街中なのに
バッバンノ先生はまだまだ後に再登場予定
ヤマちゃんは今回出番なかったけど、次出すときはね・・・・
「それじゃあ、そろそろザストにもどるか?」
観光気分であちこちを見て回った僕らは、そろそろ帰ろうかと思った。
行きは馬車に合わせてだったので数日ほどかかってはいたのだが、帰りはリーゼに乗っていけば1日ほどで済む計算である。
途中野宿する必要性があるのだが、その辺は現メンバーなら問題ないであろう。
「そういえば、ワゼへのお土産って買ったかしら?」
「あ」
ルミナスのその一言に忘れていた全員が思い出す。
「生活用の小型の魔道具があればいいかな?」
さすがに食料品は鮮度とかがあるしね。
「あそこの古道具屋を覗いてみるかのぅ?」
アルテミスが指さしたのは、偶々近くにあった古道具屋だった。
こういうところには意外にお宝があったりするらしいけど・・・あるかな?
「こんにちはー」
「おお・・いらっしゃい。なかなか若い方たちじゃな」
店主はどうやら、眼鏡をかけニット帽をかぶったお爺さんである。
こういう古い店のイメージ似合いそうな人だな・・・・。
「結構いろいろあるな」
「これとかおもしろいわね」
「ウミュ?オルゴールハッケーン」
「・・・鈴とかもいい」
「これもいいんじゃないでしょうか兄様?」
店内にある品々は古道具屋だから古そうなものばかりだが、結構質や保存状態がよさそうなものばかりである。
なお、店の中が思ったより狭かったので、体格的にハクロたちは店の外で待機。
「この蜘蛛の下半身を切り落とせれば・・・・」
「流石にそれはあかんじゃろ。我慢するのじゃ」
「我輩は通路に体を伸ばせば問題はないんでありますが・・・・ライ殿たちが歩きにくくなるでありますからな」
店の外でぶつぶつ言っているけど聞こえるからね。
いろいろ見て見るけど、結構面白い。
「お、この時計もいいな」
「包丁置きもいいわね。確か台所にこういうのが欲しいって言っていたはずよ」
「・・・ランプの魔道具もある。古いけど、魔石を交換すれば使えるやつ」
「ウーミュ―・・・セガトドカナイ・・」
「なにこれ?スプレー?」
こういった古道具屋って面白いものが多いけど、目的を忘れないようにしないと。
ゴトッ
「ん?」
今何か物音がしたような・・・・・?
気になったのでその物音がした方に行くと、何やら厳重に閉じられた扉があった。
「おや、そこに入ってはいかんよ」
と、店主であろう爺さんが慌ててその扉の前に立った。
「何か物音がしたんですけど・・・そこに何かあるんですか?」
「この中にはな、モンスターがあるのじゃよ」
「・・・・は?」
爺さんがいきなりそう言ったので、僕らは一瞬思考停止した。
そのあとすぐに、爺さんは説明した。
なんでも、昔、他国にある迷宮とかいうところに潜った友人が持ちこんできたものらしい。
「何やら厳重に閉じられた宝箱でな、その装飾がものすごく豪華だったんで中身はたいそう素晴らしいものじゃと思ったのじゃよ」
「迷宮ッテナーニ?」
ロウはどうやら知らないようである。
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「迷宮」
ある意味異界ともいうべき不思議な空間を構築している場所や建物を指す。
明らかに外で見るよりも内部が広く、砂漠や森林、沼地や湖などある。
迷宮でしか取れないような鉱石や、更には現在ではありえないような魔道具や物凄い量の宝石が入った宝箱などがある。
しかし、内部では常にモンスターが湧きだし、通常のものよりも強いものが多く、毎年挑んでは命を落とすものが多い。
だが、迷宮外部にモンスターがあふれることはないので内部では生態系の様なものもできていると推測される。
また、迷宮そのものがモンスターではないかという説もあり、その真偽は謎に包まれている。
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この国にはないけど、他国にはあるんだっけ?
「なかなか開かなくてな、剣で斬って見たり、ハンマーでたたいたりして見たがびくともしなかったそうじゃ。そこで、鍵を開ければいいのならと思って儂のところに来たのじゃが・・・・・」
そこで、この店主は試してみたのだが全く開かなかった。
しまいにはいら立ち、友人たちがバッコンドッコン宝箱を蹴りまくった。
その途端、悲劇が起きた。
「その宝箱がな、急に開いたかと思ったら友人の友人を飲みこんでしまったのじゃ」
ぼりぼり骨が砕かれる音が聞こえ、次の瞬間、衣服と武器だけが吐き出された。
「『ミミック』って言うモンスターじゃったということが分かってな、慌てて他の冒険者たちを呼んできて討伐を依頼したんじゃが、その圧倒的防御力には誰も勝てなかったのじゃよ」
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「ミミック」
迷宮限定出現モンスター。通称「人喰い箱」。
さまざまな宝箱に擬態し、その中身を狙う者たちを喰らうモンスター。
木箱、鉄箱、宝石箱とレパートリーが広く、様々な物が確認されている。一番奇怪なものだとからくり箱になっていたやつもいる。
ただし、出現確率は極めて低く出会った人は物凄く運が悪かったということになる。
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「でも、ミミックてそんなに防御力があったかな?」
「おそらく、上位種~超希少種あたりじゃろうな。あの友人の友人はついていなかったという事じゃ・・・」
だけど、それならどこかに捨てるとかの手段もあるような。
「それができなかったんじゃ。儂になぜかついてきてな、いくら馬車で遠くに捨てに行っても必ずいつの間にかそばにいた。じゃが、なぜかその友人以来だれも喰らう気配がなくてな、別に儂の友人の友人が喰われただけで、友人が喰われたのではないから恨みもないのでこの扉の奥に置いてあったのじゃのぅ。ちなみに、その友人の方はなんとしてでも壊してやると意気込んでおったが去年他界したのじゃ」
ゴトッ
また音がした。
「・・・・なんとなくだけど我が君、これもしかすると」
何やらヤタが察したような顔になった。
「・・・お爺さん、ミミックでもモンスターなことはモンスターですよね?」
「ああ、そのようじゃが」
「・・・我が君は私達モンスターを従魔に出来る魔物使い。ということはもしかすると・・」
ゴトッ ゴトトトッ
「えっと・・・・ヤタ?つまり何が言いたいのかな?」
「・・・多分、私たちと同じように」
バァァァァン!!
ヤタが言おうとしたその瞬間、扉が勢いよく開いた。
「なっ・・・・・!?」
お爺さんがものすごく驚いた顔をした先には、何か宝箱があった。
全体的に白色だが、金色の縁取りがきれいで、あちこちに様々な宝石がちりばめられている。
綺麗な宝石箱ともいえる感じで、豪華さを感じられるような造りだ。
「まさか、ミミックが自ら動いたじゃと!?」
お爺さん、目を見開いて心臓が止まりそうなほど驚愕している。
「えっと、このパターンは」
なんとなく、予想ができるんだけど。
「・・・これ、ハクロや私、ロウと同じ」
「ウミュ?」
「兄様の従魔になりたいという事ですかね?」
リーゼがつぶやいた言葉に同意を示すかのように、ミミックはその箱全体でうなずくかのような仕草を取った。
「え?本当にそのパターンかよ」
ここ、モンスターとか関係なさそうな街中だったのに、なんでこうなるの?
まさかの従魔契約再び。でも、ミミックって・・・・パターンとこの小説のタグを見ればどうなるかは予想できますよね?




