し方がまともなところから変なところを行き来しているような。
「さっきの落雷とかもか?」
冒険者たちの死体があった方角を指さすと、こくりと彼女はうなずいた。
「ええ、なぜか着ているものを脱いであたしを押さえつけようとしたのでなんか本能的に嫌なものを感じて、ああやって消し飛ばしたんやで」
・・・・つまり、あの冒険者の死体とかって同情の余地はないようなやつらだったという事か。
なんとなく、僕らはそのように理解できた。
「なんでかな?ここの平原はなぜか踊りたくなるんですよ。それで踊りやすいようなこの格好になっていただけなのに、なぜか押さえつけてくるような輩が多くて・・・・」
「これって自覚がないんでしょうかね」
「そのような格好をしておったら、性的に狙われる可能性はあるじゃろうじな」
なんというか、直視できないような艶めかしい格好である。
というかこれはあれだ。天然ボケみたいなやつだ。
「見た目はいいのに、中身というか頭が残念系でありますな・・・・」
「・・・・でもよく考えたらここにいる全員そのこと言える立場?」
「「「「うっ」」」」
ヤタがつぶやくと、ハクロたちはピクッと同時に変な声を出した。
・・・・まあ、言えるっちゃ言えるよね。
「まあ、そのあたりはいいとしてや、なーんか昨日あたりから惹かれたような感覚がしてな、今こうして向かい合って感じ取れるんやけど・・・・おまえさんに惹かれているような気がするんだよね」
「・・・・これってもしかして」
もはや毎度おなじみなような気がする。
「飯もおいしかったし・・・おまえさんについていきたくなったんだけど、いいですか?」
「もしかして従魔にってことか?」
「まあ、そういう事やろうな。このメンバーを見る限り、楽しそうだし加えてほしいというかなんというか」
・・・・まあ、いいか。
「従魔になりたいというならいいけど・・・みんなもいいかな?」
尋ねてみると、みんなもはや「またか」って顔された。見た目がきれいなモンスターばかり来るとかそう言うのはいいんだけど、なんでこう多いのかな?・・・・だれか調べてくれないかな。
「それじゃあ、従魔にするけど‥‥ボルトオーガって種族であっているのかな?」
そもそも、中身が残念系だけど見た目は美女だし・・・・こういう姿とは思わなかった。
「あっていると思うが?」
「自分の事なのに疑問形になるんですね」
まあ、その辺はいいか。
「なら名前は・・・『スルト』かな?」
「『スルト』・・・・うん、いいかな?」
そうスルトがうなずくと、魔法陣が出て従魔契約が完了した。
しかし・・・この見た目をまずはなんとかしないといけなくないか?
ギルドではすでにワゼが予想済み




