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共に走る  作者: しいず


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第3話 ペース

みなほはいつもよりも速いペースで走るが、やはり速いようで鹿野谷さんは徐々に離れていきます。

今日のペースはいつもよりも速いけど、鹿野谷さんは特にいつもと表情は変わっていない。

1㎞6分30秒は1時間で9㎞ちょっとで、10㎞まではいかないぐらいかな。

時速10㎞にも満たないので、自転車では遅いペース。

走りだと速いけど、自転車だと遅い……確かに、自転車だと大した負荷じゃないかな。

それでも、いつもよりは速いペースではあるけど。


「鹿野谷さん、大丈夫?」


わたしは振り向いて聞くと、鹿野谷さん小さく頷く。

けど、表情が変わらないので大変かはわからない。

ただ、いつもよりも自転車に付いてくるのが大変な気がする。


「やっぱり、このペースだと速くない?」


わたしが再び聞くけど、今度は無反応。


 無反応の時は『大変だけど大変じゃない振り』をしているか、『本当に大丈夫』の両方があるからわからない。

鹿野谷さんとは高等部になってから同じクラスになったけど、話すようになったのは

教室でなく部活で一緒に走るようになってから。


 最初は話しても無反応で表情も読めなかったけど、一緒に走る内に最初よりは表情もわかってきた。

でも、元々あまり表情が変わらないから、顔を見ただけではやはりわからない。

以前よりは応えてくれるようにはなったけど……まだまだ無言なことも多い。


(大丈夫……そうだから、このペースを維持しよう)


わたしはスマホのアプリのデータを見ながら、ペースを調整する。

ただ、鹿野谷さんは、わたしとの距離が徐々に開いて行っている。


(このペースだとやはり速いのかな?)


いつもは1㎞7分で走っているので、30秒も速い6分30秒のペースは鹿野谷さんでも厳しいみたい。

わたしはペースを落とすか悩むけど……しばらくこのペースを保つ。

しかし、鹿野谷さんとの距離は開く一方だった。

なので、わたしは鹿野谷さんを待つため、一度自転車を止めた。


「……離れたなら先に行って構わないのに」


鹿野谷さんが、わたしに追い付くと再び走り出したけど、鹿野谷さんはやや不満そうにこう言った。


「一応、ペーサーだからわたし1人で走っちゃダメかなって思ったんだ」


「そうだった…....私が.離れたら1で自分のペースで走っていい」


「うん、わかった。次離れたら、そうするよ」


「……でも、出来るだけ一緒に走って欲しい」


鹿野谷さんはそう言うと、恥ずかしそうに顔を横に向けた。

そして、鹿野谷さんが恥ずかしがるのを、初めて見たかも。。

鹿野谷さんも人間だから感情はあるだろうけど、恥ずかしがっておかしくはないけど

普段、表情が変わらないから、とても貴重なものを見られた気がする。


「わかった。ただ、6分30秒のペースは速いから、いつものペースにしない?」


わたしがこう言うと


「そうして欲しい……」


とやはり横を向きながら鹿野谷さんは言う。

なので、わたしはいつものペースで走る。


そして、わたしは恥ずかしそうにしている鹿野谷さんを見れてニヤニヤしている。

この顔を鹿野谷さんにばれないのよう、前だけを見て自転車を走らせるのだった。


―――――――――――――――


日が暮れて来て、今日も部活が終わる。

鹿野谷さんは最初速いペースだったせいか、いつもよりも疲れてるように見える。


「いつもより疲れてるように見えるけど、今日は大変だった?」


わたしが聞くと


「いつもより速いペースだったからいつもより疲れた」


と答えると、珍しく座り込んだ。


「大丈夫?」


いつもは、息は切れても、座りこむことがないから、わたしは声をかける。


「ちょっと辛い……」


さすがの鹿野谷さんも、今日は辛かったか。


「鹿野谷さんが座るほどだからね」


「私も疲れる時は疲れる」


「そうだけど、鹿野谷さんは常に走ってるからね」


「……いつ走れなくなるかわからないから、走る時に走ってるだけ」


鹿野谷さんはそう言うと、辛そうに立ち上がると、走って学園へと戻って行った。

わたしも自転車を引いて学園へと戻るけど、鹿野谷さんの姿はすでになかった。


 部室に自転車を置いて、今日も帰宅する。

鹿野谷さんは寮生で、寮は学園内にあるから通学が楽でいいな。

でも、寮の生活は制限があるだろうから、わたしには無理かな。


 特に野菜が嫌いなわたしは食事に困りそう。

お母さんも野菜を食べさせることは半ばあきめているけど、それでも野菜をだしてくる。


 わたしも高校生だから以前よりは食べられるようになったけど、やはりお肉と炭水化物がメイン。

特にハンバーガーが大好きで、学校帰りはもちろん、家でも自分で作ったりする。

普段料理をしないわたしでも、パティ作りだけはするから、ひき肉をこねるのと焼くのはうまくなった。

あと、ハンバーガーに入ってる野菜、たまねぎ、レタス、トマト、ピクルスは食べられるよ。


「鹿野谷さんはハンバーガーって食べるのか?」


わたしはつぶやくけど、あの体型だと食べることはないかな。

というか、わたしが色々食べ過ぎなだけかな。


 自転車はオリンピックを見て憧れたのと、ダイエットのために始めた。

でも、憧れただけで、オリンピックや大会を目指してる訳ではないし、ダイエットも上手くいってない。

鹿野谷さんも負荷が少ないって言ったから…….土日も走った方がいいかな。

ただ、1人だと絶対に続かないから、鹿野谷さんにも付き合ってくれないかな……。

わたしはママチャリに乗りながら考えてたら、いつの間にか家の近くまで来ていたのだった。

お読みいただきありがとうございます。


このペースと距離は2人の感覚でもあります。

速過ぎるとはなれて、いつものペースだと一緒に居られるという意味もあります。

ただ、2人はまだまだ部活仲間なので、このことに気づいてはいないです。



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@shiizu17

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