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今日は晴れ舞台の日。
茜との結婚式だ。
結局茜の父には認められないまま(母は了承済み)挙式をすることになった。
「良かったな、幸せになれて」
郁海が言った。
暫くギクシャクした関係が続いていたが、茜の仲介により以前と同じように、いや、それ以上に仲良くなった。
「…ありがとうございます…」
亮佑ははにかみながら答えた。
「そういや茜のドレス姿、見た?」
「いや、まだ見てないです…」
「行ってこいよ、物凄く綺麗だからさ。
ホント…お前が羨ましいよ!」
郁海はそう言って控室を後にした。
亮佑はその言葉通り茜の控室へと向かった。
今は人が少ないようだ。
「あ、茜…」
初めて会ったときのように見とれた。
世界中の誰よりも美しい花嫁。
彼女の視線は今まさに自分へと向けられているのだ。
「あ、えと、綺麗…だね…」
「ありがと」
茜は微笑んだが、すぐに俯いてしまった。
茜の両親はここには来ていない。
「私…ホントに幸せになっていいのかしら。
このままで…何かいけない気がするの…。」
亮佑は茜を抱き寄せると額にキスをした。
甘い香りがする。
「俺と一緒は嫌?」
「!嫌じゃない!」
「じゃあ笑って?
幸せになっていいの、とか聞かないでよ。
なっていいに決まってるだろ…少なくとも俺には茜を幸せにする義務がある。
…俺の決意、無駄にしないでね?」
茜は涙目で俯いた。
「ホラ、今から式なのに泣いたらメイクが崩れるよ?
いつもの優しい笑顔を見せてよ…茜…」
俺達は幸せ者だ。
こんなに想い合うことの出来る人がいる。
素敵な仲間に囲まれている。
たとえ大きな壁にぶつかっても、俺達なら乗り越えていける。




