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そのへんのダンジョン  作者: どっすん権兵衛
第三章 広がるダンジョン
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37 学校ダンジョン

 

 雨の降りしきる中、早足で歩く。


 いつも通り始業時刻ギリギリで着いた俺が校門をくぐった時、すぐに違和感を覚えた。

 校舎の玄関前に人だかりができ、ざわついている。


 ……なにがあった?

 知り合いは居なそうだ。聞き耳を立ててみる。


「下駄箱がないって……」

「いやマジ、全然違うんだって。廊下がアホみたいに長いし」

「ねえこれって……噂のダンジョンじゃないの?」



 ……状況理解。

 校舎がダンジョン化したらしい。

 真帆や山口達は大丈夫だろうか。


「……今日は休校にするからここにいる生徒達は家に帰りなさい!」


 まずいな。生徒が校舎に入らないよう教師達が通せんぼしている。

 教師の一人に質問してみよう。


「どうなってるんです? 中とは連絡取れないんですか?」


「今調査中です。君たちは家に帰りなさい!」


 答えになってないぞ。ううむ。


 とりあえず人混みから離れ、『ダンジョンアシスタント』を起動、真帆たちにメッセージを送ってみる。

『状況を報告せよ』……と。



 1分ほど待って返事があった。滝田だ。


『校舎がダンジョン化したみたい。廊下が迷路になってる。山口も一緒にいる。教室にいたのは25人。富岡達数人が様子見に行ってる。また連絡する( ^ω^ )』


 場違いな顔文字やめろや。



 ふむ、25人……うちのクラスは32人だが、俺を抜くといないのは6人か。

 ……つっても、一人一人探すつもりもないな。冷たいかもしれないが、正直クラスメイトにそこまでの義理はない。最優先は友人達だ。そこを間違えるわけにはいかない。

 できるだけ助けたいところではあるが。


 問題は真帆だな。

 スマホを使う余裕がない状況だろうか。

 今の真帆ならそう簡単にどうこうなることはないだろうが……


 ここで手をこまねいて待っているのは俺のキャラじゃない。

 まず校舎内になんとかして入らないと。



 第1校舎の正面玄関は先ほどの通り、教師達が立っている。

 第2校舎玄関はロープで封鎖され、教師が一人。

 第1校舎と第2校舎の間の渡り廊下には非常階段があるが、そこは正面玄関前から見えてしまう。


 どこも強引に突破することは出来るだろうが、いちいち騒ぎにはしたくないな。


 校舎裏に回り、人目がないのを確認した俺は傘を閉じてインベントリに収納し、【魔手】(マジックハンド)を発動する。

 ここなら外からでも死角になっているはずだ。雨も降っているしな。


 校舎は4階建てで2年の教室があるのは3階になる。

【魔手】で3階の窓枠を掴んで引き寄せ、窓の横にヤモリのように張り付いた。

 窓の中は黒い霧のようになっており、様子は窺えない。


【魔手】で自分の体を固定しつつ、インベントリから工具袋の中のダクトテープを取り出して窓にベタベタ貼り付け、肘を叩き付ける。


 ……痛え。割れないな。

【剛力Lv2】でも割れないとなると無敵かな。

 玄関からじゃないとダメなのだろうか。



 仕方ない。

 屋上から行こう。


 窓枠に引っ掛けた【魔手】を伸ばして一旦地面に下り、反動をつけて今度は屋上まで飛び上がった。

 高いフェンスに手を掛けて乗り越える。


 屋上には金属製のドアがあり、普段から施錠されている。

【解錠】を使うと、カチリ、と音がした。この魔法はダンジョン以外の通常の鍵にも有効なのだ。



 さて、学校ダンジョンはどんな感じだろうか。

 ドアを静かに開け、中を覗き込む。

 普段通りの下り階段のように見えるが……


 とりあえず校舎内に入ってみる。

 全身ずぶ濡れだ。さすがに気持ち悪いし動きにくいな。

 俺はインベントリからタオルと制服の着替えを取り出すと、ささっと体を拭き、着替えた。


 魔剣や刀はいざとなればインベントリからすぐ取り出せるのでとりあえず鉄パイプを持っておく。

 事情を知らない奴に見られた時に説明が面倒だからな。

 バングル(盾の腕輪)くらいならいいだろう、これは嵌めておく。


 それにしてもインベントリはアプリなしで使えるようになってから株が上がりっぱなしだ。便利過ぎる!



 よし、探索開始だ。


 階段をゆっくり降りていく。


 踊り場で折り返し、さらに降りる。

 踊り場で折り返し、さらに降りる。

 踊り場で……いくら降りても踊り場しかないぞ。どうなってんだ。


 5階分も降りて無限ループを疑いかけた時、ようやく階段が終わり、別の光景が目に入った。


 廊下の途中に出たようだ。

 左右を見渡すと、学校の廊下の見た目そのままではあるが端が見えないほど遠くまで続き、教室のドアがポツポツと見える。


 窓の外は外から見たのと同様に黒い霧で見えなくなっており、廊下に本来はないはずの十字路などもあるようだ。


 なるほど、ダンジョンだな。



 とりあえず、手近な教室のドアに罠がないことを確認し、ガラッと開けてみる。


「ウギョギョギョ! グラァ!」


 気配は感じていた。


 ふざけてるかのような叫び声を上げて棍棒で襲い掛かってきたのは廃ビルの地下2階に居たのと同じ、ゴブリンだった。

 鉄パイプで側頭部をぶん殴ると吹っ飛んで壁に激突した。


「ゲェゲェ! ガァァ!」


 残り2匹は距離を取り、威嚇するように叫んでいる。

 俺は自分からスタスタと近づいて脳天に一発ずつくれてやって黙らせた。

 いまさらこの程度の相手に技なんか必要ない。



 さて、と教室を見渡す。


 天井は5メートルほどに高くなっており、広さは普段と同程度だが反対側にもドアがあるようだ。

 反対側のドアを開けるとそこにも同じような廊下が左右に伸びていた。



 これはなかなか……一筋縄では行かなそうだ。


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