護衛対象は・・・・
短めですよ
「・・・私はこのルーナス王国の第1王女ロズ=ルーナスです」
・・・・まさかの王女様ですか。
護衛対象がだれかを紹介されるために、僕らはラリゴさんにその人のところに連れてこられたんだけど・・・。
「まさか、この国の王女様とは思いませんよ・・・・」
ハクロがつぶやきを漏らすけど、ここにいる全員多分同じ気持ちだよね。
ギルドマスターが言っていた通りなら王族関係者であるとは思っていたけど、公爵とかそういうのならまだわかったけど・・・・まともに王族ですか。
とはいえ、今のロズ王女はぱっと見、普通の村娘とかのようにしか見えない服を着ていた。
まあ、髪の色がきれいな銀髪で、顔もいいけど・・・・
「どうしてここに王女様がいるんだよ・・・」
話を聞くと、国王の判断らしい。
帝国との戦争の際に、負けた時の保険として王家の血筋であるロズ王女をここに疎開させたそうな。
で、現在は休戦中でまだ勝敗はついていないのだが、いったんは城に帰って、父親である国王に元気な姿を見せて安心させたいという事だそうだ。
「ですが、問題がありまして・・・」
盗賊なども出るから護衛が必要であり、城から護衛を出そうとしたらしい。
だが、まずい可能性が出てきたのである。
「今回の戦争では、この国の辺境貴族が我が国を裏切って帝国兵を通すということがありました」
「あー・・・・そういうことか」
で、辺境都市ザストでの防衛戦の後、何とかある程度まで盛り返した時に第1王子が裏切った貴族たちを死刑にしたり、貴族籍取り上げ返上などをしたそうな。
それで、逆恨みにもほどがある連中が出ているのだとか。
「それで、城から護衛を出すと、私がこの村にいるということが知られてその逆恨みの貴族の手のものたちがここに差し向けてくるかもしれないのです」
「それでしたら、城に戻ったら余計危ないような気がするのですが・・・」
「いえ、城に関しては完全な警備態勢が敷かれているので大丈夫だそうです。ただ、そこに行くまでの道のりで・・・」
というわけで、白羽の矢が僕らにあたったようであった。
「でも、僕らがその逆恨みの貴族の手になるとかいう可能性は?」
「それはないと思います。私は魔眼持ちですので・・・」
「私と同じようなものですか・・・」
そういえば、ルミナスも『魅了の魔眼』とかいうのを持っているんだったよね。異性に対して目が合うと発動する奴。最近は、目をかわすにも慣れてもっぱら存在を忘れかけていたけど・・・・なんかごめん。
「私の魔眼は『本質の魔眼』。その人自身の本質を見抜くものです」
「その人自身の本質?」
「はい、裏切ったりするような人などの身体が薄汚れて見えて、正直者で善良な方ははっきりと見えるものです。任意で発動し、結構役に立つんですよ」
ただ、さすがに人の本質というのは綺麗な人ばかりではないのでちょっと人が信じられなくなるような感じになってきたのだが・・・・。
「そこで見たのがライさん、あなたの本質です」
「僕のですか?」
「はい」
あの時助けた馬車にもロズ王女が乗っていて、その時に僕らの本質を見たのだとか。
「モンスターはさすがにこの魔眼では見れないのですが・・・・ライさんの本質はどこか懐かしさや優しさを感じさせるようなものでした。なので、こうして指名依頼を出したんですよ。大丈夫だと思えましたので」
・・・・なんだろう、物凄く恥ずかしい気分な気がする。
「ついでに、ルミナスさんも大丈夫なのはこうしてみるとわかりましたので」
あ、ルミナスも何か恥ずかしいかのように耳が赤くなった。
ロズ王女がこの魔眼をあまり使用しない理由というのが・・・・本質を見られるとなぜか恥ずかしくなる副作用があるのだとか。
・・・・事前に言ってください。
ルミナスの『魅了の魔眼』は作者も忘れかけていた設定ですよ。




