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共に走る  作者: しいず


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第21話 教室での反応

傷は風呂でしみたりしたが、幸いにも痛みは強くならず、骨折もないので

翌日もいつもとおり、ママチャリで学校へ行く。

教室に着くと、心配した桜琳がみなほの元へやって来ます。

家に帰ると家族がケガの心配したけど、部活中に自転車で転んだと言うと安心してくれた。

顧問の先生の処置もよく、痛みはあるけど、傷口を綺麗にしてくれた。

だから、家に帰ったらガーゼの交換と塗り薬を塗るぐらいで済んだけど、お風呂がしみて大変だった。


 そして、幸いにも痛みは強くならず、翌日はいつもとおりママチャリで学園へと向かう。

自転車はお父さんがちゃんと調べると言っていたけど、部活用の自転車は夕方お父さんが車で運ぶことになった。


 教室に入ると、入口の近くの席の桜琳が、すぐわたしを見つけて駆け寄って来た。


「みなほ、大丈夫!?」


桜琳がこう言いながら、わたしの手を握る。

この様子を見て、クラスの子たちの視線が一斉にわたしたちへと向けられる。


(なんか、視線が痛い……)


わたしはこう思うけど、心配してくれている桜琳の手を握る。


「大丈夫だよ、桜琳。傷は痛むけど、他の痛みはないし、いつもとおりに自転車で登校したから大丈夫」


と言う。


「なら良かった。みなほも……私のようになって欲しくない……」


桜琳は繰り返しこう言うけど、桜琳の事故はそれほどだったんだな。


「大丈夫だよ、桜琳。あれぐらいならよくあることだし、速度も遅いから骨を折ったりしないから」


と言って、わたしは桜琳の手を握り返す。


「わかった……みなほ……」


桜琳も納得してくれたけど、桜琳の事故はどんな事故だったんだろう。

足を隠すから、足の怪我なんだろうけど、ここまでになると、わたしも話を聞きたくなる。


「ねえ、桜琳……事故の話はまだダメかな?」


わたしが小声で聞くと


「……みなほが心配するなら……話してもいい……でも、人がいない所でしたい」


と小声で答えた。


「わかった。桜琳が話したい時でいいから、話してね」


わたしも小声でこう返す。


「うん……」


桜琳は頷くと、わたしの手を離して席へと戻っていた。


 これまでの様子を見ていたクラスの子たちは、わたしが席に着くと一斉に集まって来た。


「みなほ、彼女を心配させたらだめだぞ~」


早速、仲が良い子にからかわれたけど、確かに桜琳を心配させたのはよくない。

転んだ理由は話してないけど、桜琳のことが原因だと余計に桜琳を責めることになる。

だから、黙っているけど、桜琳も理由を聞いてこないから、薄々気づいているのかもしれない。


「そうだね、桜琳のことを心配させたらだめだよね」


わたしがこう答えると


「鹿野谷さんが彼女じゃないと否定しないんだ~」


とさらに茶化してくるが、ここまで来たらそろそろ覚悟を決めるころかな。


「うん、まぁ……ね」


と、わたしが答えると、一斉に「きゃあああ!!」という、歓声と悲鳴が入り混じった声が響く。


「やっと認めたか、みなほ。わたしたちは2人を応援してるから、心配しないでね」


「鹿野谷さんから告白なんて意外だったけど、それはそれでロマンチックだよね」


「ほら、2人は付き合ってるって言ったでしょ。ちゃんとおごってよね」


「高いのはダメだからね」


「む~1人勝ちとは悔しいな」


とそれぞれの反応があるけど、賭けの対象にもなってたとは……。

もっとも、すでに外堀は完全に埋められてたし、これ以上否定するのは状況的にも無理。

それに、桜琳が事故のこと……足のことを話してもいいって覚悟を決めたから、わたしももう否定はしない。


「ここまできたら、もう認めるよ」


「応援してた甲斐があったよ。みなほと鹿野谷さんとは面白い組み合わせだけど、それがいいんだよね」


こう言って、わたしの背中を叩くけど、力を加減してよ。


「痛いって」


「ごめん、ごめん。でも、めでたいからついね……ってチャイムが鳴ったか」


チャイムが鳴ると、わたしの周りに集まってた輪は一斉に無くなる。

みんな席に戻ると、担任の先生が教室に入って来た。

そして、わたしは桜琳の方をちらっと見ると、少し頬を膨らませていたのだった。


(え、桜琳が嫉妬してる!?)


わたしは桜琳が嫉妬しているのを見て、思わずニヤニヤする。


 休み時間になるたびに、入れ替わり立ち替わりで、クラスの子たちが、わたしを祝福する。

正直、やめて欲しいけど、そうもいかないからちゃんと対応をする。


 一方、桜琳は話しかけるなオーラを相変わらず出している。

だけど、今の桜琳はどちらかというと、わたしに話しかけるなオーラを出してて、近づけない感じかな。


 元々クラスの子たちは桜琳に話しかけないというか、かけられないので近づかない。

でも、何人かは恐る恐る近づくけど、話しかけられた桜琳はちゃんと答えてたので意外だった。


「鹿野谷さんって意外と話すんだ」


「話しかけるなって感じだったけど、下月さんのことは嬉しそうに話すよね」


「だよね。それがかわいいよね」


と言って、桜琳のイメージが変わっていった。


「みなさん、鹿野谷さんが嫉妬しますので、これ以上はやめましょう」


うちのクラスで一番の令嬢キャラの子がこう言うと、次の休み時間にはわたしの席に誰も来なくなった。

その代わり、待ってましたと言わんばかりに、小走りで桜琳がわたしのもとに来た。


「みなほと話したかった……」


と言ったが、桜琳は話題が見つからない。

元々話すタイプじゃないから仕方がないけど、桜琳らしくていいな。


「桜琳、無理に話すことはないよ。近くにいるだけでかまわないから」


わたしはこう言って桜琳の手を握ると、教室には再び歓喜と悲鳴が響いたのだった。


お読みいただきありがとうございます。


外堀が完全に埋められているのもありますが、みなほも覚悟を決めました。

みなほは今回のケガで、桜琳の気持ちがわかり、桜琳も自分の足のことを話すと決めます。


ツイッター

@shiizu17

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