城での会合
本日2話目
今回は主人公出番なし
「お久しぶりです、お父様」
「うむ、元気そうで何よりだな・・」
ルーナス城にて、国王ライド=ルーナスは久しぶりに娘の第1王女ロズ=ルーナスに自室で面会をしていた。
高齢のために、だんだん部屋から出てくることが無くなり、今の政治はもうほとんどを第1王子のプラント=ルーナスに任せているのである。
第2王子もいることはいるのだが、王位とかそういったものに興味がないようで現在他国に留学しておりこの城にはいないのであった。
なお、プラントは現在休戦からなんとかまた戦争を起こしても勝利できるように準備に追われているのでロズとは面会しなかった。
「今は休戦中のようですので、こうしてお父様の様子を見に来たんです」
「そうかそうか、ロズはいい子だなぁ・・・」
娘のその健気さに、ライド国王はほんのり心が温かくなった。
「とはいえ、今回の戦争で我が国を裏切った貴族は多い。プラントが切り捨てまくったが、その逆恨みが来るかもしれぬから気をつけねばなるまい」
「ええ」
顔を引き締めて注意するライド国王に、ロズはうなずく。
弱者は強者にそう簡単には襲えない。ならば、その強者よりも弱いものを狙うのは道理である。
「しかし・・・・よくここまで無事に来れたな」
「冒険者の護衛を・・・・以前、助けてくださった方に頼んだのです」
ライの事を、ロズはライド国王に話した。
「なるほど・・・以前、辺境都市での防衛戦で活躍した魔物使いがいるとは聞いていたが、そのようなものがいたのか・・・」
だが、この事実は国王には詳しくは知られていなかった。
実は、魔物使いというのは基本的に従魔の数が少なく、冒険者グループとして他の冒険者と組んで活動するのがもっぱらである。
で、防衛戦で活躍したとはいえ、他の冒険者たちと組んで活躍できたのだろうという見方が強かった。
また、神獣種の件については・・・・
「ラミア・ドラゴンだと・・・・!?」
このことにライド国王は驚愕した。
神獣種は強力なモンスターだが、基本山奥とか秘境とかそう言う場所にしかいない。
そのモンスターが従魔として働いているのが驚きであった。
(しかし、その情報はいまいち入ってきてはいない・・・これは・・・)
ここで思い当たるのが、ギルドである。
情報操作によってその情報がいまいち城に入ってきていない可能性があるのだ。
ギルドがそのように行動する理由としては、ライド国王も思い当たった。
・・・・神獣種は強力なモンスター。ならば、戦争でも大活躍ができるはずだとプラントが目を付ける可能性がある。
そうなると、また戦を始めるのであろうが、ここをギルドが嫌ったのであろう。
なぜなら、参戦を呼びかける必要が出て、冒険者たちを戦場に送り出すことになる。
此度の戦争により、冒険者にも死者が出て数が減った。
そうなると、ギルドに出る依頼を受ける人が少なくなり、わりかし重要な依頼が遅れる場合があるのだ。
其のため、そのような再び開戦に持ち込めるような情報をギルドが出ないように操作しているのであろう。
「ぬぅ・・・・ロズよ」
「何でしょうか?」
「その冒険者の事は、プラントの耳には入れるな」
ライド国王はロズにライの事を言わないようにしろと言った。
国王自身、まだ再戦には早いと考えているのだが、経験が浅いプラントだと再戦を開始するだろうと思えたのである。
「わかりました、そのようにしますね」
ロズもその国王の気持ちに気が付いたので、そのようにすることにした。
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「ふむ?なんだこの報告は?」
再び再戦できるため準備をする合間に、公務もしていたプラントにとある報告が届けられた。
「はっ、何やら街中が騒がしいようだったので一応と思い・・・」
「この馬車は妹のロズの事でないか?」
「その周囲を護衛していた者たちが原因です・・・・」
すでに遅いかもしれない・・・・




