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そのへんのダンジョン  作者: どっすん権兵衛
第二章 増えるダンジョン
16/48

15 廃ビル

 

 日曜日だ。



 普段なら大体ゲームしてるが、今日は諸々検証したり考えたりしたいと思う。


 昼飯はカップ麺、好物のシーフード味だ。

 親は出掛けているので自室に持ち帰って啜る。ウマイ。


 食いながらスマホを見ると通知が届いていた。『ダンジョンアシスタント』を起動する。



 ===================

 差出人:構築者


 他言無用でお願いする。ダンジョンの侵食が早まってしまう。願わくばより深くへ

 ===================


 ……随分とシンプルなメッセージだ。意味も分かりづらい。文字数制限でもあるのだろうか。ダンジョン外だからか?

 このメッセージについて検討するためにも、先に気になることを確認しておこう。



 さて、まず一つ目。

 ダンジョンで手に入れたスキルや魔法は地上でも効果があるのか?



 これは結論から言おう。ある。


 既に日常動作だけでもスキルのサポートを感じられている。【敏捷】や【剛力】である。


 魔法はどうか? 【魔手】(マジックハンド)の魔法を使用すると青い手が生えた。それでコップを掴んで引き寄せる。問題なく使えるな。


 インベントリから刀も取り出せる。もちろん、携帯充電器や寝袋もだ。アイテムも有効らしい。


 スキル、魔法、アイテム全て地上で効果を発揮する……

 嬉しいといえば嬉しいのだが、懸念もある。

 すなわち、モンスターも地上で存在可能なのではないか、ということだ。

 ダンジョンからモンスターが出てくる……考えたくないが、可能性は否定できない。


 先の構築者のメッセージにも『ダンジョンの侵食』なる言葉が出てきた。ダンジョンの地上への侵食……地上にダンジョンが広がり、モンスターが溢れ出す。

 そんなことになれば大惨事だ。


 出て来るにしろ、誰かが入ってしまうにしろ、危険だな。他言無用とのことなので警察に言って封鎖するような手も取れない。

 ……あのガレージにはシャッターがあったか? せめて閉めておくべきか。


 『願わくばより深くへ』。詳しく知りたければもっと深くまで降りてきてくれ、とそういうことだろうか……




 次は、ステータスを確認しよう。

 黒閃の騎士ことウォルズを倒したことでレベルが上がったり新たな称号を手に入れたりしたかもしれない。


 ===================

 笠木詠介 探検家

 レベル 18 MP 95 / 95 SP 30

 気配察知Lv2 剛力Lv1 頑健Lv2 敏捷Lv4

 軽業Lv2 体力Lv1 罠感知Lv1 魔法耐性Lv1

 回復Lv1 隠密Lv1 加速Lv1

 解錠 魔手 雷掌

 瞬動

 ===================



 レベルが6も上がってるな。さすがボス。強かったもんなあ。

 スキルレベルも一部上がっているが、3つの魔法の下に別のものが。【瞬動】?


 ……称号も見てみよう。


 ===================

 先導者ベルウェザー

 初めて禍神を退けた者に贈られる称号。

 システムへの介入権を得る


 簒奪者ユーサーパー

 禍神を退けた者に贈られる称号。

 退けた禍神の能力の一部を奪える

 ===================


 なんか凄そうなのが増えてる……


 この【簒奪者】の効果でウォルズの能力である【瞬動】を奪ったってことか……

 あの物理法則を無視したいきなり最高速ができるのか。すげえな。無敵じゃん。


 【先導者】の方もなんか凄そうな特典がついてるな。俺もダンジョン作れるのか?

 ……別にダンジョンに誘い込んでイジメたい相手はいないな。


 なんかどっちも中二感強くて恥ずかしいので【探検家】のままにしておこう。最初は文句言ってたがなんか気に入ってきたぞ。


 にしても……一貫して「退けた」と言っている。倒してはいないと言いたいのか。

 またウォルズが出てくるとかやだなあ。

 まあ復活怪人は雑魚化しているものだが。



 スキルは、と。


 ===================

 魔力Lv1   3SP

 剛力Lv2   5SP

 体力Lv2   5SP

 魔法耐性Lv2 5SP

 回復Lv2   5SP

 気配察知Lv3 8SP

 軽業Lv3   8SP

 不惑Lv1   10SP

 ===================


 新しいのは……魔力Lv1……

 うん……順当だな。

 まあ……いいや。うん。



 そういえば地上だとマップはどうなるのか。


 開いてみると、ダンジョン名が入っていたところは空になっており、地図はちゃんと自宅周辺の町の地図が出ている。現在地の光点もあるな。



 インベントリも検証しておきたかった一つだ。ダンジョン外で使える中で、ダントツで便利な機能だ。


 お湯を入れて30分経っても冷めなかった。つまりインベントリ内のアイテムは変化しない。食料も腐らないということだ。これは嬉しい。


 入るのは50個まで。ただ、バッグや箱などは中身ごと1つにカウントされるのでこれを利用すればほぼ無限となる。

 生き物は入れられず、重量は15キロ程度が限度だ。


 インベントリはこんなものかな。

 一応、使いそうなものは袋にまとめてインベントリに入れておく。包帯などの医薬品、タオル、ライター、筆記用具に着替え、などなど。もちろん、カップ麺とお湯もだ!



 他の項目は……ショップはグレーアウトしている。メッセージは構築者の二通以外には来ていない。


 ……こちらからメッセージ送れるのかな?

 あれこれやってみると、スワイプ操作で送信対象リストみたいなのが出ることに気づいた。



『オンライン:0人』



 ……送信対象はいない。ダメみたいだ。


 検証はこんなものかな……

 うーん、まだ午後3時前だ。


 ……ちょっとだけ、ダンジョンの様子を見に行ってみようか。

 モンスターが出てきたりしないか気になるしな。



 ーーー



 という訳で電車に乗って来てしまった。


 学校から駅への近道になる裏路地だが、相変わらず人通りはないな。

 大通りを通るよりは近いのだが、実のところもっと近く、人通りが多い道はあるのでみんなそっちを使っているのだろう。

 俺は100円ジュースのためにここを通るのだが。



 補充されているのかどうかもよく分からない100円自販機の前を通り、廃ビル前に立ち止まる。


 やはり、人の気配はないな……

 ビルの入り口は自販機からガレージを挟んで反対側の上り階段だ。

 1階はガレージとその階段のみ、2階の窓にはカーテンもかかっていないが、ここからだと中は天井しか見えない。


 周囲を見渡した後、階段を登ってみる。


 2階には中央に曇りガラスの嵌まっているステンレスのドアがある。3回ほどノックした後、開けてみる。


「お邪魔しまー……す」



 2階はオフィスだったようだが、ほぼがらんどうだ。遺棄された机だけが寂しく残っている。しばらく掃除もされていないのだろう。埃っぽい。

 一通り見て回り、何もないことを確認して部屋を出る。


 3階も同じようなからっぽの小さめの部屋と、こちらはトイレと給湯室がある。どこもなにも置いておらず、生活感がない。


 さらに上には屋上があるが、チェーンで施錠されている。扉の窓から見える限りだと給水タンクやテレビアンテナがあるくらいだろう。



 階段を降りて外に出る。ビル自体は真っ当な……というのも変だが、廃ビルだ。


 やはり問題はガレージの階段の奥だ。

 普通に考えれば倉庫にでも使われる地下室だったのだろうが、今は真っ黒な闇が淀んでおり、触れれば

 *おおっと* テレポーター! である。



 86人。


 構築者からのメッセージでは、俺の前にそれだけの人数がダンジョンに迷い込んでいるらしい。


 果たして、この廃ビルの怪しい地下室にそれだけの人数が足を踏み入れるだろうか?

 この辺りで神隠しがあったなどと騒ぎにはなっていない。……いや、最近一人聞いたか?

 そもそも、ダンジョンはいつからあるのか?



 そんなことを考えながら階段下を覗き込むと、扉のあった場所の手前の床に何かが落ちているのが目に入った。


 ん……?

 なんでこんなとこに?


 女の子らしい、かわいらしい手提げバッグだ。汚れてはいない。今さっき落ちたものだ。

 理由は一つしかない。


 扉の奥を覗く。

 相変わらずなにも見通せない、闇がそこにある。



 ここに、入ったのか。



 階段を降り、拾ったバッグをインベントリに収納、代わりに【斬魔刀】を出す。


 深呼吸を一回。

 意を決し、闇に手を差し伸べた。



 今一度、ダンジョンへ。


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