・・・ある意味新しい
書いていて思うけど、個性を出すのが本当に大変ですよ。
キャラが増えるほど本当に個性が難しい。
どがぁぁぁんがらがっしゃあぁぁぁん!!
「うわ・・・ものすごい雷の音が」
「雷の魔法のような、ちょっと違うような感じゃが・・・」
「ふむ、モンスターが使用する方法と同じ気配でありますな」
魔法に詳しいアルテミスとミアンの二人がそのように言った。
現在、アルテミスとルミナスに起こされて戦闘態勢でその雷っぽい音が聞こえる場所に僕らは向かっていた。
煙が上がっており、何やら戦闘しているような感じである。
「モンスターと同じやり方って?」
「簡単に言うなれば、普通の魔法使いが無理やり魔法を創り出すところを、モンスターは自然に放出するという感じであります」
うん、わかりにくいようなわかりやすいような。
ともかく、二人の感覚的にはこの雷の音というか魔法はモンスターが行っているものだとか。
「雷というか電撃の魔法・・・そういうのを使うモンスターってなんだっけ?」
「『雷獣』、『ベヒーモス』、『サンダーンゴリラ』などがあったはずです」
意外にいるんだね。そういう魔法を使うモンスターってまだまだいるようだ。
「ともかく、その正体を見たほうが良いじゃろう。ギルドに報告せねばいかぬ可能性があるからな」
ともかく、その正体を僕らは見に行くのであった・・・・・。
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「ぎゃぁぁぁぁぁっつ!!」
「ぎゃべぃ!!」
・・そこでは悲鳴が上がっていた。
あちらこちらに雷が落とされ、地面は焦げ、直撃した者も焦げてゆく。
それはその場でそのモンスターに襲っていた冒険者たちも例外ではなく、平等に雷が落とされ、接近したところで凄まじい力で蹴られ殴られふっ飛ばされた。
「くそぅ!!手を出さなければよかったぎゃぁぁぁっつ!!」
冒険者の男の一人が後悔の声を出したが、その瞬間に雷に打たれて焦がされる。
彼らは冒険者グループ「剛力怪力万力団」。
彼らは辺境都市ザストを経由してこの地に来ており、そのザストにてライたちの事も聞いていた。
曰く、物凄い美女のようなモンスターを引き連れた魔物使いの冒険者がいると。
その時偶然見ることができたが、その美しさに男としての敗北感を彼らは味わったような気がした・・・・。
その後、ここルンバ平原での依頼を受け、明日辺りに帰ろうとした時であった。
たまたま明け方の見張りをしていた一人が気が付いた。
「なんだあれは・・・・・」
何かが平原を一人で歩いている。
いや、見た目は麗しい美女の様だが、着ている服が娼婦と言ってもおかしくないほど露出が高い。
そもそもこのモンスターが出やすいルンバ平原に美女が出歩いているのはおかしい。
その見た目に男たちはつい欲が出た。
この冒険者グループは力自慢のむさくるしい筋肉男たちの集まりでまったく女っ気もない。
しかも、ザストで一度美女を見ているのでその三大欲求の一つが出た。
だが、彼らは冒険者であったので気が付けたはずだ。
その美女が普通の美女ではなく・・・・・・
「まさか、モンスターだったとは・・・」
手を出そうとし、抑え込もうとした瞬間、仲間の一人が蹴り飛ばされた。
その時、やっと彼らの欲がちょっと落ち着いて、間近で見て気が付いたのである。
その美女の肌は赤みを帯びた色で、頭によく見たら金色に輝く鋭い角が生えていた。
手に持つ武器も、鉄扇のようなもので・・・・
男はその美女が何のモンスターなのか理解した。
そして、その逆鱗に触れてしまったようなことに気が付いたときには時はすでに遅く、彼らは蹂躙されたのであった・・・・・・・。
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「うわぁ・・・」
「物凄い一方的な蹂躙と化していたようですね」
その場にライたちが付いたときあたりはすでに焦げまくっていた。
冒険者と思わしき人たちがその場で焦げ、息絶えている。
何人かはズボンを脱いでいるようだが・・・・いやな死に様だ。
そして、何がこの状況を創り出したのかライたちは目の前に立つモンスターを見て理解した。
「・・・・・・」
冷たいまなざしをしてこちらを見ているその姿。眼の色が金色で、髪の色は黄色。体を覆っているのはなにやら薄い布の様で、下着のようなものが見え、豊かな双丘があって娼婦ともいえそうな服装。
だが、その頭にはしっかりと2本の金色に輝く角があり、肌も人の肌色に近いが、日焼けによってなるような赤さではない赤みを帯びており、人ではないことをしっかり示していた。
手に持っているのは鉄扇とかいう武器であろうか。
「あれは・・・」
「ちょっと珍しいのぅ。『オーガ』の進化種『ボルトオーガ』じゃな」
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『オーガ』
人型のモンスター。どす黒い肌、もしくは赤みを帯びた肌色をしており、頭に黒色もしくは赤色の1~9本の角が生えている。大昔にまさかの100本の角持ちが出た記録もある。ただ、その角の多さは別に強さに関係していないらしい。
金棒を持ち、気性が荒く、怪力で群れを成して行動するのだが、大抵は脳筋の集まりであるため単純な攻撃が多い。
だが、たまに希少種や進化種がリーダとして群れを率いている場合があり、その場合複雑な連携を取って大変危険である。
人の姿によく似てはいるが、エルフやドワーフといった亜人扱いではなく魔石が体内にあることがきちんと確認されておりモンスターであるという証明がされている。
『ボルトオーガ』
『オーガ』の進化種。力自慢、筋肉の塊などと言われていたオーガが進化し、知能も上がった。
赤や黒だった角の色が金色に変色し、髪の色も黄色に変化。
そして、なぜか電撃などのそういう物も使いこなすようになって危険度が増している。持っていた武器も同様になぜか進化して形が様々な物に変わっている。
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「・・・って、授業で習ったオーガとなんか見た目が違うんですけど」
オーガはゴブリンやオークと同じく群れをつくっていたりするモンスターで、遭遇率もそこそこある。
そのため、冒険者用学校でモンスターの例として出てきたりしてはいたが・・・・・。
「たしか、筋肉だるまな外見が一般的ですよね」
「オスのオーガも、メスのオーガも見た目はほとんど変わらぬはずじゃが・・・」
だが、今目の前にいるのは・・・・見た目がなんか色っぽいというか、美女のような。
「ハクロの親戚とか?アラクネも普通はおぞましい顔をしているっていうけどハクロの見た目は綺麗だし・・」
「そんな親戚いませんよ!!そもそも私は天涯孤独でしたし!!」
ハクロが珍しく声を荒げた。というか、天涯孤独とかいうけどモンスターって繁殖で増えるのとその場に現れるのとかってあるんだよな・・・・・。ハクロの場合、その場に出たみたいな感じだから元からそうだろうけど。
なお、現在繁殖で生まれたことが判明しているのはヤタ、リーゼ、アルテミスである。
ヤタは前に話を聞いたことがあるけど、リーゼの場合かなり大昔に卵から生まれて巣立ちをした水龍らしいし、アルテミスの場合は母親のスキュラがいたらしい。
まあ、その母親物凄い放浪癖があったらしく、アルテミスの物心がついたときにはすでにいなくなっており、一人暮らしをしていたらしいけど。
話を戻して・・・
現在、僕らはそのボルトオーガと対峙していた。
「・・・・・・・・」
じっとこっちを見ているまなざし・・・・冷たいようだけど、なんか悲しいような感覚があるな?
「オーガはその進化種や希少種が群れを率いることがあるそうですが・・・・」
「群れが見当たらぬところを見ると、1体で行動しておる奴じゃな」
念のため、全員臨戦態勢である。
とはいえ、この周囲の惨状とボルトオーガの特徴から使うのはおそらく電撃。
雷を落とす攻撃のようなものをするみたいだけど・・・今のところ無効化が可能なのはミアンだけ。
いざとなったら全員に電撃を無効化するように指示を出す。
辺りには緊張が漂い・・・・・
ぐぎゅるるるるるぅぅぅぅうぅぅ~~~~~~~
「・・・・・・」
バタン・・
「「「「「へ?」」」」」
でっかいお腹の音が響いたかと思うと、ボルトオーガはそのまま倒れた・・・・
「えっと・・・これって」
「お腹が空いたんですかね・・・・」
・・・ある意味新しいパターンだなおい。
腹が減っては戦ができぬってか・・・・・




