護衛依頼中その2
本日2話目
こういうふうな感じで進んでいくよん
「今晩の食事はスープとパンですよ」
護衛して2日目の今夜は、このあたりで馬車を停車させることにして、僕らは野営の用意をし始めた。
見晴らしのいい草原だけど、草が深いところもあるから警戒が必要だ。
ロズ王女は安全のために馬車の中で寝て、僕らがその周囲を囲む形で見張りを交代しながら寝るのである。
まあ、その前に夜食をとるんだけど・・・・・。
「けっこうおいしいですわ・・・」
ロズ王女が驚いた顔をした。
ゴリアンさんも同様である。
「なんと・・・・これはすごい」
「ワゼが作った携帯スープの素のおかげですよ」
スープの作り方はとっても簡単。
ワゼがあらかじめ作っておいた手のひらサイズの四角いスープの素に熱いお湯をかけて溶かすだけである。
具材もどこをどうやったのかはわからないけどいつの間にか混ざっているからいいだろう。
パンは冒険者たちがよく食べる乾燥パンだが、ワゼが作ったのはおいしいしね。
「こういうのがあると野営とかが楽ですよね~」
「・・・うまい」
「できればもう少し濃い方が好きですけどね」
「これ全員の好みを平均しておるからのぅ・・・」
「ウミャイ」
「おいしいよ」
「肉が欲しくなるでありますな・・・・何か狩ってきてもいいでありますか?」
「いや、この辺獲物居ないだろ・・・」
ミアンが肉を食いたいから何かを狩るという発言に思わずツッコミを入れた。
「いやいや、数体ほど向こうの草むらから感じるのでありますが・・・・・」
「・・・まあ、狩れたらいいか。その代わり、しっかりやってきてね?」
ミアンの言葉のどこかに隠れたものがあったので、僕は許可した。
さすが神獣種というか・・・陽気そうに見えて結構しっかりしてい・・・・あの威圧とかどこに行ったんだろうか。
ふと思い浮かんだそれに、ちょっと疑問をもつのであった。
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「おい、なんか気が付かれていないよな?」
ライたちが野営しているところから離れた場所で、ひそひそ話をしている数人ほどの集団がいた。
彼らはこの平原のあたりを根城にしている盗賊団。
最近始めたばかりで、帝国出身者と王国出身者が混じっていた。
なぜなら、彼らは実は王国と帝国の戦争中に軍から抜け出した兵士たちであった。
単純に命が惜しくなって逃げだしたのだが・・・・・・。帝国側の兵も逃げていたのは、ザストでの防衛戦の時にである。
で、両軍から逃げ出した彼らはいく当てもなくさまよって、この平で出会ったのだが国の垣根を超えて意気投合。
生活のためにこの平原を通る旅人などを襲う盗賊団として活動していたのであった。
「今日見たあの馬車だが・・・・美女ばかりだ」
「だが、モンスターが多いぞ。それに物凄いプレッシャーも昼間はあったし・・・・・」
「しかし、今この真夜中だがそれを感じない。なぜかはわからないが、今襲撃をかけたほうが良いんじゃないか?」
昼間、いつも通り商人などの馬車が来ないか待ち伏せしていたところ、ライたちが乗っている馬車を彼らは見かけた。
そして、周囲に歩いていたハクロたちの美貌に釣られたのである。
ミアンのプレシャーが上空から来るとは言え、男たちはここ数日着た馬車がおっさんだらけだったので極上の獲物にしか見えない彼女たちに気が付かれないように尾行していたのである。
げに恐ろしきは人間の三大欲求かな・・・・・・。
だが・・・・
「あの日が消えた後、おそらく互に見張りをしているだろうが、油断をする瞬間があるはずだ」
「ほとんどがモンスターのようだが所詮は女、力づくでいけ、」
「へぇ・・・・できると思うのでありますか?」
「「「!?」」」
その瞬間、男たちの背後からものすごい寒気が襲った。
振りむくのが怖いほど、濃厚な殺気というか威圧感が背後からひしひし伝わってくる。
ぎぎぎ・・・と首を回して恐る恐る振り向くと、そこには・・・・
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「ライ殿~・・・結局逃げられたでありますよ」
「あー・・・夜中だから見にくかったのか?」
「ちょっと残念であります」
遠くの方でそんな会話が聞こえる。
だが、男たちはその姿を見れない。
というか、声も出せないようにしっかり猿轡をされていた。男たち自身の服を口に巻かれたことによって・・・。
(目を付けた相手が・・・・悪かった・・・・・)
薄れゆく意識の中、盗賊たちは物凄く後悔した。
彼らは、素っ裸にされた上にさかさまになって地面に突き刺さっていたのだから・・・・・・・。
しかもそう簡単に死なないように空気穴のようなものつき。
後日、最近の盗賊被害が気になって依頼を受けてきた冒険者たちがここにきて埋まっていた彼らを引っこ抜いた。
盗賊たちであったことは白状したが、誰がやったのかまでは口をつぐんでいた。
後に、「謎の盗賊さかさま突き刺し事件」としてライたちが知るのはずいぶん後の事となるが・・・・。
実は、盗賊たちの接近は上空から見ていたヤタとミアンにはバレバレだった。
また、ハクロたちも気が付いていたのだが、盗賊たちを捕らえたりするのが面倒だった。なので、ここはミアンが代表して心をえぐりに行ったのである。
一応、ライたちに不安を与えないようにしての配慮でもあった。
なお、ミアンの印象というか正確が登場当初から変わっているのは・・・・まあ、某小説の精霊と似たようなものである。わかる人はわかるのかな?




