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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編

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71話 味噌っ子

 数分歩いて、私たちがミニライブをする広場へとやってきた。ずっとここにいたのか、マネージャーが意外そうな顔で私たちを見つめてくる。 


「ちょっと早いんじゃない?」


 もちろんマネージャーとしてはライブの時間30分前までは百合営業をしているものだと思っている。でも私たちはここで百合営業をする意味がないということを知ってしまった。


「思ったより上手くいかなくてね。地下アイドルや地元アイドルへの愛着が強すぎて私たちのことを敵対視すらする人がいる始末だよ」

「あ〜〜、5年前から変わってないのね……」


 マネージャー、もしかして薄々と予想していたな? こうなること。だったら最初から言っておいて欲しかったんだけど。


「ただ諦めて帰ってきたわけじゃ無いぞ? これからここでご当地アイドルがライブするらしいから観ていこうと思ってな」

「なるほどね、まぁ学べることはあるでしょ。いいと思うわ」


 ご当地アイドルのミニライブ開始10分前とあって、広場にはぞろぞろと人が集まっている。中には公式グッズを身体中に武装した精鋭たちも見られた。私たちのファンより熱狂的じゃね?

 隣でライブの開幕を待つ薫の表情も険しいものになっている。ファンたちの様子を見て危機感を覚えたんだろうな。


 人が集まってくると、当然のように私たちに視線も集まった。中には「felizだ」と声に出す人もいる。ただそれが好意的な意味なのか、敵対的な意味なのかわからないから反応しにくい……。

 そんな生きた心地のしない環境の中で待つこと5.6分。ようやくご当地アイドルさんたちが簡易ステージへと上がってきた。


 ふぅん……メンバーは5人か。奇数メンバーだとセンターが映えるから一見メリットしかないように見えるけど実はセンター頼りになったり、目立ちたい問題であっさり解散するグループが多かったりとデメリットも大きいんだよな(早口)


「こんにちはー♪ 私たち、『味噌っ子』でーす」


 元気のいい女の子がマイクを持って自己紹介を始めた。

 はっきり言って、少なくともビジュアルだけではウチの事務所の下の方にいるアイドルの方が上だ。

 でも……


「「「「うぉーーーー!!!!!!」」」」


 尋常じゃない盛り上がりを見せている。一気に温度と湿度が上昇した気がするぞ。

 そして息をつく暇もなく音楽が流れ始めた。せっかちだな……。

 さっき自己紹介をしていた子は端にポジションを取っている。……じゃあリーダーは誰なんだ? と思ってセンターを見ると、灰色のロングヘアの少女がセンターを陣取っていた。顔にはペイントが施されており、アイドルというよりロックな感じを受けた。


「センターの子、カッコいいな」


 薫に話しかけたものの、返事がない。


「どうしたんだ? 熱気でやられたか?」

「いや……あの子……」

「「「「うぉーーーー! 赤味噌! 赤味噌!」」」」


 薫が何かを言いかけたところで、またしてもファンの叫びが響いた。っていうかどんな掛け言葉だよ。

 こうして私たちはライブの雰囲気に呑まれ、30分後に自分たちのライブのために輪から抜けるのであった。

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