表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/225

驚いたところで

前回の続き

 ・・・・どうも、この女性はエリー本人の様だ。


 いや、モンスターって事だから本体?



「えっと、本当にエリーなのか?」


 コクコクと吊るされながらもうなずく女性・・・エリー。


 着ている服の装飾や、その髪形や肌の白さは確かにあのミミックの特徴があるけど・・・・。



「ミミックって、人になったっけ?」

「聞いたことがないですよね」

「初耳なのじゃが・・・」


 全員首をひねる。


「人の姿になるモンスターは、『人化の術』や特殊な条件進化があると、昔友人に聞いたことがあるんですが・・」


 リーゼがそういった。


 この中では一番経験が豊富そうだし・・・その友人って何なのかは気になるけど。


「だけど、ミミックが人の姿になったというのは長生きしてますが初めてですよ」

「うーむ、どういう事でありますかな?」

「ロウの場合と似ているけど、これまた謎だな」


 ロウもスライムだけど、少女の姿をとるから似たようなものかもしれないけど、知れは体が柔らかいスライムだからまだ納得はできるとして、頑丈な箱がこうなるのは納得がいかないような気がする。


「エリー・・・でいいんだよね?元のミミックの姿に戻れるかい?」


 こくりとうなずいたので、縄をほどいた。


 ほどいた後、エリーは体育座りをしたかと思うと・・・


ぽんっつ


 コミカルな音がして、元のミミックの姿になっていた。


 かたかたとふたを揺らして本当だったと言っているみたいに見える。


「・・・・まじでエリーだった」

「なんというか・・・リーゼの人化とはまた違った感じですよね」


 リーゼの場合、身体が光って大きくなったり小さくなったりしているけど、エリーの場合はどうやら体育座りして人化できるようで・・・・。


「ミミックが人化するのは驚いたけど、あの店主のお爺さんはこのこと言っていなかったよね?」

「となると、ライ様が従魔にした時に可能になったとか?」


 しかし、驚き過ぎてもはやなんといえばいいのやら。


「しかしのぅ、この場合ミミックと言っていいのやらわからぬ」

「人化できるミミックと言ってもいいかもしれないけど、こんなケースってあったかな?」

「ないですね」

「見たことも聞いたこともないでありますな」


 これ、ロウの時と同じようにややこしいことになりそうだな。




「・・・でも、よくよく考えれば案外おかしくないかもしれないであります」


 ミアンがふと何か思いついたようにつぶやいた。


「ミアン、それってどういうこと?」

「ミミックは通称『人喰い箱』。宝箱に擬態して、寄ってきた者たちを喰らうモンスターであります。こうして人の姿・・・それも、女性の姿になって、あほぅな者たちをおびき寄せることもできるなと思ったのであります」


 ミミックはダンジョン内にしかいないモンスター。ダンジョンの中で、じっと待っておびき寄せて獲物を喰らうミミックが進化したら・・・このような形になってもおかしくないという事か。


「でも、さすがに人の姿になる話ってのに結び付けにくいな・・・」

「詳しいことはとりあえずザストに帰ってから考えたほうが良いかもしれないわね。ギルドマスターに相談してみましょうよ」



 とにもかくにも、僕らはザストに戻って考えることにするのであった・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うーん」

「どうしたんですカ?」

「いや、何か厄介ごとを引き受けさせられたような気になって・・・・」


 辺境都市ザストのギルドマスター、アーガレストはなんとなくめんどくさい予感にかられていた。


「そうですか、では、こちらの書類に目を通して置いてくだサイ」


どすんっ


「・・・ものすごく多くないか?」


 ワゼが持ってきた書類の山を見て、アーガレストは顔を引きつらせる。


「ザストの領主様の看病しにいってさぼりましたよネ?その残り分と今日の分だけですヨ」


 ついでに、ワゼは何となくライが高い確率で何かめんどくさそうなことを持ち込んでくることを見越して、その関係書類も混ぜてはいたのだが・・・・・・。


 

ワゼの有能さはとんでもないかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ