67話 混沌商店街
「ま、また百合営業かよ〜!」
……と、嫌そうにしてみる。チラッと薫の顔を伺ってみたけど何も気にしていない様子だ。ちぇ。
「今日は忙しいわよ! 大須商店街で手繋ぎデートをしてもらうから!」
「おーす商店街? なんだそれ」
「愛知で最も混沌とした商店街よ。だけど人はたくさんいるし、アイドル好きだってたくさんいる。そんな中、あなた達みたいな中堅アイドルが歩けば!」
「……地下アイドル程度、敵ではないということだね」
言い方悪! でもまぁ、地方で続けているのも大事だけど、中央でそこそこ露出しているアイドルの方が強いってのは当然……だよな。
というわけで、名古屋駅から電車に乗って、大須商店街なるところへ向かう。
『次は大須観音、大須観音』
おっ、もう降りるのか。
いそいそと降りる準備をすると……
「まだよ」
マネージャーにリュックサックの取っ手を掴まれて静止させられた。その止め方やめろや!
「何でだよ! 大須観音って言ってるじゃんか」
「そうなんだけど、次の駅の8番出口が1番近いのよ」
何だそれ……ガイドがいなかったら絶対にわからないぞ。
ジモッティのマネージャーの言う通りにして、次の駅である上前津駅で降車した。8番出口には大勢の人が向かっている。どうやらマジだったみたいだな。
「さぁ、ここが愛知県の混沌、大須商店街よ!」
「おおっ……」
一見、東京かと思うほどの人の波だ。夏休み中ってのもあるかもしれないけど、人で溢れかえっている。買い物はしにくそうだけど、私たちの目標は達成できるかもしれない!
少し歩くと開けたところに到着した。そこでは地元アイドルらしい少女たちがパフォーマンスをしている。
「あ、今日の16時からあそこでミニライブするから。よろしく」
「ええっ!? そういうのは先に言えよ!」
「衣装はどうする気だい?」
「私服でライブってのも、一興でしょ?」
そうかな……と思いつつも、もしアップるが私服でライブしていたら確かに見ちゃうかも。
「いらっしゃいませ〜」
かなり高い声が聞こえてきた。客引きか……と思って見てみると、メイド喫茶が堂々と広場の裏に座している。
すげぇ……秋葉原以外にもあるんだ。
ん? 隣はさっき昼に食べたスガキヤラーメンのチェーン店か。で、奥にあるのは歯医者で、向かいには薬局、その隣がカードショップ?
「なんだここ、無秩序すぎないか?」
「言ったでしょう。ここは愛知県の中でも混沌とした商店街だって。地元民の私でもわからないことはまだまだあるわ」
すげぇ……なんか街全体が一気にバカっぽく見えてきた(失礼)
「さ、そんなことはどうでもいいの! とにかく16時のライブ前……15時半まではおてて繋いでデートしてきなさい!」
そうだ……ここには遊びに来たんじゃない。ここには百合営業をしに来たんだ。よし、百合営業in愛知、やってやるぞ!
21年過ごして、未だにお店の位置を把握していない系の作者です。




