第一章:四天王の華麗なる艱難-24
(──順調だ、ここまでは……)
昼時の如く明るくなった空。
その宙空にて黒々とした巨躯を四翼を羽ばたかせ留めているターゲット──リードデバウアーメガバットを睨みつけるディズレー。
事前に立てた作戦が上手いこと嵌まり、心中で漏らした通り順調ではある。
比較的アッサリ始末出来た半魔物化した無数のコウモリは、本来ならばその数の多さと割に合わない凶悪な波状攻撃により獲物を蹂躙する……。
現に魔物討伐のプロであるギルド職員達の大半はこの半魔物化コウモリのせいで床に臥したのだ。
それを手始めに一掃する事が叶った……。ギルド職員の情報提供があったとはいえ、被害なくこれを成し遂げられただけで手放しに順調だと言っていいだろう。
だがそれでも〝本番〟はここからなのだ。
「……ヒィィィ……」
リードデバウアーメガバットが、肺一杯に空気を吸い込む。
(──ッ! 来るッ!!)
「ポパニラッ!!」
「はいっ!!」
活気ある返事をしたポパニラは動けないコンタリーニを中心として三人の前に躍り出ると大盾を構え、下端を思い切り地面に突き立てると己を支えにする。
そして予め大盾の裏に書いておいた魔法陣に魔力を送り込み、そこに詠唱を重ねる。
「降り注ぐ脅威を退けし我が強壁よっ! 数多の重激をその身に受け、我等の輝きを守りたまえっ!! 「ガードオブメナス」っ!!」
そうポパニラが叫んだ直後、大盾を中心とした岩壁が広がりながら形成。視界一杯を塞ぐほどの巨大な大盾へと姿を変えた。
彼女が発動したのは《地魔法》による強固な岩壁を作り出すシンプルな魔術。
《地魔法》の使い手ならば大抵の者が初歩の総決算として頭に入れている基本的な魔術であり、特筆すべき特殊効果の無い教科書に載るような基礎だ。
しかし、シンプルも突き詰めれば輝きを増す。
事前に描いておいた魔法陣により魔術の枠組み、骨組みを半自動で発動、持続。詠唱で性能を補強しながら魔力を込め、ポパニラはただひたすら、そのシンプルな一つの効果を研ぎ澄ませていく。
ポパニラは性格上あまり複雑な演算による緻密で高度な効果付与は得意ではないが、一つの効果に一点集中すればかなりの性能に引き上げる事が出来る。
その効果とは──〝密度〟。
「──ッッ!!」
「来るぞッ!! 全員耳を塞げぇッ!!」
「「「はいッ!!」」」
再び上がった掛け声に三人が従い耳を塞ぐ。
次の瞬間──
「────────ッッ」
それは、大抵の生物が聴き取れない程の高周波に達した超音波。
しかし開幕に見舞った探知に特化したものとは違い、今回放ったものは〝破滅〟を齎す怪音波であり、その効果は超振動による内臓等の内部破壊。
極度な振動は人体に悪影響を及ぼし、本来体内で守られているはずの内臓等の重要器官は貫通して来た振動により否応なく損傷する。
「──くッッ……!!」
空気が震え、空間は湾曲し、怖気が全身を這い回る。
ポパニラが展開した岩壁は密度を極限まで上げる事で超振動による影響を軽減し、ある程度はその威力を低減させる事を可能とした。
しかし、それでも完全ではない。
リードデバウアーメガバットの規格外の肺活量から繰り出される《音響魔法》によって音響属性すら帯びた超音波の超振動はそう簡単に防ぐ事の出来る代物ではなく、致命的には至らなくとも相応の苦痛とダメージは受ける事になる。
「あ゛ぁっ……ぐぅ……っっ!」
脳が揺れ、視界が揺らぐ。
「ゔ、お゛ぇぁ……っ!」
内臓が痙攣し、嗚咽が上る。
「──ッ!? 痛っ!!」
三半規管は混乱し、足元も覚束ない。
「ぐ、ぐぉぉ……、魔力を……練り、続けろっ! 相殺……して……耐える、んだっ!!」
四人共、《音響魔法》は使えない。肝心要の《空間魔法》を誰も使えないからだ。
故にディズレーが言うような相殺という点で言えば実行不能ではある。
しかし彼とてそんなものは織り込み済み。今彼が言った相殺とは即ち、魔力の波長、そのもの。
──魔力には〝波長〟というものがある。
所謂個々人が持つ魔力の指紋のようなもので、例え一卵性双生児であっても一つとして同じ波長を持つ者は存在しない。
持つスキルによってはこの波長を詳らかにする事で残存魔力から個人を特定し、当該人物を探し当てる……などといった事も可能。
それこそ科学捜査で犯人を追及する警察のような真似も出来るだろう。
──ただし例外がある。
指紋と違い魔力の波長は、技術さえあればある程度は自身の思い描く波に一時的にだが改変出来るのだ。
やり方次第では他人の波長を装い犯行をなすり付け好き勝手犯罪を繰り返すなどという事も不可能ではなく、実際過去にはそれを利用した歴史的犯罪者が存在した事実もある。
勿論、それを実行するのは容易ではない。
適当に弄るだけならばやれない事はないが、それを望み通りの形に整形するとなると高度な魔力操作能力を要求される事になり。
例えるならば一メートル四方に敷かれた細かな砂利を、隣に並べられた同じ砂利と全く同じ配置になるよう調整するに等しい。
一ミリのズレも許されず、僅かな妥協で全くの別物となってしまう超高難度な技法……。
加えてこれほどの操作能力と完成度を要求しておきながら活用する場面は大変に限られ、活躍する状況も殆ど無い。
学院でも参考事例を多少紹介されるだけでまともには学ぶ事は無く、極めて利用機会に乏しい使われない技術だ。
ではこの波長の自己改変を利用し、例えば自信に襲い来る魔術の波長と同期する事が出来たらばどうなるのか?
……それを、クラウンは部下達に学ばせた。
『これは師匠から教えられた事なのだが、魔力の波長を真似すれば魔術の効果をある程度は軽減可能らしい』
『ふーん?』
『簡単に言えば同じ波長どうしがぶつかれば相殺されるという原理らしいのだがな。使い熟せればさぞ便利だろう?』
『え。何よそれ? そんな効果あるの知らないんだけどっ!?』
『有用性に乏しいからな。私ですら戦闘の局面で大雑把に似せる事は出来るが完全再現は難しい。それなのに完成度が高くなければまともな性能にならないのだから、まあ、まず普及せん』
『な、なら意味無いんじゃ……』
『ああ。……だがこれはあくまで〝一般論〟だ。並の術士を目指すなら不必要かもしれんな』
『……その言い方ってぇ事ぁ……』
『君等は私の──〝この〟私の部下だろう? 一般だの並だのの枠組みに収めてやるつもりなど毛頭無い』
『あ、あーそう……』
『さぁ、極めようじゃないか。我等は栄えあるティリーザラ王国の上澄み……。魔法に関する技術ならばどこまでも澄み切ってみせようじゃあないかっ!!』
──そう。仮に同じ波長を再現しぶつかり合った場合、魔力は相殺され雲散霧消してしまう……らしい。
何度かクラウン自身が実験を試みたのだが、確かに完全完璧に同じ波長同士をぶつけさえすれば相殺は可能だが、それはクラウンという現時点での魔法界の頂点に手を掛けている人間が数分間集中して漸く叶うレベルの技術を要求されるもの。
確かにそれが戦闘中に行使可能ならば魔術士としてはまさに無類の強さを手に出来るだろう。だが彼自身も言っていた通り、有用性は殆ど無いに等しい超が付く高等技術だ。
しかし、それでも敢えてクラウンは部下達にそれを学ばせた。ほぼ無茶振りに等しい新たな鍛錬を以って。
当然その難度は熾烈を極め、まともに利用出来るまでに習熟したのはクラウン当人とロリーナ、ロセッティの三名のみ。
他の部下達も程度の差はあれど実戦投入するまでには至っていなかった。
……だが、この場に於いて習熟だの何だのと四の五の言っていられない。
活用出来るものは全て投入する。そうでなければ勝てるものも勝てなはしない。
(少しずつ……少しずつでいい……。完璧じゃなく、ても……少しでも、やわらげて……っ)
完全再現は流石に不可能。超振動で体内が転がり回るような不快感と苦痛に苛まれる中ならば尚更出来るわけなどない。
やれる事は一つ。可能な限り近付ける。それのみ。
「ぐっ……あ、ぁぁ……」
凌ぐ。耐え凌ぐ。
リードデバウアーメガバットの規格外の超音波攻撃もそう長くは続かない。
その間だけで良いのだ。
その間だけ魔力を可能な限り相殺し、中和し、身に降り掛かるダメージを減らす。
それだけに今、全力を注ぐ。
「────ッッ」
──リードデバウアーメガバットは激怒していた。
己が血を分け与えた下僕達を軒並み撃ち殺され、言葉など解さずに煽られたと理解し、怒りの感情を爆発させていた。
故にリードデバウアーメガバットはその範囲をディズレー達を収められる程度に狭め、その狭めた分を肺活量へと回し超音波をより長く彼等へと見舞ったのだ。
今までこの超音波攻撃で地に伏さぬものは無く、最初に襲ったこの街の弱者共も、その次に襲った装備が整っていた連中──ギルド調査員共も変わらず、この音波の前に成す術などなかった。
唯一通用するか怪しいのは先の自身にメッセージを寄越した強者だが、それでなければ必ずやこの攻撃を前に獲物は倒れる……そうでなければならない。
そんな確信と自信を現実のものとするべく、リードデバウアーメガバットは念入りに、ディズレー達に音波をぶつける。
食欲や悪意など後回し。
ただひたすら、己が内に燃えるプライドを守るため──
「────ィィィィッッ」
そうしてたっぷり、三分間。
全力を注いで放った超音波は漸く終わり、然しものリードデバウアーメガバットも顔に疲労を色濃く刻む。
ここまでやった。徹底し、明確に仕留めるために全力で吐き出した。
例えあの強者であったとしても捩じ伏せる事が出来る……。そう自負するほどに仕上げた超音波。
立ち続けている事など万に一つも──
「──っ?」
超音波を放つ前、突如として奴等の前に展開された些末な岩の壁。
あらゆる物体を貫通する自慢の音波には無意味なものだと断じ、全く気に留める事なく放った。
しかし件の壁に邪魔され、その後ろに隠れてしまった獲物共の様子は確認出来ず、地に縫い付けられるかのようにのたうつ様は拝めない。
……リードデバウアーメガバットの脳裏に、不安が過ぎる。
「……ぎぎっ」
動きは無い。未だ壁は立ったまま、何ら変わらない。
だが倒れる音も、苦痛を叫ぶ声も無い。
それが、不可解でならない。
「ギィ……」
リードデバウアーメガバットが大きく翼を一度大きく羽ばたかせ、高度を上げる。獲物の状況を確認する為に……そして──
「──今だッッ!!」
「はいッ!!」
それは上昇する際に一瞬だけ外した、視界の端。
岩壁の頂点から何かがチラリと、捉えた。
直後、視界一杯に溢れる光。
痛みさえ走るようなあまりにも強烈な光が頭蓋を何往復も飛び交い、発達したばかりの未熟な脳を焼く。
混乱、錯乱、動乱……。
翼の制御は効かず、四方上下の感覚も失い。
きがつけば かたく ひらたい なにかに
からだが ぶつか──
「ギィィィィィッッ!?」
「に、人間……ナメんなよぉぉッ!!」
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──フランシスカ・バーベナ・ローレルと交わした約束……。それは〝ある男〟を救い出す事。
今日はその約束を果たしに来たのだ。
「──しかし驚きました。まさかこんなに早く約束を果たしに来て下さるとは……」
「ん? なんだ? それではまるで私が約束をなぁなぁにするような男だと聞こえるが?」
「いえ……。言葉を選ばずに言わせていただくなら、そういった約束を含めて企む方だと認識していたので……」
「……まあ、言われても詮無い事ではあるな」
あの日の私の言動だけの印象を切り取ったならばそう思われても致し方ない。あの日の私は正にそれをやるような輩に映るだろうし、実際そうする場合もあるしな。
「──で、そこに居るのが?」
「はい。……我が夫、デュラです」
彼女が目を移した先──対面する鉄格子の先で拘束具に身を包み、碌に手入れをされないままの顔と痩けた頬の男が、こちらに懐疑的な目を向けそこに居た。
「……なんだ。随分と窶れたな? あの時はあの時でそれなりに酷い顔だったが、今はその比ではないぞ?」
「……キ、さま、……」
──牢に繋がれたこの男は、かつて王国の経済破綻を目論み潜入していたエルフの農作の知識を利用し、自領の回復に努めた。それが潜入エルフだと知っていて、だ。
加えてその潜入エルフが出荷する野菜に毒性植物や中毒を引き起こすモノを混ぜていたのを見逃し、それなりの被害が及んだ。
故に当時、私はモンドベルク公指揮の元に、彼を〝国賊〟として捕らえた。私、手ずからに。
「どうせ私が来るまでにフランシスカから聞かされ事情は把握しているだろうが改めて私から言おう。お前を、ここから出してやる」
「……私を捕まえたキサマ自身が、今度はここから出す、と? ははっ……。そいつを私はどんな気持ちで受け入れたら良い?」
コイツとしては、まあ、言っている通り複雑だろう。
だがまあ、どんな感情だろうが何だろうが知った事ではない。
話の中心にこのデュラは居るが、コイツに拒否権等の自由などない。これは私とフランシスカの約束なのだからな。
「お前はただ黙って、大人しく、流されなさい。私個人としてはただの打算の上で、お前を出すリスクは低いと判断したまでだ。お前の心情なんぞ私の知った事ではない」
「……私がキサマに復讐するかもしれないぞ?」
「ほう?」
「どういう理由にせよ、私はキサマ達に人生を壊された。恨みの一つや二つ、抱えてもいるさ」
「……お前が治めていた領地は、今はコランダーム公傘下の男爵家に任せている。だがいずれはフランシスカが当主のローレル家の管轄に収まるだろうな。未だ手続き等が済んでいないが」
「なっ!? ほ、本当、なのか?」
「復讐なら好きにしろ。お前がやれる程度の復讐なんぞ片手で捻り潰してやる。……しかしお前のその壊れたとか吐かす人生が戻るかどうかは私の掌の上だ。そんな私に、無駄に盾突く意味はあるのか?」
「……」
「納得なんぞ求めてはいない。勝手に悩んでいなさい。──では始めるぞ」
部下に持って来させた荷物を下ろさせ、そのまま部下は監房室から退出。
適当に荷物を牢の前まで引き摺り、その封をあける。すると──
「──ッ!? え、えっ!?」
「なんっ……だと……」
荷物から露わになった顔──それは現在進行形で牢に繋がれ、驚愕に染まるデュラと全く同じ顔をした男が露わになった。
「ど、どういう事だっ!? わ、私と、同じ……?」
「か、閣下っ!? 確かに聞いていた話では似た顔を用意するという話でしたが……これでは、瓜二つ……」
「おおそうか? いやはやそれは良かった。何せ記憶にあるコイツの顔を思い出しながら弄ったからな。内心似ていないなどと言われるのではと心配だったが……。お前達二人がそうまで言うならば杞憂だったな」
厳密には肌の荒れ具合やらと細かい部分に差異はあるが、誤魔化せる範囲ではある。まあ、何か言われたらば微調整するだけなんだがな。無駄な労力を割かずには済んで良かった。
「一体、何がどうなって……」
「……知れば後悔するが、どうする?」
「──ッ!? ……やめておきます」
「懸命だ。さて、紹介が済んだところでだ」
フランシスカに少し退いてもらい、牢の前に歩み寄る。
そして《地魔法》で適当に形だけを合わせて作った鍵を鍵穴に差し込み、スキル《開錠》でそのまま牢を開けデュラに近付き、同じ要領で彼の拘束具全てを解き放った。
「……さて、これで晴れて自由の身だ。身体だけだがな」
「……理解が追い付かん」
「求めていないからな」
「つまりは、アレだろう? そこに転がる私と同じ顔になっている男を、私の代わりにする……と」
デュラはそこでまた別種の複雑な面持ちを表す。
恐らく自身の身代わりに今後の一生を牢で終えるこの変わり身の男に同情でもしているのだろう。
本当、聞いていたように根っこは善人寄りではあるな、コイツ。
……少しはサービスしてやるか。
「── 婦女暴行の末に強姦殺人。金品を窃盗の上に逃亡し、換金したそれを違法賭博に注ぎ込んだ後に負けた腹いせにすれ違った浮浪者数名に過剰な暴行、他余罪有り」
「え……」
「そこで寝ている粗大ゴミの罪状だ。ただ処刑されるより赤の他人の人生の犠牲で余生を無駄遣いする方が良い罰になるだろう? ゴミも使い用だ」
「……他者の生死を、そんな乱雑に──」
「その乱雑な扱いでこれから人生を謳歌するお前に何かを言う資格があるとでも思うのか? ……まあ、好きに思いなさい。口に出さないのなら私に全責任を押し付けようが自己嫌悪に陥ろうが知った事ではない。これは私が背負うものだ」
「……っ」
納得し切っていないデュラを半ば無理矢理牢から出し、代わりに変わり身を袋から取り出してから先程デュラが纏っていた拘束具を着せてやり、牢を閉める。
「閣下、付かぬ事お伺いしますが……、その、この変わり身が目を覚ました後、彼が現状に喚き散らすのでは?」
ふむ。まあ、妥当な疑問だろう。
顔が変わっただけで記憶がそのままであれば目を覚ましたコイツが己が現状を理解出来ず騒ぎ、それを聞いた事情ん知らなん刑務官が異変に気付き訝しむのでは、と。
だが、問題ない。
「コイツは今、自身をデュラである、と自認している」
「……は?」
「記憶も性格も、そして矜持も含めて、コイツはデュラとして思い込んでいる。目を覚まそうがそれは変わらん」
「……もう、メチャクチャですね」
「気にするだけ損だ。理解する事が全てに於いて正解ではない。知らない方が良い事なんぞ、世の中には山積している」
ガチャリ、と、牢の鍵が閉まる。
これで現状、この牢を開けられるのは私のみとなった。
つまりは最早後の祭りだ。
……さてさて──
「次はお前だ、デュラ」
「お──わ、私か?」
「当たり前だろう。まさかそのまま自由になれると都合の良い夢でも見ていたか? 仮にも元男爵家当主だろう。しっかりしてくれ」
「な……」
「やる事は二つ。一つは今日、この場で行われた一連の記憶を消す。まあ、これは最後で良い」
「記憶を消し……はぁ?」
「その前にやらねばならん事、二つ目。──その顔とは、今日で今生の別れだ。今のうちに脳裏に焼き付けておきなさい」
私はデュラに手を翳し、その四肢を動かぬように《地魔法》の魔術で固定した後、口も塞ぐ。
「さあ、新たな人生の開幕だ。最高最低のバースデイにしよう」
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