第一章:四天王の華麗なる艱難-2
真顔だ。先程までの真剣さはなりを潜め、心底不思議そうな真顔が私を捉えている。
「え。だって君、学生でしょ? 聞いた話じゃあ教師にもその内なるんだっけ」
「ええまぁ。まだ師匠にその旨をお伝えしただけなので内定したわけではありませんが」
「んでギルド「十万億土」の設立準備に、裏稼業「劈開者」の運営でしょ? 確か前に地主にもなったって手続きもしに来たし、キャピタレウスの爺さんと魔法の研究……。あとアレだ。ジェイドさんの手伝いでたまに弱い魔物や普通の魔物も狩ってるって話じゃない」
「まあ、概ねそんなところかと」
まだ細かい用事や要件が細々挟まったりもするが、今抱えている大まかな案件はそんなものだな。
「え。それ物理的に処理出来る? 人間じゃ無理じゃない?」
「……」
前世でも似たようなスケジュールを組んでいたが、あの時は既に部下達の仕事も熟達しある程度は任せられたからな。
今の部下達であるヘリアーテ達にはまだまだ早いだろうし、蓋し同じようなスケジュールを私一人で熟すのは、陳腐な言い方をするならば、大変だろう。
……以前の〝普通の人間〟だった、私だったならば、な。
「エメラルダス侯」
「今更ファミリーネームとかもういいから。ゴーシェって呼びなよ」
「……ゴーシェさん」
「なぁーに?」
「これでも私、成長しているんですよ」
「え。いやまぁー成長期だろうしそりゃ背くらい伸びるだろうけど……。今いくつ?」
「百七十八──ではなくてですねっ?」
「う、うん」
「あの戦争を経て、力を付けたと言っているんですよ」
「あぁー。そりゃ付くでしょ。何だっけ二万人? 一体どんな腕力やらして──」
「だから違いますっ! 能力面の話を──」
「いやいやぁー。君元から凄かったでしょ? コッチに相談もなく勝手に貴族諸侯を自分好みに取捨選択して──」
「解っててやってますよねっ!?」
「はっはっはっ。いつものお返しぃー♪」
はぁ、まったく……。さては私を揶揄う隙を虎視眈々と伺っていたな? 私から多少なりとも気を許されていると自覚しているのだろう。
くだらん事に抜け目の無い……。相当、私に仕返しがしたかったのだろうな。例えくだらなくとも……。
「ま。圧勝だったとはいえアレだけの戦争の、しかも最前線で一番身体張ってたわけだからね。そりゃあエラいスキルの一つや二つ、身に付くでしょうよ」
いやまぁ、一つや二つ程度では無いのだが、わざわざそこまで明かす必要はあるまい。
「んで? 文脈的に察するに、あの戦争で手に入れたスキルで件の頭おかしい激務を熟せるって話?」
「流石、話が早い」
「え。もしかして教えてくれる流れ、コレ? えぇーめっずらしぃー……。コレは僕いよいよ君に信頼されちゃったかな? きゃっ。うっれしぃーっ!!」
なんという露骨なオーバーリアクションか。目が笑っていないのが妙な不気味さを醸し出している。
……というかこんなキャラだったかこの人?
「胸襟、開き過ぎではないですか?」
「演技かもよ?」
「通じると?」
「そこはホラ。空気をさ?」
「敢えて読みません♪」
「ひっどっ!!」
「知りたくないんですか?」
「うんっ!! 教えてっ!!」
なんなんだこの人調子狂うなっ! メルラと同等に苦手かもしれん……。
「はぁ……。人払いは?」
「判ってるクセに。君との会談じゃあ余計な人は近くから除いてるよ。スキルアイテムで盗聴盗視等の対策も完璧っ! ついでに魔法陣のオマケ付きねっ!」
「承知しました。では、刮目を」
私は意識を集中させ、スキルを発動する。
直後、私から伸びる影は突如としてうねり、蠢き、変容していく。
「む?」
次第に影は立体的に隆起しだし、宛らスライムのように流動と形成を繰り返す。
「お、おぉー」
更にはその漆黒は徐々に彩度を上げていき、湧き上がるように変化した色は規則性をもって配され、整っていく。
「……なるほどねぇ」
既に面影を失った影だった〝それ〟は、遂にはその蠕動を落ち着かせ、整い、形成されていく。
黒地に赤斑らの頭髪。
黒緑の美しい発色の外套。
百七十八センチの身長を有する、ティリーザラ人の男の姿……即ち──
「ご紹介致しましょう。我がスキル《影分身》にて複製された……影の私です」
「どうもゴーシェさん。本体の影から生まれた〝私〟です」
「あっはっはぁ……。こぉーのビックリ人間め」
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──魔法魔術学院・第三会議室。
そこでは今日、放課後に十八名の生徒達が集っていた。
皆は当然顔見知り──というか同じ人物を頭に据えた、一組織の現構成員達である。……約一名を除いて。
そんな彼等──未だ正式な設立にまでは至っていないクラウンが組織した少数精鋭ギルド「十万億土」の面々は会議室に設わっている円卓を囲み、その大半が沈痛な面持ちで俯いていた。
「……今日はいきなり集まってもらって悪いわね。なにぶん急な事だったから、早めに話し合っておきたかったのよ」
重たい空気の中、最初に口を開いて皆の注目を集めたのはヘリアーテ。実質的な「十万億土」のまとめ役としての役割を与えられた彼女は、だがその声音にいつもの威勢は感じられない。
「みんなももうボスから言われてるでしょうけど……私達──厳密に言えば私とグラッド、ロセッティ、ディズレーの通称「四天王」の四人に、彼から〝ミッション〟が言い渡されたわ」
今朝方の事だ。
クラウンは早朝に四人を呼び出し、嫌な予感を覚えさせる笑顔と共に急報を告げたのである──
『留学するぞ』
『『『はい?』』』
ただでさえ寝起きで頭が回らない時分に叩き付けられたその言葉を、四人は当然処理し切れず。
彼等は反射的に言葉を発する事しか出来なかった。
『何日か前に教師になるという旨を君達に伝えたと思うが、どうやらそうすんなり私を教師には出来んようでな。それを解決せねばならない』
『え、ええと……待って。それとこれと、一体何の関係があるのよ?』
混乱する頭を必死で正常化したヘリアーテが至極真っ当な質問を投げると、クラウンは「まあ聴きなさい」とだけ言って話を続ける。
『教師になるには相応の身分と魔法に対する能力は勿論、高い水準の教養と知識に加え、教育者としての適性が必要になる。全てを備えて漸く、魔法魔術学院の教師になれるというわけだ』
『う、うん。それは分かる』
『でもよぉ。ボスなら、もう全部満たしてんじゃねぇか?』
ロセッティとディズレーが順にクラウンの言葉に反応したが、しかし彼は苦笑いを浮かべながら実に面倒そうに肩を落とす。
『いや……。どうやら問題なのは最後に述べた教育者の適性の部分のようでな。これに関しては自身の能力如何ではなく、あくまで〝教育者としての実績〟を指標としているという話だ』
『教育者としての……』
『実績、ねぇ……』
『ああ。まあ、つまるところ教師としてやっていけるという明確な成果が必要になるわけだ。大体の場合は大なり小なり他の教育現場での実地活動や経験──所謂教育実習というやつだな。その実績を踏まえた上で、適性を判断されるらしい』
『なるほどね。まあ教師になるんだから、それくらいはやったって不思議じゃないわよね』
『で、でもそれで留学って……なんでですか?』
『……私に出されたその適性判断の場が帝国の学校、だからだ』
『は、はぁっ!?』
『な、なんだぁそりゃぁっ!?』
早朝という事も忘れ思わず声量が増すヘリアーテとディズレー。ロセッティも声までは上げなかったものの、その目は見開かれている。
『ど、どうして帝国なのよっ!? 国内の学校があるじゃない国内のっ!!』
『そうだぜっ!! 魔法魔術学院の系列校やら姉妹校なんて幾らでも地方にあんだろっ!?』
『な、なんでまた帝国なんて遠方にまで……』
『……師匠としても最初はそのつもりであったらしい。故に軽々に私に教師の道を示したし、私の承諾も簡単に頷いた』
溜め息を一つ吐き、マルガレンの淹れた紅茶を口に含めてから、然しものクラウンも遠い目をする。
『ところが、だ。どういう経緯か分からんがこの話が〝国王陛下〟の耳にまで、届いてしまったらしい』
『『『えッ!?』』』
『するとどうだ? 陛下は何故かこの話に割って入りっ! 何故か陛下からの勅命が下りっ! 何故か私の赴任先が帝国一の騎士学校に指定されっ!! 何故かその学校に留学中の陛下の御子息であるエドワード第一王子と御息女であるシャーロット王女の教育を命じられていたっ!! 何故かだっ!!』
クラウンも臆面もなく、珍しく声を荒げ、その様子にヘリアーテ達は思わず瞠目してしまう。
──ヴィルヘルム帝国は、世界最強と謳われる騎士団──「カールセン黙示騎士団」を擁す騎士最優の国。
所属総数二万人を抱える千年近い歴史を刻む最古最長の騎士団であり、その総合戦闘力は世界最大の国土を誇る事からも推し量れる。
そしてそんな最強の騎士達を育て上げているのが、クラウンの赴任が命じられた帝国一の騎士学校「セネター騎士教育育成学校」である。
『……そこで、だ』
ヘリアーテ達の《直感》が反応する。嫌な予感が背筋を走る。
『君達も、着いて来なさい。留学だ』
『……そういう事、ね……』
『なるほどな……』
『あぁぁ、やっぱりぃ……』
三者三様のリアクション。しかし感情は同じ。諦観である。
クラウンの口から出た〝提案〟でなく〝命令〟は、最早簡単には覆せない。彼との舌戦に勝たなければ、覆せない。故の諦観である。
『別に自棄になって死なば諸共というわけではないぞ? 留学をする事で君達の学歴に箔がつくし、何より世界最強の白兵戦を相手に鍛える事が出来る。素晴らしいだろう?』
『ま、まぁね……』
『それに私の君達への訓練もあるからな。訓練の度に一々テレポーテーションで国に戻ったり君達を呼び寄せたりなどやってられんからな。連れた方が何かと好都合だ』
『まぁ、分かるけどよぉ』
『だが』
『こ、今度は何ですかぁっ!?』
『いや。これに関しては私個人の懸念の話だ』
『懸念って、何よ……』
『まぁ、有り体に言えば……経験不足だ』
「──ボスが言うには、私達を外国に連れて行くには少し不安なんですって。殿下と姫に付きっきりになるかもしれないから、いつもみたいに面倒を見れるか怪しい。なるべく私達だけで単独行動しても問題無いようにしろってさ」
「ぼ、ボスとしては自己解決能力? を、養いたいって……。わ、わたし達、まだちゃんとした仕事、した事ないから……」
「俺ぁそもそも帝国出身だから土地勘はあるにはあるけどよう。問題が起きたら解決出来るかって言われちまうと……正直微妙だ」
「ボクとしてはぁ──」
「アンタずっとうたた寝して殆ど話聞いてなかったでしょっ!? いつもはボスの話真剣に聞くクセに今回に限って何なのよっ!?」
「えぇー? だってボク、もうボスからの仕事一回ちゃんとやったし。……ちょっと失敗したけど」
グラッドは以前、クラウンの命によりシルヴィという裏切り貴族に変装して「魔天の瞳」に潜入した経験がある。
その際は「魔天の瞳」の教祖であるスターチス・ジャバウォックに翻弄され、説教までされて帰ってくるハメになった苦いものではあったが、任務自体は完了させる事は出来ていた。
故に、四天王の中でならグラッドが一番の経験者であるのは間違いない。
「はぁ……。言っとくけど、今回は私達だけでやるワケじゃないわよ? 見て分かるでしょ?」
ヘリアーテに促され、グラッドが会議室を見回す。四天王の部下達はそんな彼からの目線に、不思議と申し訳なさそうに目を伏せた。
「ボス曰く。「自分だけでなく部下達の成果を出させてみせたら安心だ」そうよ。まったく、普段あんなんなのに心配性よね」
「まー、考え方を変えたらそれさえ出来れば帝国とか騎士学校を自由に歩き回って良いって話でしょ? 帝国って大都会満喫出来んじゃんっ!!」
「アンタねぇ……」
「それで? つまりボスからミッションがボク達に下されたって事でしょ? アールヴの軍団長を倒したボク達だよ? 大丈夫でしょー。それでこんな風に集まるのはちょっと大袈裟なんじゃない?」
「だからっ! 話ちゃんと聞いときなさいってんでしょうよっ!!」
「え?」
「私達はそのミッション、手ぇ出せないのよっ!! 部下達にサポートだけしろって言われたのっ!!」
「……あ。ふーん」
部下達十二人が一斉に顔を伏せる。しかし彼等とて、何も全く経験が無いというわけではない。
何ならクラウンの命によりティリーザラからアールヴへ移動した際の「魔天の瞳」の工作員達を陰ながら補助し、途中で邪魔をされぬように働かせていた。
結果としては上々。クラウンに素晴らしい働きだったと褒められ、それぞれに応じた褒美も与えられた程である。
にも関わらず彼等の表情の中に自信に満ちたような色は……確認出来ない。
「ぜ、絶対にハードル上がってんだろ……」
「あ、アレと同じかそれ以上を? 厳しいわね……」
「で、出来る気しないよぉ〜……」
「それに私達が失敗したら……ディズレーさん達も留学無しになるんじゃっ!? はぁああぁぁ……」
ギデオン、キャサリン、ミレー、ヴィヴィアンがそれぞれにネガティブな事を呟く。
そう。彼等は成功してしまった。それも立派な成果を出し、クラウンが褒めて評価を改める程の成功を。
だがだからこそ、彼等に求められる成果もまた跳ね上がっている……彼等はそう考えているのだ。
「ふーん。皆大変だなぁ」
「そうだね。大変そうだね」
しかし思い悩む部下達の中、空気を読む事なく呑気な感想を述べる者が二人──ティールとユウナだけがただ暇そうにしていた。
「……アンタ等ねぇ」
「だって俺たち、クラウンからそんなミッション受けてねぇもん。なぁ?」
「そうそう。私達は元々ボスから言い渡されてる仕事があるし、そもそもあなた達みたいに部下だっていないし、ねぇ?」
ティールとユウナは二人が言うようにクラウンから全く別の仕事を引き受けていた。
ティールはアールヴの元第五軍団長であり、最近宮廷画家を辞退し現在ティリーザラにて活動しているヴァンヤールと共に、芸術活動に勤しみながら埋もれていた才ある芸術家達の支援活動を。
ユウナはアールヴの元第四軍団長であり、魔力開発局・魔導書研究部門部門長であったオルウェと共に旧約魔導書の解読と捜索、新約魔導書の開発に勤しんでいるのだ。
二人の活動は未だ始まったばかりであり、今現在が力の入れどころ。
クラウンとしては非戦闘員である二人をわざわざ帝国の騎士学校に連れて行くよりも、安定安全な環境で自身の明確な活動に専念して欲しいと考えているのである。
「じゃあ何でアンタらここに居んのよっ!?」
「何でって……。仲間内で情報は把握しといた方が良いだろ?」
「何か非常事態があった時に知っといた方がお互いに連携取りやすいしね。まぁ、そうそうあるもんじゃないでしょうけど」
「はぁ……。分かったわよ全く……」
「……それで?」
「なによ」
「クラウンからどんなミッション貰ったんだ? きっとアイツの事だから生半可じゃ──」
「魔物退治よ」
「……ん?」
「弱いヤツじゃないわよ? 寧ろ例のアレで凶暴性と強さが跳ね上がった特殊固体の怪物の討伐っ!! しかも──」
「しかも?」
「情報収集から始めて、討伐後の後処理から何から全部やれって話よっ!!」
「「お、おぉう……」」
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「それでは、私はそろそろお暇させて頂きます」
「そだね。気持ち的には一緒に夕飯でも……って誘いたかったけど、二人とか三人とかに増えれるからって尚忙しい事には変わりないだろうしねぇー」
「ふふふ。お食事でしたらまた今度。何なら私がご馳走致しましょうか?」
「えっ!? マジでっ!? 君の作る料理は美味しいって評判だからなぁーっ!! そりゃあ楽しみだっ!! 事前に言ってくれたら予定、空けとくよ」
「でしたら好物や好きな料理は何です? ご用意しますよ」
「僕サカナ好きなんだよサカナぁー。川と海両方いける。調理法は任せるよ」
「承知致しました」
「あ。引き止めちゃって悪いね。それじゃ、また」
「ええ。またいずれ」
クラウン達はそう言って部屋から退室。残されたのはゴーシェのみが残され──
「……後を追いましょうか?」
するり、とゴーシェの座るソファの影から人影が起立。隠密系スキルが封じられた外套を纏う三人の男が出現した。
「無駄だよ。どうせこの庁舎出たら転移してっちゃうだろうし、そうじゃなかったとしても今回だって撒かれる──ってか、一回も尾行成功した試しないでしょ?」
「……面目次第も御座いません」
「彼相手ならどうしようもないよ。そもそも彼──ああ彼女もか。お前達が潜んでるのバレバレだったし」
「──っ!?」
「やっぱ本職を率いようって奴は格がちがうよ。僕が個人的に育ててるだけのお前達じゃ、悔しいけど足元にも及ばないや」
「……精進致します」
「うん。──でも残念だったなぁ」
「何がでしょう?」
「ん? きっとクラウン。僕がもっと真摯に──お前達をこの部屋に配したりしなくてもっと真剣に話したら、多分もっと見せてくれたと思うんだよね」
「あ、アレ以上をですか?」
「自らの実態ある分身を出す力もかなりの手札だったかと思うのですが……」
「まぁー、確かに凄いけど、多分アレはいずれ周囲の知るところになる力だよ。つまりただの先行公開ってだけ。お前達を密かに配した僕への、最大限の配慮だよ」
「それは……」
「よくよく振り返れば、何だか会話も誘導されてた気がするし……。僕もまだまだだなぁー」
ゴーシェは最後のクッキーを齧り、紅茶を含む。そして小さな息を吐いた。
(……ウチに代々伝わるマスタースキル《翠玉の導き》……。対象が無意識に発してるオーラや魔力の波長を読み取って対象に眠る潜在的な可能性や正体を知る事が出来るけど……)
彼の額に、一筋の汗が流れる。そして思い出したように一つ、身震いをした。
彼が見たのは……知ったのは、今まで見てきたどんな人間よりも強大で、悍ましくも美しい、蠢く〝何か〟。
まるで意志を持ち、宛ら主人に害なす者を悉く討ち滅ぼさんとする圧倒的な敵意を抱いた……そんな影が、ゴーシェを睥睨していたのだ。
「あはは……。アレは無理かなぁー、流石に……」
「だ、旦那様?」
「ああイヤ、何でもないよ。それよりお前達は引き続き「魔天の瞳」の調査を。もしかしたら逆転の発想で王都に潜んでるかもしれないし。灯台下暗しってヤツでさ」
「しょ、承知致しました」
「うん。さぁーて、僕も仕事しなくちゃ」




