野宿ですよ
こういうシーンとかっていいよね
リーゼが人化を解き、本来の水龍の姿になったところで僕らは乗せてもらい、辺境都市ザストを目指すことにした。
とはいっても、いったん野宿する必要があるので安全な場所までであるが。
「このあたりでいいだろう」
平原ではなく、今日は森の中での野宿だ。
周囲にハクロが糸で巣を張って、侵入者が入ってこないようにする。
一応、朝になったら糸は回収しますよ。でっかい蜘蛛の巣として騒ぎになるのを避けるためだもん。
「今日の夜食はこれかしらね」
首都であらかじめ買った食料を調理していき、それを食す。
焚火をたいて、その周りで皆で食べるのはおいしいけど・・・
ヒュン ぱくっつ ヒュン ぱくっつ
「・・・エリーすごく早く食べているけど、味わって食べたほうが良い」
目の前にある夜食を目にもとまらぬスピードで自身の中に入れるエリー。
ミミックは本来、大口を開けて食べるそうだがエリーはどうも素早く食べる派らしい。
「ミミックってこんな感じだったかな?」
「そもそも、従魔になる例がなかったですよね」
ミミックは迷宮限定モンスターで、しかも「人喰い箱」と言われているぐらい人を食べるのでそもそも従魔にしようと近づくことがない。
なので、こうして自ら従魔になってくるのはどことなく不思議な気がした。
「というか、よくよく考えたら皆も同じようなものだよね」
ハクロ、ヤタ、ロウ、リーゼ、アルテミス、ミアン・・・・・従魔になるまでにいろいろあったものの、自分から従魔になることを希望した。いや?ハクロの場合は違うかな?あれはよくわからないし・・・。
「モンスターが自ら魔物使いに惹かれてというのが多いですが・・・」
「・・・我が君の場合、数がね。私たちが言うのもなんだけど」
「ウミュ・・・ナントナクヒカレター」
そういう事かな。
「仕えるべき主を求めるのは、モンスターの本能の様なものでありますな」
ミアンがそうしみじみとつぶやくと、全員うなずいた。
「まあ、私は従魔ではないけどね。でも、精霊たちも物凄く惹かれているところを見ると、ライにはそういった魅力があるのかしらね・・・・またうじゃうじゃと」
「うじゃうじゃいるのかよ・・・」
精霊の姿は見えないけど、うじゃうじゃってどことなく怖いんですけどルミナスや。
「まあ、さすがにミミックは予想外ですけどね」
「我輩が言うのもなんだが、ライ殿はあれか?珍しいモンスター引き寄せ機でありますか?」
何だろう、言い返せないような気がする。
わらうかのように、エリーが体をカタカタと振るわせる。
「おい、笑うなよ」
「でもライ様、これ従魔登録する際になんか言われそうですよね」
ミミックは「人喰い箱」として冒険者たちに恐れられている。
辺境都市ザストのギルドは、様々な冒険者たちが行き交う。そこに、その本人・・・・もといモンスターが現れたらどうなるか。
「どう考えてもパニックを起こす人が出そうだな・・・」
「いや、どっちかというと残念がられるような気がするのじゃがのぅ」
アルテミスは人の生活に溶け込んで暮らしていたため、違う予測ができていた。
ライが従魔にしているのは美女ともいうべき美貌を持ったモンスターばかりである。
そこに、今回は人型ではないのが来るわけだから・・・
(絶対何人かの冒険者はがっくりするじゃろうな)
なんとなく、その考えが当たりそうだとアルテミスは思うのであった。
「・・・というか、そもそも見た目がかなり豪華な宝箱だから盗もうとする人が出るかも」
「いや、それ盗もうとした人が返り討ちに合う未来しか見えない」
エリーは確かに、装飾が宝石などでされているので盗もうとする人が出るだろう。
だが、ミミックなので盗みにきた相手を丸のみにする未来しか見えないんだが・・・・・。
何はともあれ、今日はそこで一泊を過ごすのであった・・・・・
さて、朝になったら・・・・どうなるかな?




