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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
3章 ICL編

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99話 アップると新幹線

 新幹線は座席が回るようになっている。

 するとどうなるか。そう、アップるの方々と向き合うことになるのだ。

 こわ……なんでだろう、推しが目の前にいるのに超怖い! 助けて薫!


「……アップるさんで向かい合えば良かったのでは?」


 ズバッと薫が言い放ってしまった。せっかくこちらを向いてくださっているアップるの藤ちゃんと紅玉姫に失礼だろ!


「別に、あなた達のためなんかじゃないし。紅玉が興味があるっていうから仕方なくなんだからね」

「おやおや。お主もライブ中は興味津々であったではないか」


 藤ちゃんのツンデレを至近距離で見られたのはありがたいけど、まだ脳の処理が追いつかねぇ!


「明日香はなんで固まっているの?」


 ふ、藤ちゃんから呼び捨てにされた!? やばい死ねる……録音しておけばよかった!


「ウチの明日香はアップるさんのファンなのでね。興奮しすぎて死にかけなんですよ」


 薫に冷静に分析された。まぁそうなんだけど、ファンってそのままアップるの目の前で言われると恥ずかしいな。なんか告白みたいで……。


「ほうほう、それで? 誰のファンなのか教えてくれぬかえ?」

「あ! それは気になるネー」

「こらりん、行儀悪いよ」


 藤ちゃんの背もたれからぴょこんと林ちゃんが飛び出してきたからびっくりしちゃった。ぴょこっと跳ねたツインテールがまた可愛らしい。


「明日香、素直に言っておいたほうが良いんじゃないかい?」

「……藤ちゃんです」


 私が正直に伝えるとアップる内では謎の盛り上がりをみせた。


「良かったネ、宮子」

「べ、別に嬉しくなんてないんだから……」

「妾以外を推すなど、なんと不敬な者よの」

「姫ちゃんこわ〜い」


 なにこれ……なにこの空間。たまらないし、この席のチケットをオークションにかけたら数千万円くらいの価値はありそうなんだけど、なぜか拷問を受けている気分!


「して薫とやら、お主は誰を推す?」


 紅玉姫から扇子で指された薫。

 少し驚いた表情だったけど、すぐにいつものようなニヤけ顔に戻った。


「あいにく私はアップるさんのファンではないので。私の推しは、私自身です」

「ほぅ……面白い、気に入ったぞえ」


 なんか気に入ってもらってる!


「姫ちゃんが認めるなんて珍しいじゃん?」

「こういうメンタルの者は少ないからのぉ。りんごのパフォーマンスを間近で見たのじゃ、少しは刺激を受けてアイドルとしても磨きがかかったじゃろう」


 そうか、そういえばこのヤバいメンツの中にりんごちゃんもいたんだよな。しかもリーダーで。そう考えると恐ろしいや。


 こんなカオスな新幹線は限界が近い私を乗せ、大阪へと向かうのであった。

明日の更新はお休みさせていただきます。

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